侍ジャパン選出は「非常に光栄なこと」 米国に渡った筒香嘉智が抱く代表への想い

2022.1.31

2017年3月21日(日本時間22日)。「2017ワールド・ベースボール・クラシック™」(以下第4回WBC)準決勝の舞台となったドジャースタジアムは、年に数えるほどしか訪れない雨模様だった。南カリフォルニアを象徴する青空は分厚い雨雲に覆い隠されてしまっていたが、グラウンドで繰り広げられる試合は回を追う毎に熱気を増す一方だった。

写真提供=Getty Images

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2017年の第4回WBCには主砲として出場も、準決勝で米国の前に涙

 2017年3月21日(日本時間22日)。「2017ワールド・ベースボール・クラシック™」(以下第4回WBC)準決勝の舞台となったドジャースタジアムは、年に数えるほどしか訪れない雨模様だった。南カリフォルニアを象徴する青空は分厚い雨雲に覆い隠されてしまっていたが、グラウンドで繰り広げられる試合は回を追う毎に熱気を増す一方だった。

 2大会ぶりの優勝を狙う野球日本代表「侍ジャパン」と、現代野球発祥の地としての威信にかけて初優勝を飾りたい米国。両者一歩も譲らず、3回までともに無得点という均衡を破ったのは米国だった。

 4回2死一、二塁からアンドリュー・マカッチェン外野手が左翼へ先制タイムリー。日本は6回に菊池涼介内野手(広島東洋)のソロ弾で同点に追いつくが、米国は8回に1死二、三塁からアダム・ジョーンズ外野手(前オリックス)が三塁ゴロに倒れる間に1点を勝ち越し、そのまま試合を決めた。

 この日、日本の4番を任されたのは、当時横浜DeNAが誇る主砲・筒香嘉智外野手(現ピッツバーグ・パイレーツ内野手)だった。守ってはマカッチェン選手が放った先制打を左翼で処理し、打っては1点を追う8回にあわよくば同点アーチかという大飛球を放つも右翼フェンス間際で失速。要所に絡みながらも勝利の波を引き寄せられず、涙を呑んだ。

国際大会を経験できる唯一の場所「向上心を掻き立てられる」

 大きな悔しさから4年が過ぎた2021年5月18日。戦いの舞台をメジャーリーグに移し、2季目を迎えていた筒香選手は、ロサンゼルス・ドジャースのユニホームを身にまとい、ドジャースタジアムの左翼に就いた。あの日、メジャーリーグへの想いを強くした球場を、こんなに早く本拠地と呼ぶ日が来るとは、筒香選手自身でさえ予想しなかったことだろう。

 子どもの頃からメジャーリーグでプレーしたいという目標を抱き続けたスラッガーに、その想いを新たにさせたのが第4回WBCをはじめ、侍ジャパンとして戦った数々の国際大会だった。

「日本にいれば侍ジャパンに選ばれないと、海外の選手と対戦する経験はなかなか持てません。国際大会で各国のトップが集まる代表チームと対戦することで新たな気づきが得られたり、自分自身のスキルアップにも繋がったりする。侍ジャパンは、もっと上手くなりたい、もっとスケールの大きな選手になりたい、と向上心を掻き立てられる場だと思います」

 2015年に開催された「第1回 WBSC プレミア12」で初めて代表入りすると、第3回WBC、2018日米野球ほか、数多くの強化試合で日の丸を背負った。白地に黒のピンストライプがあしらわれた侍ジャパンのユニホームを着ることが誇らしく、同時に大きな責任も感じたという。

「やはり侍ジャパンは、子どもたちはもちろん、大人も含めて日本全国から大きな注目を集めるもの。出場する大会や試合はたくさんの方々が応援してくださるので、その一員としてプレーできるのは非常に光栄なことだと思っています」

栗山監督はメジャー選手の招集も示唆「もう一度あのユニホームで戦いたい」

 昨年12月、侍ジャパンはトップチームの新監督として、前北海道日本ハム監督の栗山英樹氏を迎えた。最大の使命は、2023年3月に予定される第5回WBCで3大会ぶりの頂点に立つことだ。まずは今年3月5、6日に行われる「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2022 日本vsチャイニーズ・タイペイ」で初陣を飾る。

 栗山監督は就任会見で「メジャーを肌で感じている選手の経験は凄く大きい。日本でプレーしている選手が憧れる選手ばかり。そういう選手と一緒にやることにも凄く意義がある」「アメリカの選手だろうと、勝つために必要な選手は呼ぶ」と話し、日本人メジャーリーガーの招集を示唆。前回大会に出場した筒香選手にも声が掛かる可能性はある。

「メジャーの場合、どうしても僕の意志だけでは決められない部分がありますが、それを抜きに考えた場合、もちろん出たい。非常に魅力のある場所だと感じています。声を掛けていただけるのであれば、もう一度あのユニホームで戦いたい気持ちはあります」

 向上心を掻き立て、新たな一歩を踏み出す後押しをしてくれた貴重な経験。海を渡り、メジャーリーグを主戦場とする今でも、侍ジャパンには特別な想いを抱いているようだ。

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