侍ジャパン初選出で刺激 読売・赤星優志が目指すプロ3年目の進化と成長

2024.2.12

決して大風呂敷は広げないが、着実に成長の階段を上っている。プロ3年目を迎えた赤星優志投手(読売)は、昨年11月に開催された「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(以下アジチャン)の初戦、チャイニーズ・タイペイ戦で先発を任され、5回途中まで無失点投球を演じた。今年11月の「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」(以下プレミア12)でも、野球日本代表「侍ジャパン」トップチーム入りを期待される24歳の若手有望株だ。

写真提供=Full-Count

写真提供=Full-Count

アジチャン初戦に先発して5回途中を無失点投球「気負うことはなかった」

 決して大風呂敷は広げないが、着実に成長の階段を上っている。プロ3年目を迎えた赤星優志投手(読売)は、昨年11月に開催された「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(以下アジチャン)の初戦、チャイニーズ・タイペイ戦で先発を任され、5回途中まで無失点投球を演じた。今年11月の「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」(以下プレミア12)でも、野球日本代表「侍ジャパン」トップチーム入りを期待される24歳の若手有望株だ。

 マウンドでは常にポーカーフェイスで“鉄仮面”とも呼ばれる。赤星投手自身「喜怒哀楽が少なく、心の揺れ動きも小さい方です。毎日試合がある中で、切り替えはうまくできているのかなと思います」と頷く。

 アマチュア時代を含め、日本代表に選ばれたのは昨年のアジチャンが初めてだった。だが、井端弘和監督から初戦先発に指名された時も「特に気負うことはなかった。いつでもいける準備をしていましたし、早めの方が先発投手に対するプレッシャーが少ないかなと思いました」と冷静に受け止めた。

侍ジャパンではキャッチボールをしながら他投手を観察

 チャイニーズ・タイペイ戦は、両チームになかなか点が入らない投手戦だった。赤星投手は0-0で迎えた5回2死二塁の場面で左腕・及川雅貴投手(阪神)にマウンドを譲るまで、3安打1四球無失点と好投を披露。打線は7回に森下翔太外野手(阪神)のソロ弾で先制すると、9回に打者一巡の猛攻を仕掛けて4-0で勝利した。最終的に日本は4戦全勝で大会連覇を果たしたが、初戦で相手に流れを掴ませなかった赤星投手の貢献度は高かった。

 侍ジャパンでの経験は「高いレベルの選手たちと同じ環境で練習できたことが良かった。今後に繋がりそうです」と話す。キャッチボールをしながら「他の投手の足の上げ方や、どういう感じでリリースしているか」をつぶさに観察し、実際に真似もしてみた。特に吉村貢司郎投手(東京ヤクルト)の、踏み出す左足をいったん一塁方向へ振ってから前方へ上げる“振り子投法”に興味を引かれたという。


写真提供=Full-Count

シーズンを通じて守り抜きたい先発ローテ「その結果、侍に呼ばれるのがベスト」

 アジチャンでは基本的に24歳以下か入団3年目以内の若手選手が出場資格を持っていたが、11月には資格制限のないフル代表で臨むプレミア12が開催される。赤星投手の選出にも期待が掛かるが、「まずはジャイアンツのユニホームを着てしっかり1年間戦って、その結果、侍(ジャパン)に呼ばれるのがベストかなと思います。目指すところが“侍”というより、ジャイアンツでの活躍と優勝を目指してやっていきます」と堅実に歩を進めていく心構えだ。

 日本大学からドラフト3位で読売入りし、1年目の2022年は31試合(先発13試合)に登板して5勝5敗、防御率4.04をマーク。2年目には開幕ローテーション入りしたものの、6試合に先発して0勝4敗と奮わず、5月下旬から2軍で調整を図った。だが、1軍に再昇格した8月24日・東京ヤクルト戦で7回無失点と快投して初勝利を掴むと、そこから5勝1敗と巻き返した。

 そして迎える今季は「やるからには1年を通して先発し、優勝に貢献したい」と強い思いを持って臨む。そのためにも宮崎で行う春季キャンプでは「特にフィジカルを強化しています。あとは自分の体と向き合い、ちょっと動きが悪いとか、少しの変化に自分で気付けるようになるのが一番だと思います」と、掲げた課題に取り組んでいる。

 元々ストライクゾーンいっぱいを突く制球力が持ち味だが、球速アップにも挑戦中。「コントロールも大事にしつつ、力強さを出していければいいなと思います。MAXが速くなればアベレージも上がり、ストレートが強くなれば変化球も生きてくると思います」と効果を期待する。

6人きょうだいの末っ子が身につけた空気を読む力や観察眼

 東京都世田谷区出身で、今どき珍しい6人きょうだい(兄2人、姉3人)の末っ子だ。「近所には他に7人きょうだいがいて、四つ子も2組いたので、めちゃくちゃ目立つということはなかったです」というが、一番上の兄とは10歳離れている。

 幼少期を振り返りながら「こういうことをすると親に怒られるとか、兄や姉の失敗を見て学んできたので、周囲の様子をうかがうようになりましたね。それが今でもうまく生きているかなと思います」と笑う。チームの空気を読む力や相手打者に対する観察眼も、こうした家庭環境で培われたのかもしれない。

「3年目の今季は1年間ローテーションを守り、規定投球回を達成したい」と目標を掲げる赤星投手。目標を達成した先には、再び“侍ジャパン”として戦うチャンスが待っているはずだ。

記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count

NEWS新着記事