9番・秋山が機能も、山田は三塁で失策 快勝の中で見えた侍ジャパンの収穫と課題

2016.11.12

11日にメキシコ代表と2試合目の強化試合(東京ドーム)に臨み、11-4で快勝した野球日本代表「侍ジャパン」。3-7で完敗した前日から、小久保裕紀監督は打順を大幅に変更。世界一奪回へ向けて試行錯誤を続ける中、収穫と課題が混在する試合となった。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

秋山は4打点の大活躍、「日本が勝つための戦力になりたい」

 11日にメキシコ代表と2試合目の強化試合(東京ドーム)に臨み、11-4で快勝した野球日本代表「侍ジャパン」。3-7で完敗した前日から、小久保裕紀監督は打順を大幅に変更。

これが機能した。一方で、2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成した山田哲人内野手(東京ヤクルト)を本職の二塁ではなく三塁で先発させたが、エラーが出るなど不安材料も。世界一奪回へ向けて試行錯誤を続ける中、収穫と課題が混在する試合となった。

 小久保監督はこの試合で、大谷翔平(北海道日本ハム)を「3番・DH」で野手として初めて先発起用。さらに、3番だった山田を「1番・三塁」に据え、「2番・二塁」に名手・菊池涼介内野手(広島東洋)を入れた。1番だった坂本勇人内野手(読売)は「6番・遊撃」、2番だった秋山翔吾外野手(埼玉西武)は「9番・中堅」に。この形が機能した。

 特に光ったのは、4出塁の大谷、そして9番に入った秋山の活躍だ。秋山も押し出し四球1つを含む4打点をマークした。小久保監督は「9番の秋山が非常にいいつなぎの役割をしてくれた」と絶賛。本人は「チーム全体をつなごうという意識があった」と振り返った。

 秋山は「(日本が)勝つための戦力になりたい」と言う。打順が1番であると、2番であろうと、9番であろうと、そして守備位置が外野のどこであろうと、関係ないという。「とにかく上位打線にいい形で回そうと思っていた」。味方を生かす“黒子”になろうとした結果、チームを勝利へと導く活躍になった。

慣れない三塁で失策の山田、「しっかり反省しないといけない」

 試合中には、右翼の鈴木誠也外野手(広島東洋)とポジションを入れ替える場面もあった。これも、「戦力になりたい」という強い思いがあるからこそ。「いくら練習で(他のポジションを)やっても実戦でやらないと。特にこの時期は。他のポジションが出来ないと(起用の)幅が狭まる」。生き残りへ、秋山ほどの選手でも何が出来るかを必死に考えている。

 小久保監督は、秋山と鈴木のポジションを入れ替えた理由について「センターは柳田(悠岐、福岡ソフトバンク)の状態が分からないので、そこも含めて」と話した。今回も負傷で辞退した強打者の存在を考えると、秋山もうかうかしていられない。ただ、「9番」に入って打線が機能したことが、大きな収穫となったことは間違いない。

 一方で、1番で起用された山田は4打数無安打2四球。3番で先発した前日から11打席ノーヒットとなった。4四球はあるものの、本人は「内容は良かったですけど、結果が出なければ意味がない」と首を振る。そして、注目されていた三塁の守備でもミスが出た。

 6回、2死走者なしの場面で、東北楽天でプレーするアマダーの高くバウンドした三ゴロを処理したが、一塁への送球が高くなり、エラーでセーフとなった。アマダーの足を考えれば、焦らず確実にアウトにしたいところだった。

「(守備で)ミスしてしまったので、しっかり反省しないといけない。(三塁は)慣れていなかったですし、1球1球いつも以上に集中しなければいけなかった。バウンドに合わせづらいし、速い打球に対して二塁だと足を使って入りやすいけど、三塁はグラブでさばく感じになってしまうので…」
 
 多くの課題が見つかり、今後も三塁で起用していくかは、判断が難しいところ。小久保監督は「1つ送球が高いのがありましたけど、サードについては松田(宣浩、福岡ソフトバンク)しかいないので、バリエーションを考えて。今しかできないことの中で、負担をかけましたが、最後まで守ってもらいました」と話すにとどめた。

 強化試合だからこそ得られた収穫と課題。これを今後にしっかりと活かしていきたいところだ。

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事