主要国際大会では無失点 「頼られたい」侍ジャパン絶対的クローザーの矜持

2021.12.13

横浜DeNAの山崎康晃投手はプロ7年間で通算170セーブを挙げ、最多セーブ投手にも2度輝いた名クローザーだが、国際大会となるとまさに無敵。プロ入り後は強化・壮行試合を除く主要な国際大会で5度、日本代表のユニホームに袖を通し、計15試合15イニングで1点も許していないのだ。野球日本代表「侍ジャパン」を象徴する男が、大舞台で力を発揮できる秘訣を明かした。

写真提供=Full-Count

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2015年「第1回WBSCプレミア12」から主要5大会で無失点

 横浜DeNAの山崎康晃投手はプロ7年間で通算170セーブを挙げ、最多セーブ投手にも2度輝いた名クローザーだが、国際大会となるとまさに無敵。プロ入り後は強化・壮行試合を除く主要な国際大会で5度、日本代表のユニホームに袖を通し、計15試合15イニングで1点も許していないのだ。野球日本代表「侍ジャパン」を象徴する男が、大舞台で力を発揮できる秘訣を明かした。

「無失点? あれっ、そうでしたっけ? でも、基本的に1イニングしか投げていませんから」と謙遜するが、驚異的な結果が残っている。今夏も2試合に登板し、計2イニング無失点。金メダル獲得に貢献した。

 振り返れば、亜細亜大学3年時の2013年夏、「第39回日米大学野球選手権大会」で大学代表に選出された。この大会は、大学代表が侍ジャパンとしてトップチームと同じユニホームを着た最初の大会だった。山崎投手は抑えの切り札として5試合中4試合に登板し、計6イニング無失点。最優秀投手賞を受賞している。プロ入り後は2015年と2019年の「WBSCプレミア12」、2017年の「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」、2018年の「2018日米野球」、そして今夏の東京を含め、計15試合15イニング無失点である。

未知の強打者たちと対戦「力勝負は、非常に楽しい」

 1球1球に魂を込め、時には雄叫びを上げながら投げる。「僕のピッチングスタイル、性格を考えると、短期決戦で力を発揮することは比較的得意かもしれませんね」とうなずく右腕。「スケジュールが密で練習時間もものすごく限られますが、その中でコンディショニング、体調管理を含めて、自分にできることを精一杯やれるようにと心がけています」と秘訣の一端を明かす。

 国際大会の相手はメジャーリーガーを含む、未知の強打者たち。「アンテナがビンビン立つ感覚と言えばいいのでしょうか。普段の試合以上に、感覚が鋭くなります」と説明する。

「戦ったことがない相手ですから、試合の中で細かい動きを観察しようとします。自分のボールがどう見られているのか、どの球種が狙われているのか……。僕の場合、大事な場面ではストレートとツーシームの2種類に頼りがちになるので、そこはなおさら駆け引きですよね。大怪我をしないように、という感覚を研ぎ澄ましています」

 重圧はもちろんあるが、「相手打者も僕のことをよく知らない中での力勝負は、非常に楽しい。格上のバッターと戦うことによって、成長させてもらっていると感じます」と前向きに捉えている。

金メダルで締めくくった稲葉前監督から「ありがとね」と労いの言葉

 そんな山崎投手にとって“ベストシーン”は、2019年11月17日、「第2回WBSCプレミア12」の決勝・韓国戦だ。

 5-3とリードして迎えた9回に登場。2者を内野ゴロに打ち取った後、最後の打者ヤン・ウィジ捕手を内角低めに沈むツーシームで空振り三振に仕留め、胴上げ投手となった。「日本中が注目する中で、9回のマウンドに立たせていただいた。あの場所を経験できたことが自信につながっている」と振り返る。

 稲葉篤紀前監督(現北海道日本ハムGM)の下では、初陣の「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」から今夏の東京に至るまで、代表メンバーから外れることがなかった。退任にあたって「ヤスは最初から最後までいてくれたね。ありがとね」と語りかけられた。「稲葉さんは選手に優しい監督で、コミュニケーションを非常によく取ってくださいました」と感激を新たにしている。

栗林ら新戦力が台頭も、栗山新監督の下でも「頼られたいな」

 12月2日、侍ジャパンは栗山英樹新監督が就任。2023年には「第5回ワールド・ベースボール・クラシック™」が予定されている。山崎投手はそこでもまた、侍ジャパンの一員としてマウンドに上がるのだろうか。

「どうなんですかね。抑えには栗林(良吏投手・広島東洋)君が出てきたり、いろんな選手がいる。もちろん僕自身、海外の格上の選手と対戦してみたい、自信のあるボールを放って反応を見てみたい気持ちはあります。でも、ようやくシーズンオフに入ってひと段落した時期ですし、今考えるのは難しいです」と思案顔。「でも……頼られたいな、という風には思います」と付け加えた。

 のっぴきならない場面で侍ジャパンのチームメートから、首脳陣から、そして固唾を呑んで見守る日本国民から「頼られたい」。これぞ、トップクローザーの矜持である。

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