侍ジャパンU-15、福島出身の先発・黒須が被災地の思いを込めた快投劇
1日に行われた「第3回 WBSC ベースボールワールドカップ in いわき」の予選リーグ4日目。日本の先発マウンドには、地元・いわきから代表入りした黒須大誠が上がった。
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捕手・星子の好守に支えられながら、4回を1安打無失点と零封
1日に行われた「第3回 WBSC ベースボールワールドカップ in いわき」の予選リーグ4日目。日本の先発マウンドには、地元・いわきから代表入りした黒須大誠が上がった。
初回。3点のリードをもらった黒須は3者連続三振を奪った。1番トマーシュ・ハディムをストレートで空振り三振、2番マレク・クレイチジークをまたもやストレートで見逃し三振、そして、3番オンドジェイ・ロフマンはカーブで見逃し三振と手玉に取った。2回は1死から死球を当ててしまったが、次打者の投ゴロを二塁に送球して進塁はさせず、最後は空振り三振。3回は打たせて取って3者凡退と、チェコ打線に付け入る隙を与えなかった。
ピンチらしいピンチを迎えたのは4回だけだ。1死から夜空に高く上がったフライを三塁・中田惟斗が落球。直後に暴投で走者を二塁に進めたが、4番ダニエル・クレイチーへの5球目で三盗を狙った二塁走者を、捕手の星子海勢が刺して2死目を奪った。その後、四球と暴投で再び2死二塁と得点圏に走者を背負うと、途中出場の5番ダービト・マレシュがセンター前ヒット。だが、センターから本塁へ送球する間にマレシュが二塁を狙ったところで、再び捕手の星子が機転を利かせ、ボールをすぐさま二塁に転送してタッチアウト。日本は堅守で無失点で切り抜けた。
キレのある直球と得意のカーブを丁寧に投げ、4回を1安打無失点で終えた黒須は「いつもと違った楽しさというかワクワクした感じがあった。自分のピッチングができたので良かった」と、汗をぬぐった。
連日スタジアムには地元応援団が大挙「仲間の応援というのは特別なもの」
先発を伝えられたのは2日前。外国人選手との対戦を楽しみにしていたそうで、「投げたくてウズウズしていたので、やっと来たという感じだった」と話す。1戦目のオーストラリア戦は「9番・ライト」でスタメン出場していたが、これがピッチャーとしては今大会初登板。ほどよい緊張の中、ピッチャー・黒須として持てる力を発揮した。「ストレートのスピードは意識せず、回転を意識して投げられた。フライアウトが多かったですし、空振りもボールがバットの上を通る感じだったので良かったと思います」と、納得いくボールを投げられた充実感を漂わせた。
気持ちを込めた69球だった。日本代表で唯一の福島県出身選手。「この球場に足を運んでいただいて応援してくださっている方もいますし、テレビの向こうでも、いわき市の中でも応援してくださっている方もいる。1球、1球、その人たちへの思いを乗せながら放らせていただきました」とマウンド上での気持ちを話す。
連日、いわきグリーンスタジアムには大勢の友人や知人、親戚が応援に駆けつける。1試合目のオーストラリア戦は、黒須が通う中央台北中の野球部員や同級生の有志70人ほどが集まり、熱い声援を送った。この日は所属するいわきボーイズのチームメイト約30人が応援歌を歌いながら背中を押した。
「いつも一緒にやっている仲間の応援というのは特別なものがありますし、本当に自分の力になって、そのお陰でこういうピッチングができたと思います」と黒須。いわきボーイズの野田浩二監督は「練習熱心で頭もいいし努力家。走りも手を抜かず、妥協をしない選手」と評価する。いわきボーイズは8月9日から全国大会を控えており、「いい流れで合流してもらいたい」と野田監督。チームでバッテリーを組む吉田修也は、この日の黒須の投球について「持ち味を活かしたピッチングができていたので良かったと思う」と笑顔を見せた。
被災地の思い、世界に届け!「復興を伝える大切な大会だと思う」
もちろん、被災地代表の思いもある。「復興を伝える1つの大切な大会だと思う。地元の福島出身の自分が元気にプレーしていれば、世界の皆様も復興したと思ってくれると思う。元気に楽しく笑顔で。でも、勝負なので勝敗にこだわって世界一を目指して頑張っていきたい」と、クラスで学級委員を務める真面目な185センチ右腕は丁寧な口調で語った。
野手出場の初戦で打てなかったヒットも放ち、マウンドでも日本を4連勝に導く好投を見せた。「自分ができることを精一杯やって、世界一になれるように。いい雰囲気なのでこのまま全員で頑張っていきたいです」と、今後に向けて意気込みを語った黒須。この日、進出を決めたスーパーラウンドでも自分の持つポテンシャルを発揮し、福島の思いを背負いながら、マウンド上で右腕を振るう。
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