高校日本代表、侍ジャパン壮行試合で大学日本代表と引き分け 163キロ右腕・佐々木が衝撃の全国デビュー
8月30日から韓国・機張で開幕する「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場する高校日本代表が26日、明治神宮野球場で大学日本代表と侍ジャパン壮行試合を行い、5-5で引き分けた。格上の大学生が相手だったが、五分五分、もしくは、それ以上の戦いぶりを見せた。悲願のW杯の初優勝へ向け、チームは確かな手応えをつかんだ。
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U-18W杯へ向けて壮行試合、先発の佐々木は最速156キロ「コースに決まれば打ち取れる」
8月30日から韓国・機張で開幕する「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場する高校日本代表が26日、明治神宮野球場で大学日本代表と侍ジャパン壮行試合を行い、5-5で引き分けた。格上の大学生が相手だったが、五分五分、もしくは、それ以上の戦いぶりを見せた。悲願のW杯の初優勝へ向け、チームは確かな手応えをつかんだ。
3万人近い観客の視線を一気に集めたのが、先発した佐々木朗希投手(大船渡高)だった。高校球界最速の163キロ右腕は初回、先頭の大学日本代表、宇草孔基外野手(法政大)を152キロのシュート気味の直球で左飛に仕留め、リズムに乗った。続く小川龍成内野手(国学院大)は変化球で、3番の柳町達外野手(慶應義塾大)は直球で空振り三振を奪った。球場表示最速156キロの直球とフォークボールを使い分け、圧倒的な投球を披露して1回無安打無失点でマウンドを降りた。
「(自チームの1回表の)攻撃が3人で終わってしまった。流れを作りたかったので、自分も3者凡退に抑えられたのは良かったです。しっかりコントロールできたので、コースに決まっていれば打ち取れると思いました」
佐々木投手の言葉通り、流れは高校日本代表に傾いた。2回、4番の石川昂弥内野手(東邦高)の二塁打と敵失で1点を先制。大学日本代表のエース・森下暢仁投手(明治大)から大きな1点をもぎとった。佐々木投手は1イニングのみの登板となったが、役目を果たした。
前日の公式会見では、格上の大学生が相手でも「絶対に勝ちたいと思う」と勝負にこだわる姿勢を見せていた佐々木投手。それは永田裕治監督が選手たちに植え付けていた意識でもあった。「胸を借りるというよりも、とにかく勝ちに行こう」と伝えた。米国、チャイニーズ・タイペイ、カナダ、韓国など、これから戦うことになる海外の強豪チームに勝つためには、ナインに早く勝ちへの執念を持たせる必要があったという。
収穫の多かった一戦に永田監督「こういう試合ができるように頑張っていきたい」
同点の7回1死三塁のピンチの場面では、林優樹投手(近江高)をリリーフに送った。1点もやれない勝負どころで、左腕はピンチを脱出。「永田監督からずっと『ピンチで行くぞ!』と言われていたので、準備はできていた」。四球をひとつ与えたが、得意のチェンジアップで最後は遊ゴロ併殺に仕留めた。W杯でもこのようなワンポイントリリーフや、勝負の分かれ目で登板することが多くなりそうだ。
そして、両チーム譲らずに迎えた9回の攻防。同点で永田監督は勝負どころと見ると、武岡龍世内野手(八戸学院光星高)を代打で起用した。すると、鋭いスイングから右翼線二塁打が生まれ、勝ち越しの走者が出た。送りバントで1死三塁となったところで、指揮官は山瀬慎之助捕手(星稜高)にカウント2-2からスクイズのサイン。それを山瀬捕手がしっかりと決めて、一時は勝ち越しに成功した。最終回に大学日本代表の執念で同点に追いつかれはしたが、力のある相手に互角以上の戦いだった。
打つ方では4番の石川内野手が大学の好投手たちから、3安打2打点をマークし、好調をキープ。夏の愛知県大会で敗れてから、木製バットで数多くスイングしてきた。国内合宿中の練習でも、バットへの対応は他の選手より群を抜いていた。5回にはあと少しで本塁打というフェンス直撃の左翼適時二塁打を放った。「長打が出たのでよかったです。日本の4番に座ることは、プレッシャーはなくもないですが、打たせてもらっていることに喜びを感じています」と語った。
足や小技を絡めて、次の1点を奪い行く姿勢も随所に見せた。日本の持ち味は投手、守りを中心とした緻密な野球。そして、直球がすべて150キロ超えだった佐々木投手の衝撃の全国デビューから、大学日本代表をあと一歩で勝利というところまで追いつめた高校日本代表の粘り――。収穫の多かった試合を終え、最終調整を経て、30日からいよいよU-18W杯が始まる。
「こういう試合ができるように一戦、一戦しっかりと頑張っていきたい」と永田監督。手応えをつかみ、国内最後の対外試合を終えた。カナダ・サンダーベイで行われた前回大会のW杯では惜しくも3位に終わった。悲願の世界一へ向け、高校日本代表は決戦の地・韓国へと渡る。
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