U-12代表・桑田真澄監督が掲げる理念 チームに根付くキーワード…目指す「日本野球の良さ」
野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表は「第12回 BFA U12アジア選手権」(8月9~15日、中国・杭州市)に出場する。桑田真澄監督は大会に向けた意気込みを語るとともに、監督就任への経緯や、チーム作りで大切にしている3つの言葉に込められた意義なども説明した。
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8月9日から始まる「第12回 BFA U12アジア選手権」に挑むU-12代表
野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表は「第12回 BFA U12アジア選手権」(8月9~15日、中国・杭州市)に出場する。桑田真澄監督は大会に向けた意気込みを語るとともに、監督就任への経緯や、チーム作りで大切にしている3つの言葉に込められた意義なども説明した。
オイシックス新潟アルビレックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)を務める桑田監督は、今回のU-12代表指揮官のオファーは当初は断るつもりだったという。「オイシックス新潟を離れる期間が長くなるので、最初はお断りしようと思っていました。ただ、お話をいただいた際に『勝つことも大切だけれど、野球を通じて子どもたちの成長を支えてほしい』という言葉をいただき、その考え方に強く共感しました。『何としても優勝してほしい』という依頼だけだったら、おそらく引き受けていなかったと思います。オイシックス新潟の後押しにも感謝しています」と振り返った。こうしてプロ選手として、指導者として実績のある桑田監督が誕生した。

守備重視のチーム作り「野球は打ち勝ち続けることは難しい」
4月に実施された「全日本合同トライアウト ~デジタルチャレンジ~」の動画選考を経て、6月には2次選考合宿を行い、15人の精鋭を選出した。「投手と捕手を多めにとらないと試合が成立しないと思ったんです」。投手、捕手ともに他のポジションも守れる選手を選んだ。その中で遊撃手と二塁手は“専門職”としてこだわったという。
「私は幼い頃から野球を続け、選手としてたくさんのチームと対戦してきましたし、指導者としても多くの試合を見てきましたが、野球は打ち勝ち続けることが難しいスポーツです。だからこそ、粘り強く守り、走塁で次の塁を奪い、貪欲に1点を取りにいく。その積み重ねが勝利につながります。私は、それこそが日本野球の強みであり、世界に誇れる野球だと思っています」。こうして桑田監督が掲げる理念とともに守備、走塁を重視したチームが誕生した。
現代の子どもたちは桑田監督らの幼少期と比較しても体格は大きくなり、パワー、スピードは上回っている。しかし、「技術、上手さと言いますか、そのあたりはやや欠けていると思うんです。今はパワー、スピードの時代なので、そちらに偏り過ぎているんじゃないかな、と思っています」。
投手はスピードではなく制球力。打者はどんな球でもコンタクトするバットコントロール。守備はどんなバウンドでも体をうまく使って捕球から送球する。走者は絶妙なタイミングでスタートし、守備の隙をついて進塁する。細かい技術を「子どもたちはできないのではなく、そのやり方をまだ知らないだけだと思っています。小・中学生の時期は、パワーやスピードを追い求めるよりも、神経系が大きく発達する大切な時期です。だからこそ、投げる、打つ、捕る、走るといった技術を身につけることが、その後の大きな成長につながると考えています」として、U-12代表でも意識的に取り組んでいる。
行動指針「バランス、チャレンジ、リスペクト」とは…
選手には強い人、強い選手になることを求め、行動指針としてバランス、チャレンジ、リスペクトの3つの言葉を与えている。それぞれの頭文字を取った「B・C・R」は「彼らが高校、大学、社会人となった時に分かってくるかもしれませんが、今の年代でそういうことに取り組むっていうのはすごく大事だと思っています」。
グラウンドだけでなく団体生活、私生活でも重視する「B・C・R」。チャレンジとリスペクトは言葉通りの意味合いではあるが、バランスについても興味深く説明する。
「バランスというのは、野球だけではありません。勉強も遊びも大切ですし、練習だけでなく栄養や睡眠も欠かせません。何か一つだけを頑張ればいいのではなく、すべてをバランスよく整えることで、人としても選手としても成長できます。その考え方を子どもたちに伝えたいと思っています」
子どもたちにも桑田監督の教えは浸透している。食事会場でカボチャが苦手な選手が「でも、バランスだからな。1個だけ食べよう」とチャレンジしていたという。「いや、凄いなと思いましたよ。感心して見ていました」と嬉しそうに報告した。

自身の息子よりも年下の選手たち…「信頼関係を築くようにしています」
心身ともに充実したチームで世界大会に臨む。
「今回対戦する国々には、身体能力も高く、力のあるチームもあります。しかし、野球は個人競技ではありません。仲間を信頼し、お互いを支え合い、一つの目標に向かって力を合わせる『団結力』がチームを強くします。このチームの一番の武器は、その団結力だと思っています」
桑田監督自身も「B・C・R」を実践している。「彼らは僕の息子たちよりもさらに年下なんですけど、1人の人間としてリスペクトしながら、対等に向き合うことを大切にしています。子どもだから一方的に教えるのではなく、一緒に考え、対話しながら信頼関係を築く。それが指導者として最も大切なことだと思っています」。現役時代にマウンドで見せていた闘志は、現在は指導者としての眼差しとなり、未来ある教え子たちへと注がれている。
「この大会では勝利を目指すことはもちろんですが、それ以上に、国を代表して戦う経験を通して、一人の人間として大きく成長してほしいと願っています。その経験は、将来きっと野球だけでなく、それぞれの人生の大きな財産になるはずです」
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