高校・大学代表で増した向上心「すごく練習した」 千葉ロッテ2年目左腕の成長記

2020.9.7

10年ぶりの日本シリーズ優勝を目指し、今季は開幕からリーグ上位を争う千葉ロッテ。その中でも石川歩投手、美馬学投手といったベテラン勢に続き、先発ローテーションを守っているのが、プロ2年目の小島和哉投手だ。

写真提供=千葉ロッテマリーンズ

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先発ローテーションの一角として定着した小島和哉投手「上には上がいる」

 10年ぶりの日本シリーズ優勝を目指し、今季は開幕からリーグ上位を争う千葉ロッテ。その中でも石川歩投手、美馬学投手といったベテラン勢に続き、先発ローテーションを守っているのが、プロ2年目の小島和哉投手だ。

 昨シーズンの終盤から先発ローテーションの一角を担う24歳左腕は、糸を引くようなストレートで内角を突き、得意のチェンジアップで打者のバランスを崩すスタイル。千葉ロッテでは数少ない先発左腕ということもあり、かかる期待は大きい。

 期待を背負うことは、小島投手にとって決して珍しいことではない。小学生の頃から始めた野球を追い求め、埼玉の強豪・浦和学院高校に進学すると、1年生の夏からベンチ入り。同年夏に出場した甲子園で登板を果たした。2年生ではエースとして甲子園に春夏連続出場し、春の選抜では決勝で済美高校の安樂智大投手(東北楽天)と投げ合った末、9回1失点の快投で全国制覇を果たした。

 そんな小島投手が3年生となった2014年、「第10回 BFA 18Uアジア選手権」に出場する「侍ジャパン」高校代表に選ばれたのも不思議はない。だが、自身にとっては意外な選出だったようだ。

「その年、自分は甲子園に出ていないので、『なんで選ばれたんだろう?』と、少し意外な感じでした。同時に、選んでいただいたことに対して、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした」

 メンバーには、高橋光成投手(埼玉西武)、栗原陵矢捕手(福岡ソフトバンク)、岡本和真内野手(読売)、香月一也内野手(千葉ロッテ)、淺間大基外野手(北海道日本ハム)ら同世代のスター選手が揃っていた。

 大会では、スリランカ戦、チャイニーズ・タイペイ戦、決勝の韓国戦と3試合にリリーフとして登板。5イニングで許した安打はわずかに3、自責点は0という好投を披露した。初めての国際大会ではチャイニーズ・タイペイや韓国の選手が「すごく体つきが大きくて」驚かされたと振り返るが、こんな気付きも得たという。

「国によって野球の捉え方というか、プレーの内容がすごく違うな、と。個性という表現が合っているか分からないんですけど、小技を使う国だったり、パワーがある国だったり、いろいろと分かれているなというのを強く感じました」

 それまで幼い頃からプレーしてきた日本の野球しか知らなかった小島投手にとって、野球は1つじゃない、と視野が広がる経験にもなった。

大学代表で生まれた、さらなる向上心「選ばれて一緒のチームでやらなければ…」

 早稲田大学に進むと4年生の時に「侍ジャパン」大学代表に選ばれる。ここでもまた、同世代のトップ選手たちにチームメートとして間近に接し、大きな刺激を受けた。

「六大学野球で対戦している選手は知っている人も多かったんですが、立命館大の辰己(涼介・東北楽天)だったり、東洋大の甲斐野(央・福岡ソフトバンク)だったり、同世代で本当にずば抜けている選手を間近で見ることができた。そのおかげで、もっと上には上がいるんだ、と思うところがありました。選ばれて一緒のチームでやらなければ分からなかったかもしれません」

 出場した「第42回 日米大学野球選手権大会」では、アメリカで活躍する同世代のトップ選手たちに驚愕したという。

「アメリカの選手は、本当にレベルが違うくらい凄かったです。普通に150キロを超える左ピッチャーもいた。本当にレベルの高い相手と対戦できて、『ああいう選手を抑えたい。抑えないと上のレベルには上がれない』という新たな目標ができました」

 この新たな目標が、小島投手のやる気に火を付けた。日米大学野球の遠征を終えて大学に戻ると、自分自身に変化が生まれるのを感じたという。

「一番変わったのは、大学野球から戻ってすごく練習するようになりました。上には上がいると分かって、自分の中に向上心が生まれてきた。それまで以上に、練習に身が入るようになりました」

 その結果、4年生秋のリーグ戦では10試合に投げ、5度の完投を含む4勝2敗の成績。防御率1.73でリーグトップに輝き、同年のドラフト会議で3位指名された千葉ロッテ入りを果たすことになる。

今も刺激を受ける同世代の活躍「負けないように頑張ろうと思います」

 高校3年生で初めて代表選出されて以来、同世代のトップと切磋琢磨した。「選んでいただいたことに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。あの経験がなければ、味わうことができなかった成長がある。本当に恵まれています」と、感謝の気持ちを忘れない。

 今シーズン、7月22日の埼玉西武戦で、高校代表でチームメートだった高橋光成投手と投げ合った。見応えのある投手戦の末、2-1で千葉ロッテが勝利。6回2/3を1失点とした小島投手が、7回2失点だった高橋投手をわずかに上回り、白星を手に入れた。

「西武戦では光成と投げ合うことができて、今後もこういう機会がたくさん増えてくると思います。同級生に勝てばいいわけじゃないですけど、同級生の活躍は自分の刺激にもなるので、それに負けないように頑張ろうと思います」

 プロとなった今、代表のユニホームを着るチャンスは野球日本代表「侍ジャパン」トップチームに選ばれた時となる。小島投手は「入ってみたい気持ちはありますけど……」と言葉を繋いだ。

「そこに行くまで程遠い道のりがあると思うので、まずは今、自分が任されているポジションをしっかり確保できるよう、そこだけに集中して頑張りたいと思います」

 いつの日か「侍ジャパン」トップチーム入りが叶った時、そこにはまた、自身の成長に繋がる多くの刺激が待ち受けている。

記事提供=Full-Count
写真提供=千葉ロッテマリーンズ

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