女子代表が4年ぶりの国際大会で圧倒的な存在感 真剣勝負でアジアカップ3連覇

2023.6.19

野球日本代表「侍ジャパン」女子代表が4年ぶりの国際大会で、その強さを見せつけた。5月21日から6月1日まで香港を舞台に開催された「第3回 BFA女子野球アジアカップ」(以下アジアカップ)に出場し、圧巻の6戦全勝で大会3連覇を達成。9月に広島が舞台となる「第9回 WBSC女子野球ワールドカップ グループステージ」に向けて弾みをつけた。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

2019年以来となる国際大会にフル代表が参戦

 野球日本代表「侍ジャパン」女子代表が4年ぶりの国際大会で、その強さを見せつけた。5月21日から6月1日まで香港を舞台に開催された「第3回 BFA女子野球アジアカップ」(以下アジアカップ)に出場し、圧巻の6戦全勝で大会3連覇を達成。9月に広島が舞台となる「第9回 WBSC女子野球ワールドカップ グループステージ」に向けて弾みをつけた。

 2020年に全世界を襲った新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国際大会は軒並み延期か中止に。女子代表は実に4年の長きにわたり、国内での活動に制限されていた。アジアカップは2017年と2019年の過去2大会、U-18世代の若手で構成された代表チームが参加していたが、今回は国際大会のフォーマットの変更もあり、フル代表が参戦。中島梨紗監督の下、全力プレーを披露した。

 ファイナルラウンドからの参加となった日本は、韓国、フィリピン、そして1次ラウンドを勝ち上がったインドネシアと同組となった。4チームが総当たり戦を行い、上位2チームがスーパーラウンドに進出。日本は初戦で韓国に10-0で完封勝ちを収めると、続くフィリピン戦では1点を失ったが7-1と快勝。3戦目のインドネシア戦では、初回に12点を挙げるなど27-0(4回コールド)と圧勝し、スーパーラウンドへ駒を進めた。

スーパーラウンドの2戦はいずれもコールド勝利

 チャイニーズ・タイペイと戦ったスーパーラウンド第1戦では、レジェンド右腕の里綾実投手(埼玉西武ライオンズ・レディース)が先発。1点を先制した直後の1回裏、1死から3連打を許して同点に追いつかれたが、その後は三塁を踏ませず。5回にマウンドを継いだ水流麻夏投手(阪神タイガースWomen)が無失点に抑え、12-1で5回コールド勝利を収めた。

 第2戦では香港と対戦。先発の小野寺佳奈投手(読売ジャイアンツ)は初回を3者凡退としたが、2回と3回は走者を背負いながらも無失点と粘投。これに打線が応えた。特に、1・2番コンビの活躍は目覚ましく、田中美羽内野手(読売ジャイアンツ)が3安打、星あかり内野手(淡路BRAVEOCEANS)が3打点と打線を牽引。15-0で4回コールド勝ちし、決勝進出を果たした。

決勝で5回無失点とした田中露朝が大会MVPに

 決勝では再びチャイニーズ・タイペイと対戦。先発マウンドに上がったのは、今大会2度目の登板となる田中露朝投手(ZENKO BEAMS)だった。田中投手は初回、いきなり先頭打者に左翼へ二塁打を運ばれた。その後、1死三塁のピンチを招いたが、相手のスクイズを見破って併殺に仕留めて無失点。2回以降も走者を出したが、5回までスコアボードに「0」を並べた。

 打線は2回に川端友紀内野手(九州ハニーズ)による左翼へのヒットを皮切りに、4安打で2点を先制。3回と4回にも2点ずつを加え、6点リードに広げた。

 6回からマウンドに上がった板東瑞紀投手(阪神タイガースWomen)が3本の長短打やボークで3点を献上したが、直後に打線が2点を追加。8-3と突き放し、見事、大会3連覇を飾った。大会MVPには2試合に先発し、計7回を無失点とした田中投手が輝いた。

 女子野球ワールドカップ6連覇中の日本は世界でも頭抜けた実力を持ち、野球新興国の多いアジアでは他チームを圧倒する存在だ。だが、大会を通じて、対戦相手をリスペクトしながら真剣勝負する姿勢を崩さなかった。


写真提供=Getty Images

9月には広島でワールドカップ7連覇へ始動「ベストパフォーマンスができるよう準備」

 香港から帰国し、都内で優勝記者会見に出席した中島監督は「6試合全てで先制点を取り、ゲームの主導権を握り、主導権を離さずに戦えたことが、優勝できた一番の要因だと思います」と勝因を分析。「ベンチワークもすごく良かったですし、声出しや準備もし続けてくれました」と選手たちの全力プレーを称えた。

 次なる戦いの舞台は、9月の「第9回 WBSC女子野球ワールドカップ グループステージ」だ。日本で女子の国際大会が開催されるのは、2014年以来のこととなる。「女子野球自体をまだまだ知らない方が多いと思いますし、日本代表チームがあるということ、世界にもたくさんのチームがあることを知ってもらうチャンスになる。ベストパフォーマンスができるよう準備を進めていきたいです」と中島監督。広島で大会7連覇に向けての第一歩を踏み出す。

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事