高校球児を代表する20選手が狙う初優勝 31日からWBSC U-18ワールドカップ開幕

2023.8.28

慶應義塾高が107年ぶりの優勝を飾って幕を下ろした第105回全国高校野球選手権記念大会。甲子園球場が大いに沸いた、その興奮も冷めやらぬ8月31日、全国の高校球児の中から選ばれた20選手が初の世界一を目指して国際大会を戦う。

写真提供=Full-Count

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昨年に続き、明徳義塾高・馬淵監督が代表チームを指揮

 慶應義塾高が107年ぶりの優勝を飾って幕を下ろした第105回全国高校野球選手権記念大会。甲子園球場が大いに沸いた、その興奮も冷めやらぬ8月31日、全国の高校球児の中から選ばれた20選手が初の世界一を目指して国際大会を戦う。

 8月31日から9月10日まで台湾・台北を舞台として開催されるのが「第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」だ。昨年に続き、野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表を率いるのは馬淵史郎監督(明徳義塾高)。代表メンバー20人の中には、決勝で慶應義塾高を優勝へ導く先頭打者ホームランを放った丸田湊斗外野手、2年連続で決勝へ進んだ仙台育英高の髙橋煌稀投手、尾形樹人捕手、山田脩也内野手、橋本航河外野手ら、甲子園を沸かせたスターたちが名を連ねる。その一方、惜しくも地方大会で涙を呑んだ前田悠伍投手(大阪桐蔭高)、緒方漣内野手(横浜高)ら、プロが注目する逸材も加わった。

10日間で最大9試合、複数ポジションがこなせる多才な選手揃い

 12チームが参加する大会は、まずオープニングラウンドで6チームずつの2グループに分かれて総当たり戦を行い、上位3チームずつがスーパーラウンドへ進出。ここではオープニングラウンドで対戦しなかった3チームと戦い、通算成績の上位2チームが決勝、3位と4位のチームが3位決定戦に駒を進める。日本は米国、ベネズエラ、オランダ、パナマ、スペインと同じグループBに分類され、9月1日の初戦ではスペインと対戦する。

 10日間で最大9試合が予定される密度の高い日程となっている上に、国際大会ではおなじみとなった投球数制限が設けられるため、20人のうち半数近い9人が投手となっている。そのためメンバーの中には、武田陸玖投手(山形中央高)のような投手と野手(外野手・一塁手)の“二刀流”や、捕手もできる知花慎之助外野手(沖縄尚学高)、一塁と三塁も守れる寺地隆成捕手(明徳義塾高)、内野の複数ポジションがこなせる緒方選手ら、多才な選手が揃い、選手起用に柔軟性が保たれることになった。

主砲候補は森田大翔、投手は前田悠伍&武田陸玖のW左腕が軸

 同世代のトップが集まるU-18代表チームで主将を務めるのは、広陵高の小林隼翔内野手だ。自チームでも主将を務め、本来の遊撃に加え、外野も守れる器用さを持つ。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎内野手(花巻東高)や同62本塁打の真鍋慧内野手(広陵高)ら注目のスラッガーは選出されなかったが、主砲として期待されるのは履正社高の森田大翔内野手だ。今夏の甲子園では2試合連続ホームランを放ったパワーヒッターで、今大会で使用される木製バットへの順応性も高い。慶應義塾高で打線のカギを握った丸田選手、仙台育英高で攻守の要となった山田選手らも加わった機動力野球で得点を狙っていく。

 投手では、エースとして期待されるのが前田投手だ。140キロ台半ばの速球に加え、スライダーやチェンジアップなど多様な変化球も操る。高校No.1左腕の呼び声高く、マウンド度胸にも定評がある投手だ。同じく左腕の武田投手は最速147キロの伸びのある速球が魅力。高校3年間で甲子園出場は叶わなかったが、4月に行われた日本代表候補選手強化合宿でも大きな注目を集めた。

馬淵監督「勝機は投手を中心とした守りと走力を最大限活かした緻密な野球の実践」

 代表選手発表時には「昨年ワールドカップを経験させてもらい、改めて日本の勝機は投手を中心とした守りと走力を最大限活かした緻密な野球の実践にあると実感しました。選手委員の方々には、私が目指す野球を十分に理解してもらい、最終的な20名を選考していただきました」とコメントした馬淵監督。「短期間でチーム力を上げるため、選手と積極的にコミュニケーションを図り、スタッフ、選手の一体となり、全国の野球部員を代表して戦うという誇りを持って大会に臨みます」の言葉通り、8月24日から始まった直前合宿でチームとしての連携強化を図ってきた。

 U-18代表チームは28日に「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」を戦い、大学代表の胸を借りて総仕上げ。29日に開催地・台湾へ向かう。1981年から始まった本大会では、前身大会も含め、日本は4度決勝に進んでいるものの、いまだ優勝の経験はない。初優勝の期待が掛かる中、馬淵監督が率いる精鋭20選手はどんな戦いを見せてくれるのか。初戦は9月1日午後7時(日本時間)から始まる。

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