牧秀悟を変えたWBC「これじゃあまずい」 実力発揮できずも「いい期間」と言える理由

2026.9.28

横浜DeNAの牧秀悟内野手は、野球日本代表「侍ジャパン」の一員として喜びも悔しさも味わった。2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™(以下、WBC)は世界一に輝くも、2026年の同大会は8強止まりで自身も結果を残せなかった。それでも「自分にはなかったものも芽生えて、いい期間にはなったと思っています」と、今季プロ6年目で初めてシーズン30本塁打をクリアするなど糧とした。

写真提供=Full-Count

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2023年WBCで実現したメジャー組との共闘「まさかプレーできるとは」

 横浜DeNAの牧秀悟内野手は、野球日本代表「侍ジャパン」の一員として喜びも悔しさも味わった。2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™(以下、WBC)は世界一に輝くも、2026年の同大会は8強止まりで自身も結果を残せなかった。それでも「自分にはなかったものも芽生えて、いい期間にはなったと思っています」と、今季プロ6年目で初めてシーズン30本塁打をクリアするなど糧とした。

 2022年からトップチームに名を連ねていた牧選手だが、2023年のWBCは特別だった。メンバー発表の際、“メジャー組”の名前を見て「学生の時に見ていた選手と、まさか(一緒に)プレーできるとは思わなかったです」と心躍った。

 バンテリンドーム ナゴヤで見た大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)のフリー打撃は、大会期間の活動で最も衝撃的だった出来事だ。

「野球人生であんな打撃練習は見たことがなかったですね。今まで見たことない打撃練習が見られるというのは聞いていたんですけど想像できなかったので、いざ生で見て驚きました。技術もすごいですけど、あの大きな体と長い手であれだけコンパクトに強い打球を飛ばす。それで5階席まで飛ばして……桁違いでしたね」

 思い出すだけで興奮冷めやらないといった様子で明かす。本戦では1次ラウンドの中国戦とチェコ戦でそれぞれ本塁打をマーク。6試合に出場して打率.200(15打数3安打)、2本塁打、2打点で世界一の景色を見た。


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2026年ベネズエラ戦は逆転負け「『やばい、どうしよう』みたいな…」

「日本の強さを証明できた、そのメンバーに入れたことをすごく誇りに思っています」と胸を張る。2020年ドラフト2位で中央大から入団し、ルーキーイヤーからチームの中心選手として活躍し、注目されてきた。それでも「あれですごく期待を寄せられるようになったというか、動きも練習も、いろいろなことも聞かれましたし、打席に入った時の期待感もそれまでとは違う感覚はしました」と成し遂げたことの大きさを実感していた。

 2026年大会も順当にメンバー入りを果たした。誰もが大会連覇を期待したが準々決勝のベネズエラ戦で敗れ、初の8強止まりという屈辱を味わった。半年の月日が流れた今も、その思いは鮮明に胸に刻まれている。

「いやあ、もう、悔しかったですね。実力というものも本当に身に染みた大会ではありました。前回は日本の強さを出せましたけど、今回は他国の勢いや野球のレベルの高さを感じました。(自分のパフォーマンスも)全然出せなかったです。打撃において自分の良さを……そこが悔しい限りでした」

 ベネズエラ戦は4回終了時点で5-2と3点をリードしていたが、5回に1点差に迫られると、6回に3点を奪われ逆転を許した。日本は4回以降に得点を奪えなかった。「後から投げてくる投手も強烈でしたし、なかなか(打線が)繋がらない。焦りと『やばい、どうしよう』みたいな感じは多少あったと思います」と打ち明けた。

実感した他国の“本気度”「懸ける思いは2023年より強く感じました」

 牧選手自身は全5試合に出場し、そのうち4試合は「7番・二塁」でスタメンだった。代表選手の中でも揺るぎない主力に上り詰めたが、打率.154(13打数2安打)、0本塁打、1打点。結果で牽引することはできなかった。

「今まで自分の打撃だったりスタイルに満足しかけていたところはあるんですけど、日本の選手もそうですし、海外の選手と話をした時に『これじゃあちょっとまずいな』と気付かされました」

 ただ、それも糧としなくてはいけない。今季は打撃を見直し、特に右太腿裏の肉離れにより4月末から1か月強離脱した期間に「ガラッと変えて、それが良かったですかね。今はだいぶプラスになっています」。7月以降だけで24本塁打を量産し、9月22日に自身初の30本塁打をクリアした。「だから(WBCは)実力を発揮できなかった期間ではありましたけど、自分にはなかったものも芽生えて、いい期間にはなったと思っています」と振り返れるようになった。

 今回の大会で強く感じたのは、他国の“本気度”だ。「ベネズエラもそうですし、戦う姿勢というか勢いというか、選手のこの大会に懸ける思いみたいなものは2023年より強く感じました」。“打倒・日本”を掲げた強豪国は、手強かった。


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初侍ジャパンは大学3年時「胸を張っていました。『日の丸だぜ』って(笑)」

 初めて日の丸を背負ったのは中央大3年時(2019年)の「第43回 日米大学野球選手権大会」だった。松本第一高時代を含めて「本当に無縁だった」という場所にたどり着き、「まさか選ばれるとは思っていなかったので、胸を張っていました。『日の丸だぜ』って」と笑う。

 それから7年にもわたり、侍ジャパンのユニホームを着続ける。その意義を「自分をアピールできる場所だと思いますし、自分に何かがあるから選ばれたという自信が持てる場所だと思うので、この好きな野球をやっている中で、目指す場所の一つではあるかなと思います。本当に今年感じた通り自分の中でなかったものが得られる場所で、そこでしか得られないものがあるので、プロ野球に入っている選手は絶対目指すべき場所だなと思っています」と語る。

 28歳、中堅の域に達してきた。一世代下の後輩たちの勢いを肌で感じることも増えた。それでも、視線は常に“上”にある。

「年齢も上がっていって世代交代もあるかもしれないですけど、やっぱり日の丸には特別な思いがあるので、選ばれるのであれば選ばれていきたいと思います。でも今回、選ばれるだけじゃダメだっていうのも身に染みて感じたので、選ばれるのであればチームを勝たせられるように、その時に実力を発揮できるようにしていきたいなと思っています」

 悔しさを味わった2026年WBCだったが、牧秀悟は確実に強くなった。これからもチームを、そして日本代表を牽引していく。

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写真提供=Getty Images, Full-Count

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