U-12W杯が開幕へ 仁志監督が明かす、侍ジャパン初優勝への鍵「確率のいい戦略を」
侍ジャパンU-12代表が悲願の初優勝を目指す「第4回 WBSC U-12ワールドカップ」が、7月28日から台湾・台南市で開催される。前回大会に続いて仁志敏久監督が率いるチームは直前合宿を経て、いよいよ本大会へ。過去3大会は5位、3位、6位と頂点に手が届かなかったが、今回はどうなるのか。
写真提供=Getty Images
過去3大会は世界一に手が届かなった日本、「優勝することは最大の目標」
侍ジャパンU-12代表が悲願の初優勝を目指す「第4回 WBSC U-12ワールドカップ」が、7月28日から台湾・台南市で開催される。前回大会に続いて仁志敏久監督が率いるチームは直前合宿を経て、いよいよ本大会へ。過去3大会は5位、3位、6位と頂点に手が届かなかったが、今回はどうなるのか。
今月22日に大会前の記者会見を行った仁志監督は「もちろん、優勝することは最大の目標です」と言い切った。徳永光希主将も「前回大会も優勝できなかったので、このメンバーで絶対に今年は優勝を狙いたいです」と力強く宣言する。
仁志監督が初めてU-12代表を率いた前回大会はオープニングラウンドを3勝2敗の3位で勝ち抜いたものの、スーパーラウンドは全敗で6位。それだけに「前回の決勝戦は満員の観客の中でやっているチャイニーズ・タイペイとアメリカの試合を見て、うらやましくもあり、ここで子供たちに試合をやらせて、経験させたいなという思いもありました。ぜひ、その大きな盛り上がりの中で野球をするという充実感、そして、それを基に今後成長していってくれるよう、大事な時間にしたいと思ってます」と胸中を明かす。
今大会は、オープニングラウンドでチェコ、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、南アフリカ、ブラジルと対戦。その後、スーパーラウンドを経て、決勝戦と3位決定戦が行われる。前回大会については「単純に力負けの試合がほとんどでした。僅差でミスで負けたとか、そういうことは大事な試合ではほぼなかったですね」と振り返る指揮官。この世代では、海外チームとの体力差も大きく、苦しめられてきたという。
2連覇中の米国から見習うべきところも
では、どのように戦い、勝ち抜くべきなのか。やはり、過去4度のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2度の優勝、2度のベスト4と結果を残してきたトップチームと共通した戦略が必要になるようだ。日本らしい、小技を駆使した「スモールベースボール」。仁志監督の頭の中には、すでに戦い方が描かれている。
「子供の野球ですけど、ミスがあれば当然、そのミスが原因で負けるということも過去にはいくつもありました。とにかくミスがなく、確率のいい戦略。盗塁であったり、バントであったりというのが、ある程度決められるようなチームであればゲームは有利に進められるのかなと思います」
U-12ワールドカップは、第1回大会をチャイニーズ・タイペイが制し、その後は米国が2連覇中。世界一のチームとの“差”について、指揮官は「すでに骨格の違いとか、というところはあります。体の大きさだったり、それによって技術に関する出来る、出来ないというところはアメリカの子たちはレベルが高いと思います」と分析する。一方で、日本が見習うべきところも多いようだ。
「前回大会で思ったのは、意外にも一番規律が厳しそうなのがアメリカでした。グランド以外でも素晴らしい。それも含めてアメリカは素晴らしいと思います」
世界一のチームの牙城を崩すのは、やはり簡単ではない。
「帰ったときには1つ成長の階段を登っているというような子供たちであってほしい」
ただ、当然、日本も着実に成長している。仁志監督は昨年12月、中国・広東省で開催された「第9回 BFA U-12アジア選手権」で、日本を初優勝に導いた。それまで6度決勝に進みながら、優勝を阻まれてきた侍ジャパンU-12代表をアジアの頂点に導いた手腕は確か。大会前に大阪と東京の2会場で選手選考合宿を実施し、15名の代表選手を初めてトライアウトで選出したことで、強いチームを作り上げた。
今回のワールドカップに向けても4月に神奈川と大阪で選手選考を行い、仁志監督が直接視察。選手の実力をしっかり見極めた上で、代表選手を招集した。その上で主将に指名された徳永は「正直、トライアウトの時からキャプテンはないかなと思ってたんですけど、選ばれたときからやる気がいっぱい溢れて、一日目の練習からチームを引っ張っていこうと思いました。チームの中でキャプテンをやらせていただいているので、しっかり恥のない行動をして大会に臨みたいと思います」と早くも責任感を滲ませている。“強固”なチームを作り上げ、大会に臨むことができそうだ。
そして、いわゆる育成年代でもあるU-12世代だけに、時には勝利以上に大切なこともある。
「毎回そうですけども、このユニホームを着て、帰ったときには1つ成長の階段を登っているというような子供たちであってほしいなと思ってます。今回もそういう教育をしながら、大会を終えたいなと思います。そこに優勝という結果がプラスされると、さらに子供たちの将来に繋がる思い出として残っていくと思いますので、楽しいだけではなく、色々と覚えられる、記憶に残る大会になればいいなと思います」
勝利、そして成長――。世界での戦いを経験した侍ジャパンU-12代表の選手たちが、一回りも二回りも大きくなって日本に帰ってくる。そんな結末を期待したいところだ。
【了】
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