侍ジャパンの2連勝を呼んだエースの快投 菅野に称賛の嵐、敵将も「お手上げ」

2017.3.9

野球日本代表「侍ジャパン」は8日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1次ラウンド第2戦でオーストラリアと対戦し、4-1で勝利した。先発・菅野智之投手(読売)は2回に先制ソロを浴びたものの、その他は危なげない投球。エースの投球に味方だけでなく敵将からも称賛の声が寄せられた。

写真提供=Getty Images

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2回に先制弾許すもゲーム作る、小久保監督は「菅野の投球から逆転に繋がった」

 野球日本代表「侍ジャパン」は8日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1次ラウンド第2戦でオーストラリアと対戦し、4-1で勝利した。先発・菅野智之投手(読売)は2回に先制ソロを浴びたものの、その他は危なげない投球。5回途中に1次ラウンドの球数制限に設定されている65球を超えたため、1死一、二塁のピンチで降板となったが、2番手・岡田俊哉投手(中日)が切り抜けた。菅野は4回1/3を投げて66球、4安打1失点4奪三振1死球の成績で勝利に貢献。エースの投球に味方だけでなく敵将からも称賛の声が寄せられた。

 初回を無失点でスタートした菅野。2回は2死からデサンミゲルに外角へのスライダーをライトに運ばれ、東京ドームの右翼席最前列に飛び込むソロ本塁打で先制を許した。「最初の失点は2アウトからの長打だったので反省しないといけない」。試合後にはこう振り返ったが、ここで崩れないのがエースだ。

 3回は8球で3者凡退。味方が3イニング連続3者凡退と抑え込まれる中、4回も1死二塁のピンチを連続三振で切り抜ける。すると、沈黙していた打線が5回に松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)の犠飛で同点に追いついた。

 その裏、菅野は1死一塁の場面でハーマンに粘られ、8球目をファウルとされたところで1次ラウンドの球数制限である65球に到達。最後は66球目のスライダーを三遊間に運ばれ、内野安打で1死一、二塁とピンチを広げられたところで降板となった。それでも、左腕・岡田が1死満塁となってからベレスフォードをニゴロ併殺打に仕留め無失点。菅野に2失点目が付くことはなかった。

「出来れば5イニングを投げきるというのが1つの目標だった」という右腕。その「目標」はわずかに果たせなかったが、エースの踏ん張りにチームが応えた。7回に中田翔内野手(北海道日本ハム)のソロ本塁打で勝ち越すと、8回には筒香嘉智外野手(横浜DeNA)がダメ押しの2ラン。終わってみれば快勝だった。

相手指揮官も手放しで絶賛「脱帽という表現が当てはまる」

 値千金の一発を左翼席中段に打ち込んだ中田は「菅野がすごく一生懸命、粘り強く投げていたので、2点目は絶対にこっちが先に取ってやろうという気持ちで打席に入りました」とエースの熱投に心を動かされていた。さらに、小久保裕紀監督も「菅野が粘り強く1失点でしのいでくれて、そこが逆転に繋がったと思っています」と称賛。エースを開幕戦ではなく2戦目の先発に持ってきたことについて「日程が出て初戦がキューバ戦と分かった時点で2戦目は智之と決めました。キューバ戦で万が一のことがあったら、2戦目は絶対に落とせない。そういう意味でオーストラリア戦にしました」と明かした。そんな指揮官の絶大な信頼に菅野が応えた。

 そして、この日の投球を敵将も絶賛した。長年、レッドソックスで環太平洋地区担当スカウトを務め、現在はドジャースの極東担当スカウトに就くなど日本の選手に精通しているオーストラリアのジョン・ディーブル監督は「菅野は日本で一番いいピッチャー。ああいう投球をされたらお手上げです」と話した。

「インパクトを受けた。ああいうスピードを投げるピッチャーは(オーストラリアには)いない。96、97マイル(約155、156キロ)はメジャーレベル。脱帽という表現が当てはまる」

 まさに手放しでの賛辞。これを伝え聞き、「光栄です」と笑みを浮かべた菅野は「いつも東京ドームのマウンドに立ち慣れているけど、今日は独特の雰囲気の中で投げることが出来た。忘れられない一日になったし、自分の野球人生の中でこの経験がプラスになることは間違いないと実感しました」と、自身のWBC初マウンドを振り返った。


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