スケールの大きな野球で1試合平均9得点 U-12代表がワールドカップで示した可能性

2023.8.21

7月28日から8月6日まで台湾・台南で開催された「第7回 WBSC U-12 ワールドカップ」。前回に続き、元中日・読売の井端弘和監督が率いた野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表は、3位決定戦でベネズエラに1点届かず、4位という成績で大会を終えた。メダルには一歩届かなかったが、前回大会の7位から大きく躍進。18人の代表選手たちは、大会前に井端監督が掲げた「打ち勝つ野球」を随所で実践し、世界を相手に奮闘した。

写真提供=Getty Images

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大会前に井端監督は「打ち勝つ」をテーマに標榜

 7月28日から8月6日まで台湾・台南で開催された「第7回 WBSC U-12 ワールドカップ」。前回に続き、元中日・読売の井端弘和監督が率いた野球日本代表「侍ジャパン」U-12代表は、3位決定戦でベネズエラに1点届かず、4位という成績で大会を終えた。メダルには一歩届かなかったが、前回大会の7位から大きく躍進。18人の代表選手たちは、大会前に井端監督が掲げた「打ち勝つ野球」を随所で実践し、世界を相手に奮闘した。

 決戦の地へ向かう前、子どもが持つ可能性に注目し、今回のテーマに「打ち勝つ」を掲げていた井端監督。今季メジャーに移籍して活躍するボストン・レッドソックスの吉田正尚外野手を引き合いに出し、「日本人選手がメジャーに行って、向こうで勝負ができているじゃないですか。子どもたちにも『小さいからホームランバッターを諦める』とはしてほしくない」と話し、世界各地を代表する同世代が投げるボールに振り負けない、スケールの大きな野球で勝ち抜きたいとしていた。

オープニングラウンドは3試合で12得点以上を記録

 オープニングラウンドでメキシコ、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オーストラリア、ドイツと同組になった日本は、まず初戦でチャイニーズ・タイペイと対戦。日本は1-1で迎えた延長7回表に1点を勝ち越したが、その裏に惜しくも逆転サヨナラ負けを喫した。

 だが、まだ大会は始まったばかり。第2戦のドイツ戦では雨で試合開始が遅れながら、1回裏に15点を奪う猛攻を仕掛けた。4番を任された駒勇佑選手(湖南ビッグボーイズ)は1イニングに2本塁打7打点の活躍。16-0で4回コールド勝ちした。続く第3戦のベネズエラ戦は、前回準優勝チームに主導権を握られ、打線が沈黙。1安打に封じられ、1-9で痛い2敗目となった。

 スーパーラウンドに進出できるのはオープニングラウンドの上位3チームのみ。2敗を喫し、厳しい状況となった日本は先発マウンドに上がった宮野瑛心選手(仙台育英学園秀光ボーイズ)が好投を披露すると、打線がこれに応えた。初回に2点を先制すると、2回には死球を挟んでの4連打や和田健吾選手(津ボーイズ)の満塁弾などで9点を追加。前日の黒星を吹き飛ばすような15-0の快勝を飾った。

 オープニングラウンド最終戦となったメキシコ戦は、勝ったチームがスーパーラウンド進出という大一番となった。日本は先発の水野蒼介選手(武蔵府中リトルシニア)が無失点スタートを切ると、直後の攻撃で打者一巡の攻撃で4点を先制。2回には4番の駒選手が本大会2度目となる1試合2本塁打をマークするなど6点を追加し、主導権を握った。4回以降に6点を返されたが、12-6で逃げ切ってスーパーラウンド進出を決めた。

スーパーラウンドは3連勝、3チームが3勝2敗で並ぶも…

 スーパーラウンド初戦は韓国と対戦。日本は3回までに5点を挙げて主導権を握ったかに見えたが、4回に1点差まで追い上げられる接戦に。それでもなんとか4回と5回に1点ずつを加え、7-4で勝利を飾った。

 続く第2戦は前回王者の米国を迎える一戦となったが、日本は投打のかみ合った理想的な試合運びを見せた。1回表に主将を務める舩山大翔選手(東名古屋ボーイズ)が先頭打者ホームランを放ち、チームに火を着けた。2回には同じく舩山選手や藪内雅也選手(堺ビッグボーイズ)のタイムリーなどで4点を追加。序盤に5点を挙げてペースを掴んだ。投げては先発の皆川旺介選手(東京城南ボーイズ)が6回途中まで2安打無失点と快投。三ツ井蓮選手(松戸柏リトルリーグ)が好救援し、7-0と完封勝ちした。

 スーパーラウンド最終戦はドミニカ共和国と対戦。この日も初回に2点を先制した日本は、2回に舩山選手と駒選手がそれぞれ3点本塁打を放って6点を追加。さらには、4回に橘漣次選手(東久留米リトルシニア)の3点本塁打などで4点を加え、13-1(5回コールド)と大勝した。

 最終戦を終え、4勝1敗のチャイニーズ・タイペイが1位で決勝進出を決めたが、2位は3勝2敗で日本、米国、ベネズエラの3チームが並んだため、3チーム間での対戦時の得失点率により、米国が決勝へ駒を進め、日本はベネズエラと3位決定戦を行うことになった。

3位決定戦は2度目の対戦・ベネズエラとシーソーゲームを展開

 いよいよ迎えた3位決定戦。井端監督が先発マウンドに送ったのは左腕・水野選手だった。気合十分でベネズエラ打線と対峙したが、先頭打者に安打を許すと、続く2番打者に先制2ランを許した。それでも後続を3人で仕留めると、打線は2回裏に鈴木新大選手(船橋リトルリーグ)から始まる3連打などで3点を挙げて逆転に成功。3回に再び逆転を許すが、その裏に3点を挙げた日本が再々逆転に成功するなど、試合はシーソーゲームの様相を呈した。

 6-6の同点で迎えた6回表、日本はベネズエラに3連打などで3点を勝ち越されたが、その裏に打線が粘りを見せた。1死から駒選手がヒットで出塁すると、続く三ツ井選手がセンターへ2ランを運んで1点差まで追い上げる。さらに和田選手がヒットを放ち、同点の走者として出塁したが万事休す。日本は競り負け、4位に終わった。

 目指す優勝には届かなかったが、戦った9試合の総得点は81点で、1試合平均9点を挙げる結果に。悔しい結果となった一方で、子どもの可能性を信じたスケールの大きな野球を実践することはできたと言っていいだろう。

 慣れない国際大会で、9連戦という怒濤のスケジュールを過ごした選手たち。勝利の喜び、負ける悔しさを存分に味わった経験と、井端監督から受けた指導やアドバイスの数々を生かしながら、それぞれの野球人生で大きく羽ばたくことだろう。

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