「これで終わっちゃいけない」 女子野球アジア杯で2冠も…佐藤美咲を支える飽くなき向上心
幼い頃から成長できる場所を追い求めてきた。昨年10月に中国・杭州で行われた「第4回 BFA女子野球アジアカップ」で、大学生のみで編成された野球日本代表「侍ジャパン」女子代表の主戦としてマウンドに上がり、最高勝率投手、ベストナインを受賞したのが、IPU環太平洋大学・佐藤美咲投手だ。人生で初めてジャパンのユニホームに袖を通した経験を「嬉しい反面、負けられないプレッシャーもあった」と振り返る。
写真提供=Full-Count
「第4回 BFA女子野球アジアカップ」で最高勝率投手、ベストナインを受賞
幼い頃から成長できる場所を追い求めてきた。昨年10月に中国・杭州で行われた「第4回 BFA女子野球アジアカップ」で、大学生のみで編成された野球日本代表「侍ジャパン」女子代表の主戦としてマウンドに上がり、最高勝率投手、ベストナインを受賞したのが、IPU環太平洋大学・佐藤美咲投手だ。人生で初めてジャパンのユニホームに袖を通した経験を「嬉しい反面、負けられないプレッシャーもあった」と振り返る。
自慢の直球を投げ込んだ。初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通した佐藤投手の出番はオープニングラウンド・第2戦のフィリピン戦。先発のマウンドを託された右腕は3回を無安打無四球無失点、2奪三振の完全投球を披露し、代表デビューを飾った。
決勝進出をかけたスーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦では初回を無失点に抑えたが、3点リードの2回には自らの失策もあり2失点。3回は2本の安打を許して1点を失ったが、4回4安打3失点と試合を作り、今大会2勝目を手にした。その後、チームはチャイニーズ・タイペイとの再戦となった決勝戦に8-0で勝利し、4大会連続優勝。佐藤投手は最高勝率投手とベストナインの2冠に輝いた。
国際大会で痛感した自身の改善点「流れを引き寄せる投手に」
憧れの侍ジャパンのユニホームを身にまとい、チームは優勝。個人としても2つのタイトルを獲得したが「周りの人からは『良かったね』と言ってもらえましたが、自分のなかでは引っかかる部分があった。これで終わっちゃいけない、満足できない……。守備もそうですが、コントロールも甘くて打たれる。抑えないといけないところで、引きずってしまった。流れを引き寄せる投手にならないといけないと感じました」と、反省を口にする。
だが、初の国際舞台を経験したことで収穫もあった。日本は2024年に行われた「第9回 WBSC女子野球ワールドカップ」まで大会7連覇と、世界トップの実力を誇っている。アジアカップでは他国との実力差が如実に表れるなかでも「世界」を感じる場面があった。
「普段、大学生相手だと単打(を許すこと)が多いですが、国際試合では思い切ってスイングしてくる。直球を狙われると長打を打たれる場面もありました。直球、変化球ともに制球力がもっと必要。そこは課題として今後も突き詰めていきたいと思います」

中学校では唯一の女子選手として軟式野球部に入部「不安はなかった」
現状に満足できない、向上心の塊だ。野球を始めたのは小学校から。学童野球チームで男子に交じって投手1本で勝負し、エースの座を奪った。負けん気が強く、試合を支配できる“居場所”が心地よかった。中学生になると周りの友達は女子ソフトボールを選択したが、「やっぱり野球が好き。顧問の先生も誘ってくれたので不安はなかった」と、部活では唯一の女子選手として軟式野球部の門を叩いた。
平日は学校の野球部、週末になると大分県の女子チームにも所属し、野球漬けの日々を送った。そこでは、小学生の時には感じなかった男子との「力の差」を痛感することになる。
「小学生ならある程度、男子のなかでも負けていなかったですが、中学生になると球速や脚力など体格差もすごい。周りに置いていかれる部分もありましたが、レベルの高い環境のなかで成長できると割り切って。もっと上手くなりたい思いがありました」
高校は女子硬式野球の秀岳館高(熊本)に進学し、同級生と切磋琢磨しながら高校3年夏に待望のエースナンバー「1」を勝ち取った。カテゴリーが上がるにつれ「やっぱり上には上がいる」と痛感しながらも、「もっと自分は成長したい。やるなら厳しい環境で野球をやりたい。強いチームで勝ちたい思いがあった」という。高校卒業後はさらなる高みを目指し、IPU環太平洋大学を選んだ。
「一番はケガをしないこと。今回のことで改めて学びました」
大学では昨年の「第15回全日本大学女子硬式野球選手権大会」で連覇を果たすなど順風満帆に見えたが、今春は右肩、腰を痛めて登板機会は激減した。現在はブルペン投球を再開しているが万全の状態ではないため、8月に台湾・台南で開催予定の「第10回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループステージB」に向けた日本代表候補からは外れている。
それでも、来年7月に米イリノイ州ロックフォードでファイナルが行われる「第10回 WBSC女子野球ワールドカップ・ファイナルステージ」への出場は諦めていない。現在、大学4年生。トップチームでの2度目の「ジャパン」入りを目指し、卒業後も憧れのユニホームに再び袖を通すことを思い描きながら野球を続ける。
「昨年の代表は大学生チームだったので、トップチームに入ってユニホームを着られるように頑張りたいと思います。一番はケガをしないこと。今回のことで改めて学びました。大学を卒業しても強いチームに入り、自分が追っていく立場でいたい。自分のベストが出せるまで野球を続けたいです」
世界の打者を圧倒する“日本一の投手”になるために――。佐藤投手の向上心が尽きることはない。
記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images, Full-Count




















