「野球は私の人生そのもの」女子野球アジア杯MVPの柏崎咲和が秘める女子W杯への決意
物心ついた頃から野球中心の生活を送ってきた少女が、21歳にして大学生のみで編成された野球日本代表「侍ジャパン」女子代表のエースとなり、「第4回BFA女子野球アジアカップ」でMVPを獲得。そして今年8月にある「第10回WBSC女子野球ワールドカップ・グループステージ」(以下女子W杯)のメンバー入りを目指し、持ち前の投球術に磨きをかけている。今年ルーキーとして読売ジャイアンツ女子チームに加わった左腕・柏崎咲和(かしざき・さわ)投手だ。
写真提供=Full-Count
スリランカ戦で3回パーフェクト、打者9人中8人が空振り三振
物心ついた頃から野球中心の生活を送ってきた少女が、21歳にして大学生のみで編成された野球日本代表「侍ジャパン」女子代表のエースとなり、「第4回BFA女子野球アジアカップ」でMVPを獲得。そして今年8月にある「第10回WBSC女子野球ワールドカップ・グループステージ」(以下女子W杯)のメンバー入りを目指し、持ち前の投球術に磨きをかけている。今年ルーキーとして読売ジャイアンツ女子チームに加わった左腕・柏崎咲和(かしざき・さわ)投手だ。
衝撃的な快投だった。昨年10月26日から11月2日まで、中国・杭州で行われた女子野球アジアカップに日本はあえて大学生のみの若いチーム編成で臨んだ。この大会で初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通した柏崎投手(当時・大阪体育大)は、初戦のオープニングラウンド・スリランカ戦に先発し、3回パーフェクト。打者9人中8人から空振り三振を奪う圧倒的な投球を見せた。
決勝ではチャイニーズ・タイペイを7回5安打完封、最優秀防御率も獲得
スーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦では5回からリリーフでマウンドに上がり、2回1安打1失点(自責点0)に抑える。そしてチャイニーズ・タイペイとの再戦になった決勝に先発し、7回5安打無失点完封。チームは8-0で快勝して4大会連続優勝を飾り、柏崎投手は大会MVPと最優秀防御率(通算0.00)のタイトルに輝いたのだった。
決勝は、味方打線が初回にいきなり大量7点を先制したが、柏崎投手は「全く気は抜けませんでした。チャイニーズ・タイペイに対する応援が凄くて、“完全アウェー”の独特な雰囲気。“打倒日本”を目標にしていた他のチームの皆さんも、チャイニーズ・タイペイを応援していたと思います」と振り返る。優勝決定の瞬間は、柏崎投手を中心に歓喜の輪ができた。「最高の気分でした。自分のピッチングができたと思います」と満面に笑みを浮かべる。自身初の国際大会出場を「味方を応援する気持ち、1つのアウトを喜ぶ気持ち、そういう野球を楽しむ気持ちというのは、どの国の人も変わらない実感しました」と満喫していた。

松井裕樹を輩出した神奈川・青葉緑東ジュニアで始めた野球
柏崎投手が次に目指すのは、今年7月と8月に米国と台湾でグループステージ、来年7月に米イリノイ州ロックフォードでファイナルが行われる第10回 WBSC女子W杯に出場すること。日本は2024年に行われた第9回大会まで、無敵のワールドカップ7連覇を続けている。「やはり大学生のみのチームではなく、“フル代表”に選ばれてワールドカップに出たい。これまでも選考会には何回か呼んでいただきましたが、ずっと悔しい思いをしてきました」と力を込める。
そんな柏崎投手は3歳の頃、サンディエゴ・パドレスの松井裕樹投手らを輩出している神奈川・青葉緑東リトルのジュニア・チームで野球を始めた。「当時のことはほとんど覚えていませんが、2歳上の兄がジュニア・チームにいて、『試合をするのに人数が足りない。立っているだけでいいから入って』と言われたのがきっかけでした。気がついたら、土・日はジュニア・チームで野球をやり、平日もお兄ちゃんとキャッチボールや素振りをするのが習慣になっていました」と振り返る。「好きでやっていたというより、生活の中に野球が組み込まれていました」と笑う。
横浜の親元を離れ、中1から福井で6年間寮生活も「ホームシックにはならなかった」
小学5年で投手となり、小学6年ではエースナンバー「1」を背負った。そして中学1年から横浜の親元を離れ、福井県の中高一貫校である福井工大福井中学・高校の女子硬式野球部で6年間を過ごす。「せっかく小学生の時に硬式をやっていたので、中学で軟式やソフトボールに変えたくなかったですし、毎日野球に打ち込める環境が気に入りました。寮生活でしたが、中1の頃から高校生の皆さんがまるで本当の姉のようにかわいがってくれたので、ホームシックにはなりませんでした」と目を細める。
大阪体育大学の女子硬式野球部に進み、2年生の時には半年間オーストラリアに留学して、語学学校に通いながら、20代から40代までが所属する女子クラブチームでプレー。多彩な球歴を経て、今年から読売ジャイアンツ女子チームに加わった。新しい同僚には、4月の大会で日本人女子初の球速130キロをマークした清水美佑投手らがいて、「キャッチボールをしているだけでも、自信をなくすほど凄いボールが来ます」と苦笑する。それでも、読売ジャイアンツのエースナンバーである背番号「18」を与えられたところに、期待の大きさが表れている。

精密な制球力と多彩な変化球が持ち味「試合を作る能力を評価」
女子選手としても小柄な154センチの柏崎投手の持ち味は、精密な制球力と「カーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリット、カーブとスライダーの中間くらいの“スラーブ”。それに今、カットボールを習得中」という多彩な変化球である。「私はこれまで先発でやってきて、試合を作る能力を評価されてきました。どんな場面を任されても、テンポよく、守備陣が守りやすくて、攻撃につながるピッチングができる投手になりたいです」と自分の特性に合った将来像を描いている。
柏崎投手に「あなたにとって野球とは?」と聞くと、「人生そのものです」。図らずも、読売ジャイアンツの大先輩で昨年6月に死去した“ミスター・プロ野球”長嶋茂雄氏の名言「野球というスポーツは人生そのものだ」と同じ言葉が返ってきた。「これまで海外を含めて、いろいろな環境で野球をやらせてもらってきました。そういう経験の豊富さは、自信を持っているところです。大きい大会ほどワクワクします」と改めて思いを馳せるのは、ワールドカップの大舞台だ。
記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count



















