各年代が躍動した侍ジャパンの2023年 WBC優勝、アジチャン2連覇、U-18史上初優勝

2023.12.11

残りわずかとなった2023年。全カテゴリーで国際大会が開催された今年は、野球日本代表「侍ジャパン」にとって躍動の年となった。2023年にはどのような大会が開催されたのか、侍ジャパンの成績とともに振り返ってみたい。

写真提供=Getty Images

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トップチームの劇的な3大会ぶりWBC優勝で幕開け

 残りわずかとなった2023年。全カテゴリーで国際大会が開催された今年は、野球日本代表「侍ジャパン」にとって躍動の年となった。2023年にはどのような大会が開催されたのか、侍ジャパンの成績とともに振り返ってみたい。

 全カテゴリーを通じて今年最初の国際大会となったのが、3月に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(WBC)だった。栗山英樹前監督率いる侍ジャパンには、NPBを代表するトップ選手にとどまらず、大谷翔平投手(当時ロサンゼルス・エンゼルス)、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)、吉田正尚外野手(ボストン・レッドソックス)、さらには日系人のラーズ・ヌートバー外野手(セントルイス・カージナルス)がMLBから参戦。文字通り、日本を代表するメンバーが勢揃いした。

 1次ラウンドを4戦全勝で勝ち抜いた日本は、東京ドームが舞台となった準々決勝ラウンドに駒を進めると、イタリアを9-3で撃破。準決勝と決勝が開催される米国マイアミへと向かった。

 準決勝ではメキシコと対戦。日本は4回に3点を奪われ、負う展開で試合終盤を迎えた。7回2死から安打と四球で一、二塁としたところで、吉田選手が起死回生の同点3ランを右翼席に叩き込み、試合を振り出しに戻した。直後に2点を奪われ、再び負う展開となったが、1点差で迎えた9回だった。大会を通じて打撃の状態が上がらなかった村上宗隆内野手(東京ヤクルト)が逆転サヨナラ二塁打を放ち、劇的な勝利で決勝に進んだ。

 米国と対戦した決勝戦も緊迫した試合展開となった。8回に1点差まで追い上げられて迎えた9回、マウンドに上がったのはこの日、3番・指名打者として先発出場していた大谷選手だった。ダグアウトとブルペンを行き来しながら準備を整えた大谷選手は、先頭打者に四球を与えたが、続く打者を併殺打。最後はマイク・トラウト外野手をスイーパーで空振り三振に仕留め、日本が3大会ぶりに優勝を飾った。

大学代表は敵地で史上2度目の優勝、U-18代表は史上初のW杯制覇

 トップチームの劇的な優勝に続けとばかりに、7月以降に開催された国際大会で各カテゴリーも躍動した。

 日本時間7月8日から米国で開催された「第44回日米大学野球選手権大会」では、3戦目を終えて1勝2敗とされた日本が、接戦を制した第4戦から2連勝。対戦成績を3勝2敗として2大会連続20度目の優勝を飾った。さらに、敵地での優勝は2007年以来、史上2度目という快挙達成となった。

 7月28日から台湾が舞台となったのは「第7回WBSC U-12ワールドカップ」だ。前年に続き井端弘和監督が率いたU-12代表は、オープニングラウンドでチャイニーズ・タイペイとベネズエラに敗れたが、3勝2敗でスーパーラウンドに進出。スーパーラウンドは3戦全勝として進んだ3位決定戦では、再びベネズエラと対戦することになった。逆転に次ぐ逆転と拮抗した試合は、3点を追う最終回に日本が1点差まで詰め寄ったが8-9と惜敗し、4位に終わった。

 8月20日からは中国・威海市で「第11回BFA U15アジア選手権」が開催された。公募で選ばれた今山和之監督が指揮を執ったU-15代表は、初戦から5戦全勝で決勝へ進出し、チャイニーズ・タイペイと対戦した。スーパーラウンド初戦で対戦し、6-5と辛くも逃げ切った相手との再戦は、一進一退の好試合。だが、5回に許した4点が響き、日本は4-6で敗れて準優勝となった。

 夏の甲子園を沸かせたスターが集まった「第31回WBSC U-18ワールドカップ」は8月31日開幕。悲願の優勝を目指す馬淵史郎監督(明徳義塾高)は長打に頼るのではなく、ヒットを繋いで1点をもぎ取り、投手力で守り抜くプレースタイルで臨んだ。日本はオープニングラウンド最終戦でオランダに敗れたが4勝1敗でスーパーラウンドへ。スーパーラウンド最終戦でチャイニーズ・タイペイに敗れたものの決勝に駒を進めた。

 決勝ではそのチャイニーズ・タイペイと2日連続の顔合わせ。初回に1点を先制されたが、4回の好機でスクイズを成功させると、相手のエラーを誘って逆転に成功した。その後は鉄壁の投手陣が無失点リレーで繋ぎ、2-1で初優勝。なかなか成し遂げられなかった、史上初となるワールドカップ制覇の快挙に沸いた。


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女子代表はW杯7連覇かかる来年へ弾み、井端ジャパンは初陣で優勝

 女子代表は9月に広島で「カーネクスト presents 第9回 WBSC女子野球ワールドカップ・グループB」に参加。2024年7月にカナダで開催される大会に向けて、5戦全勝で危なげない戦い方を披露した。投打がかみ合った試合展開で、前人未到となる大会7連覇に向けて弾みをつけた。

 社会人代表は10月に「第19回アジア競技大会」に参戦。2019年以来初めてのフル代表で臨んだ大会は、第3戦で中国に0-1で敗れるという波乱が起こりながらも3位決定戦に進出。再び対峙した中国に4-3と競り勝って銅メダルを獲得した。12月には「第30回BFAアジア選手権」に出場し、優勝という成績で締めた。

 10月、トップチームを率いる新たな声として井端弘和監督が就任。初陣として臨んだ11月16日からの「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」では新生侍ジャパンが躍動した。24歳以下または入団3年目以内の若手を中心としたメンバーとなったが、鉄壁の投手陣がチャイニーズ・タイペイ、韓国、オーストラリア打線を圧倒。これを打線が援護しながら、4戦全勝で大会2連覇を果たした。

 2024年には11月に「ラグザスpresents第3回WBSCプレミア12」が開催される。女子代表も7月にカナダで「カーネクストpresents第9回WBSC女子野球ワールドカップ・ファイナルステージ」に出場するほか、各カテゴリーで国際大会が予定されている。2024年もまた、侍ジャパンが大きく躍動する年となることを期待したい。

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