吉田輝星が感じた日の丸の重み 初めて着た“侍”ユニホームに「目がキラキラ」
日の丸を背負った経験は、今にも生きる。北海道日本ハムからオリックスにトレードで移籍した吉田輝星投手は、2018年の秋に「第12回 BFA U18アジア選手権」に野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表の一員として出場した。
写真提供=Full-Count
2018年9月にU-18代表として「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場
日の丸を背負った経験は、今にも生きる。北海道日本ハムからオリックスにトレードで移籍した吉田輝星投手は、2018年の秋に「第12回 BFA U18アジア選手権」に野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表の一員として出場した。
2大会連続での優勝を狙った日本だったが、オープニングラウンド第3戦で韓国に、スーパーラウンド初戦でチャイニーズ・タイペイに相次いで敗れた。決勝進出こそ逃したものの3位決定戦で中国に勝利し、3位を死守した。
主戦投手としてマウンドに上がった吉田選手は当時を回想する。「(夏の)甲子園でめっちゃくちゃ球数を投げていたので『もう選ばないかもしれない』という感じのお話も聞いていたので、選ばれた時は、嬉しい気持ちとビックリの気持ちの2つが重なっていましたね。実感が沸かない感覚でした。侍ジャパンがどんな感じかわからなかったので、不思議な感じでした」。人生で初めての日本代表入りは“予想外”だった。
吉田選手は夏の甲子園大会で決勝に進出。秋田県勢として103年ぶりの決勝進出を果たした金足農業高の躍進は「金農旋風」として社会現象にもなった。
夏の大会では全部で881球、秋田大会を含めると1517球を投じていたため疲労が心配されたが、「あれだけ一生懸命(野球を)やっていると、疲れが全然わからなかった。春の東北大会が終わった時に、永田(裕治)監督が練習を見に来てくださっていたので『ジャパンにも行きたいな……』という感じで(選出を)狙っていました」と、侍入りを喜んだ。
そうそうたる顔ぶれが揃うも「有名な根尾とか藤原も知らなかった」
「日の丸を背負うことは1つの目標でしたね。高校でもプロでも。1番最初にユニホームを着た時はもう、目がキラキラしていました。高校でもプロでもそうですけど、日本国民全員が注目してくださる試合なので。プロ(の世界)でも、選ばれたいなっていうのは強く思いますね」
メンバーが集結した際は、大阪桐蔭高の根尾昂投手(現中日)、藤原恭大外野手(現千葉ロッテ)ら、そうそうたる顔ぶれが揃ったが、「僕は周りの選手をあまり知らなかったんです。(3年夏まで)甲子園にも出たことがなかった。有名な根尾とか藤原も知らなかったんですけど、甲子園でめっちゃ活躍している人ばっかりいたんで、これが代表チームか……と思いました」と照れ気味に振り返る。
あれから約6年の歳月が過ぎた。「プロに入ったメンバーは試合の時に、全員挨拶に行きますね。柿木(蓮)は同じチームだったので、遊びに行ったりとかもよくしました。(北海道日本ハムに)奈良間(大己)も入ってきました。基本的に全員の仲が良くて、毎年ジャパンのメンバーで『ご飯行こうぜ』みたいな感じの話になります」。笑顔で話を続ける。
「LINEを動かすのは小園(海斗・現広島東洋)ですね。1回も開催できたことないですけど(笑)。小園が(報徳学園で監督だった)永田監督に言われて『この日行ける人で行こう』みたいな感じです」
当時、集結したメンバーから“賞賛”されたのは、意外な球種だったという。「みんなに『カーブが良い』という話をされたんです。僕の中では上位にある球種ではなかった。プロに入ってからもあんまり投げなかったんですけど、捕る人(捕手)は全員『カーブが良い』って言うんです。その時に、自分だけじゃわからないこともあるんだなと、気が付きました」。新たな発見は、プロの世界でも生きている。
指揮官の言葉に「燃えましたね」…全力で腕を振った韓国戦
指揮官からの言葉は、胸に残っている。「代表のエースはお前だから、韓国戦の先発で行くぞ」と永田監督から伝えられた。「燃えましたね。絶対に勝ちたいという気持ちになった」。ただ、18.44メートル先に立つ打者を見て、目を見開いた。
「韓国のバッターはみんな体が大きい。スイングもアメリカ流。『同じ高校生なのか……?』と驚きました。155キロのサイドスローもいましたしね。野球とベースボールの違いのようなものを感じました。まだ高校生でしたけど」
18歳で世界を相手に戦い「外国人選手への怖さはなくなりました。変に想像してめちゃくちゃ良いバッターに見えたりすることはなかったです。でも、野球スタイルが全然違う。ゴロを打ったら、もう走らないとか。よくWBCで見ていた野球がそのまんまだったので『本当にこんな感じなのか』と。ペースが狂うなという感じでした」と肌で感じた。
今季からは新天地、オリックスでプレーする。環境に慣れ、懸命に腕を振る姿は、当時と重なるものがある。
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