侍ジャパンで頭角現す武田翔太、周囲が“真似できない”カーブとは

2016.12.5

侍ジャパンでも大きな戦力となりつつある武田。本人の中では日の丸に対してどのような思いを抱いているのか――。国際大会の環境の違いや外国人打者の印象、得意とする「カーブ」の極意なども交えて語ってもらった。(後編)

写真提供=Full-Count

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武田翔太が語る「カーブ」の極意 真似すると「ケガをする」

 今季、福岡ソフトバンクで自己最多の14勝(8敗)をマークした武田翔太投手。2011年のドラフト1位で入団した右腕はプロ4年目の昨季に自身初の2桁勝利(13勝)に到達し、5年目も順調に成績を伸ばしている。防御率2.95はリーグ6位(チーム2位)、勝ち星はリーグ2位タイ(チーム2位)、183投球回はリーグ3位(チームトップ)で、選手層の厚い福岡ソフトバンクでも先発ローテの柱としてチームを牽引している。

 そんな23歳は野球日本代表「侍ジャパン」でも大きな期待を寄せられている存在だ。11月に行われた強化試合にも招集され、4試合あるうちの初戦、メキシコ代表との第1戦で先発のマウンドを託された。初回に先頭から2連打と四球で無死満塁のピンチを招いたものの、4番の指名打者アマダーを空振り三振に仕留めると、そこから3者連続三振。3回まで無失点で切り抜けた。4回に同点に追いつかれて降板したが、4回77球と球数がかさみながらも3安打1失点と粘りの投球を見せた。

 侍ジャパンでも大きな戦力となりつつある武田。本人の中では日の丸に対してどのような思いを抱いているのか――。国際大会の環境の違いや外国人打者の印象、得意とする「カーブ」の極意なども交えて語ってもらった。(後編)

――武田投手の大きな武器として、カーブという球種があります。カーブも縦の変化が大きい球ですが、投げる時に、ボールの違いは影響があるのでしょうか。

「全然、違いますね」

――よく言われているのは、ボールが滑るということですが。

「滑るのもありますし、変化量がメジャーのボールだと違うんです。日本のボールよりも、メジャーのボールの方が、縫い目が広いんですよ。広くて、山が低い。だからちょっと空気抵抗が大きくなるんです。めっちゃ曲がるんで」

――縫い目が揃っていないという話も、よく聞きます。

「1球1球、違うんですよ。ボールによって違いますね。このボールは本当に山がないな、とか、逆に山が高いなとか」

――国際試合では、相手の違いや球数制限などもあります。レギュラーシーズンとは投球や配球を変えたりするのですか。

「配球に関しては、僕はその場、その場で決める方ですね。国際試合というよりは、その試合ごとに変えています。その日の調子とか、投げている時に相手の反応を見ています」

バロメーターとなる球種、カーブは「ベースに当たったら絶対に振る」

――その日の調子の目安になるボールはありますか。

「やっぱり真っすぐじゃないですか」

――それは単純に、球が走っているかどうかということですか。

「いや、僕はどちらかと言えば、調子というのはコントロールの方ですね。あまりスピードはこだわっていないので。スピードというよりは、ちゃんとボールを扱えているかということですね。狙ったところに投げられているか、ということです」

――武田さんは、3種類ぐらいのカーブを投げ分けているということですが、具体的には、どのように変化をつけているのですか。

「やり方は簡単ですよ。投げる角度を変えれば、縦に落ちたりするし、指の向きを変えれば、斜め横に曲がるし。握りは基本的に同じです。ボールの軸の向きによっては縦に落ちるし、また違った向きなら横に曲がります」

――ストレートだと、構えたミットを目がけてそのまま投げればいいわけですけど、カーブの場合は、変化した結果を考えなければいけない。今日はこのぐらい曲がるから、この辺りを目がけて投げる、という感じですか。

「まあ、そういう感じですね。そこを微妙に調整していく感じですね。打者に対して、上から入れる時と三振を取る時とは、また違いますからね。上から入れる時は、自然と上になりますよね。逆に三振を狙う時は、100パーセント、ワンバウンドしか投げない、それぐらいの感覚で投げています」

――では、ワンバウンドを狙って投げることもあるわけですね。

「狙って投げますね。追い込んでから、ベースに当てるのがベストなんです」

――それでも振ってしまう、ということですね。

「ベースに当たったら、絶対に振るんです。ベースよりも手前に落ちたら、振らない時もありますね」

真似できないカーブとは

――メキシコ戦では、2メートルぐらい手前でワンバウンドした球を空振りした選手もいましたが。

「たぶん、フォークに見えるんだと思います。途中までの軌道が」

――バックネット裏のスカウトも、あの球はフォークか、カットかと、すごく騒いでいましたね。あまり見たことがない球、ということでしょうか。

「速いんですかね。バッターから見ると、普通のカーブみたいに、出だしで一度、ポーンと上に上がる感じの球ではないんですよね。そのまま出てくる感じで、同じアングルから来て、落ちる感じだと思います。どちらかと言えば、スライダーに近い感覚じゃないですか」

――よく言う打者の目線が上がる、というカーブではないということですね。

「カウント球のカーブだと、上がるんですけどね。そこは投げ分けているので」

――侍ジャパンのチームメイトからも、カーブのことを聞かれますか?

「よく聞かれますけど、たぶん無理だと思います。投げ方が違うんですよ。体の使い方が違うというか、投げ方が根本的に違うんですよ。テイクバックから、トップまでの移行のやり方が違うので。ちょっと特殊かなと思います」

――真似をしようと思ってもできない。

「ケガすると思います」

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