侍ジャパンに「ずっと選ばれたかった」 田村俊介が得た欧州代表戦で手にした“収穫”

2024.4.29

2021年ドラフト4位で広島東洋に入団し、3年目の今季、初めて開幕スタメンを射止めた田村俊介外野手。3月6、7日に行われた「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本 vs 欧州代表」では、野球日本代表「侍ジャパン」トップチームに20歳という若さで抜擢された。サプライズ選出とも言われた野球人生初の代表入りについて「すごく嬉しかった」と振り返る。

写真提供=Full-Count

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人生初の代表ユニホーム「すごくテンションが上がりました」

 2021年ドラフト4位で広島東洋に入団し、3年目の今季、初めて開幕スタメンを射止めた田村俊介外野手。3月6、7日に行われた「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2024 日本 vs 欧州代表」では、野球日本代表「侍ジャパン」トップチームに20歳という若さで抜擢された。サプライズ選出とも言われた野球人生初の代表入りについて「すごく嬉しかった」と振り返る。

 愛知工業大学名電高では投手でも活躍し、スカウトからは二刀流として注目を浴びる存在だった。しかし、高校時代の代表経験はゼロ。新型コロナウイルス感染症の影響により、高校代表の活動自体が自粛されていたという背景もあった。

 だからこそ、3月の侍ジャパンシリーズは「ずっと選ばれたいと思っていたので、選出を聞いた時は嬉しかったですね」と待望の代表入りだった。「代表のユニホームを着てプレーしたかったので、初めてユニホームに袖を通した時、すごくテンションが上がりました。『やっと着られた』と感慨深かったです」と声を弾ませる。

 侍ジャパンは欧州代表との強化試合を2戦2勝で締めくくった。田村選手は7日の試合に「5番・左翼」でスタメン出場。代表初安打を放つなど攻守に躍動し、勝利に貢献した。「緊張しましたが良い経験ができたと思っています」と、侍ジャパンの一員としてプレーできたことに感謝した。

史上最年少3冠王からの助言「新しい発見がありました」

 今回の代表活動期間は3日間という短いものだった。初めての代表選出で最年少という立場。チームに馴染むまでに時間がかかった。「全員年齢が上なので、最初はなかなか話しかけることができなくて……」と苦笑いで振り返る。

 緊張が見てとれたのか、井端弘和監督からは「1番下だし、楽しくやってくれたらいいよ」と声を掛けられたという。同じ広島東洋から選出された坂倉将吾捕手らの計らいもあり、次第にチームに溶け込んでいった。

 大学生を除き、選出されたNPBの選手たちは1軍で結果を出した実力者ばかり。その中でも、東京ヤクルトの村上宗隆内野手と交わした会話が印象に残っている。「左投手と対戦する時の打席での考え方などを教えていただきました。自分との違いを感じましたし、新しい発見もありました」と、史上最年少で3冠王に輝いた日本を代表するスラッガーの言葉に耳を傾けた。

「今回、他球団を代表する選手と一緒に戦ってみて、毎年のようにすごい成績を残す選手はパワーもスピードも全然違うなと実感しました。自分に足りていない部分がたくさん分かったことも収穫と捉えています」


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今も覚えている劇的打、胸に秘める代表への思い

 野球を始めた小学生の頃から日本代表に憧れていた田村選手には、脳裏に焼き付いている場面がある。大会3連覇を目指して臨んだ「2013 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)、第2ラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦。負ければ敗者復活戦という崖っぷちに追い込まれる。そんな後先のない9回2死の土壇場から同点に追いついた場面だ。

 一塁走者の鳥谷敬内野手(当時阪神)が盗塁を成功させると、現侍ジャパン監督の井端弘和内野手(当時中日)が2ストライクから起死回生の同点タイムリー。勝利への望みを繋いだシーンに「小学生の時にテレビで見ていて鳥肌が立ったのを覚えています」と大きな刺激を受けた。

 世界一に輝いた2023年のWBCもテレビで観戦した。まだ1軍経験のないプロ2年目。大谷翔平投手(当時ロサンゼルス・エンゼルス)などメジャーリーグでも活躍する選手たちの姿に目を奪われ、「今のレベルではこのメンバーの中でプレーできない」と自らの力不足を痛感したという。

「自分に足りていないものは、まだまだたくさんありますが、代表入りは(今でも)目標です。もっとレベルアップして、また代表のユニホームを着たいと思っています」

 侍ジャパンで得たかけがえのない経験を胸に、開幕から1軍での出場を続ける。1軍に同行する毎日も、20歳の若武者にとっては初めての経験だ。

「1年目も2年目も怪我をして、まだシーズンを通して野球ができていないので、今年は怪我をせずに1年間やり通したいですね」 

 シーズンを通じて1軍で戦った先には、これまで見たことのない新たな景色が広がるはずだ。一段、また一段と階段を上がり、期待の若手からチームの主軸へと成長を果たした暁には、きっと再び代表入りの吉報が舞い込んでくるだろう。

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写真提供=Getty Images, Full-Count

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