侍ジャパン、反撃の中に見えた「日米野球」への手応え 稲葉監督「次につながると思う」
野球日本代表「侍ジャパン」は7日、ヤフオクドームで「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」でチャイニーズ・タイペイと戦い、終盤に猛反撃も5-6で敗れた。6点ビハインドの9回に怒涛の攻撃で5点を返したが、反撃もここまで。稲葉篤紀監督の就任後、初めてトップチームが黒星を喫した。
写真提供=Getty Images
壮行試合での最大の目的は「試合勘を戻すこと」
野球日本代表「侍ジャパン」は7日、ヤフオクドームで「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」でチャイニーズ・タイペイと戦い、終盤に猛反撃も5-6で敗れた。6点ビハインドの9回に怒涛の攻撃で5点を返したが、反撃もここまで。稲葉篤紀監督の就任後、初めてトップチームが黒星を喫した。
反撃に転じる最終盤まで、もどかしい展開が続いた。敗戦後、稲葉篤紀監督は「今日は試合から遠ざかっていた選手を優先的に出そうと思っていた。試合勘を戻すことをやっていた」と、この試合の狙いを明かした。レギュラーシーズンが終わってから約1か月。クライマックスシリーズが終わってからも2週間あまりが経過しており、日本シリーズを戦っていた福岡ソフトバンクと広島東洋を除く選手が実戦から遠ざかっていた。9日からの「2018日米野球」に向けて、まずは壮行試合で実戦感覚を取り戻したかったようだ。
久しぶりに生きた投手のボールに対峙した影響もあったのだろう。侍ジャパン打線は序盤に苦戦が続いた。初回に山田哲人内野手(東京ヤクルト)が四球で出塁するも、4番の山川穂高内野手(埼玉西武)は三飛に倒れ、2回から5回までは4イニング連続で3者凡退。チャイニーズ・タイペイ投手陣の前にノーヒットが続いた。
8回まで1安打も、9回に打者一巡の猛攻で5点を返す
初ヒットが生まれたのは6回。田中和基外野手(東北楽天)が右中間への二塁打を放ち、ようやく快音が響かせた。だが、続く秋山翔吾外野手、源田壮亮内野手(ともに埼玉西武)が倒れて得点ならず。8回までこの田中和外野手の二塁打のみの1安打だったが、侍ジャパンらしさを取り戻したのが9回だった。
先頭で打席に立った、途中出場の田中広輔内野手(広島東洋)が左翼フェンス直撃の二塁打を放つと、これが号砲に。山田内野手が中前適時打を放ち1点を返すと、相手のエラーや押し出し四球、外崎修汰内野手(埼玉西武)の中前2点適時打などで1点差まで迫った。だが、最後はこの回2度目の打席に立った田中広内野手が空振り三振。追い上げは実らなかったものの、稲葉監督は「9回につながってきた。自分の打撃ができてきたかなと。あそこで5点取れましたので、次につながるかなと思っています」と、最終回の反撃に手応えを感じた。
投手陣に大きな収穫、初選出メンバーも大きくアピール
投手陣には収穫があった。岩貞祐太投手(阪神)と高梨雄平投手(東北楽天)が失点したものの、先発の笠原祥太郎投手(中日)と2番手の浜口遥大投手(横浜DeNA)が2イニングを無失点。指揮官が国際舞台で「重要」だとしていた左投手が武器のチェンジアップの効果を発揮し、稲葉監督も「全体的に落ちる球、チェンジアップを含めて有効だなと思いました。浜口君は腕を振ってしっかり投げられる。それが有効だなと、今日思いました」と大きく頷いた。
成田翔投手(千葉ロッテ)や佐藤優投手(中日)といった新顔もアピールした。森友哉捕手(埼玉西武)も日の丸を背負って、トップチームでは初スタメン。侍ジャパンとしての経験のない選手たちに、まず国際大会の雰囲気を経験してもらうという目的は果たせた。稲葉監督も「緊張感もある中でスタートしたと思う。一生懸命やってくれたと思いますし、結果というよりも経験というところで、今日がいい経験になってくれたら」と、改めて壮行試合の意義を語った。
9日からはメジャーを代表するMLBオールスターチームとの「2018日米野球」に臨む。「国際大会を経験する、メジャーの最高峰でやっている選手たちと対戦できるというところで、選手個々が何かを掴んでくれればいいと思いますし、個々のレベルアップにつなげていってもらいたいと思っています」。目指す先は2020年の金メダル。長期的なゴールを見据え、1試合1試合成長を続ける。
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