侍ジャパンで頭角現す武田翔太、一流選手が集うチームで感じることとは

2016.11.28

今季、福岡ソフトバンクで自己最多の14勝(8敗)をマークした武田翔太投手。本人の中では日の丸に対してどのような思いを抱いているのか――。国際大会の環境の違いや外国人打者の印象、得意とする「カーブ」の極意なども交えて語ってもらった。(前編)

写真提供=Full-Count

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プロ5年目で自己最多14勝、侍ジャパンでも期待される武田翔太

 今季、福岡ソフトバンクで自己最多の14勝(8敗)をマークした武田翔太投手。2011年のドラフト1位で入団した右腕はプロ4年目の昨季に自身初の2桁勝利(13勝)に到達し、5年目も順調に成績を伸ばしている。防御率2.95はリーグ6位(チーム2位)、勝ち星はリーグ2位タイ(チーム2位)、183投球回はリーグ3位(チームトップ)で、選手層の厚い福岡ソフトバンクでも先発ローテの柱としてチームを牽引している。

 そんな23歳は野球日本代表「侍ジャパン」でも大きな期待を寄せられている存在だ。11月に行われた強化試合にも招集され、4試合あるうちの初戦、メキシコ代表との第1戦で先発のマウンドを託された。初回に先頭から2連打と四球で無死満塁のピンチを招いたものの、4番の指名打者アマダーを空振り三振に仕留めると、そこから3者連続三振。3回まで無失点で切り抜けた。4回に同点に追いつかれて降板したが、4回77球と球数がかさみながらも3安打1失点と粘りの投球を見せた。

 侍ジャパンでも大きな戦力となりつつある武田。本人の中では日の丸に対してどのような思いを抱いているのか――。国際大会の環境の違いや外国人打者の印象、得意とする「カーブ」の極意なども交えて語ってもらった。(前編)

――11月10日に行われたメキシコとの強化試合、先発して4回1失点の結果でした。立ち上がりにちょっと苦労しましたね。

「あたふたしてしまいましたね。1球目がちょっと。球数を減らそうということがあったので、真ん中低めに投げたのですが、きれいに打ち返されてしまいました」

――試合後のコメントでは、マウンドやボールについて話をしていました。やはりレギュラーシーズンとは違いますか。

「ちょっと違いますけど、本当に微妙なところですね。ただ僕の場合は、国際大会はこれまでに経験があるので、対応していくことはできます」

――マウンドも米国仕様で、かなり硬かったということですが。

「マウンドに関しては、過去の国際大会でもメジャー仕様でしたからね。体への反動がデカいです」

――体への反動というと、具体的には腰とか、膝あたりに負担が大きいということですか。

「背中周りに一番きますね。跳ね返りがすごいんです」

「WBSCプレミア12」との違い、「データが入っているなというのは感じた」

――東京ドームのマウンドは、レギュラーシーズンでも投げていますが、今回のマウンドはやはり硬さなど、全然違いましたか。

「うーん、でも結構、東京ドームでは負けていますからね。よかった記憶はあまりないです」

――メキシコ戦は昨年の「第1回WBSCプレミア12」の3位決定戦(過去の国際大会)でも先発(3回を1安打無失点)していますが、その時とは違いがありましたか。

「データが入っているなというのは感じました。初回に追い込んだ後、カーブを打たれたのですが、完全にカーブ待ちでした。その時は、データが(相手の頭に)入ってるなと感じました」

――そこからは、それに対応した投球に変えたのですか。

「僕としては、球種を消したくないというのがあります。このボールを狙われているから、他のボールを投げようということは、やりたくない。逆に狙われているから、見せ球に使おうとか、そちらの方向で考えます」

――そこは普段から、臨機応変に。

「バッターを見ながらですね」

――中南米の選手の特徴は。攻め方などはありますか。

「イメージとしては、真っすぐ系の球に強いですね。カットとか、シュート系も強い。どちらかと言えば、前に体を出される変化球の方が、打ちにくいのかなと思います。特殊球や、フォークなんかにも対応はできるんですけど、縦に落ちている分、打ちづらいというか。横に曲がる感じであれば、バットにも当たりやすいという感じはあります」

国を背負って戦うことへの意識、一流選手が集う環境は「見ていて勉強になる」

――武田投手の中で日本代表への思いは?

「やっぱり僕自身としては、大事な試合だと思っています」

――日の丸への思い、というのもよく言われますが。

「やっぱり代表、ということで、引き締まる感じはありますけど」

――国と国の戦い、ということになりますが、意識も変わってきますか。

「野球をやっている時は、いつも変わらないですけど、代表の場合は、プレー以外のことで気を使うことの方が、どちらかといえば多いですね。周囲の見る目が違いますから。チームだったら何でもないけど、代表になると他で気を使うことが多くなりますね。その分、注目度も大きいですし」

――トップレベルの選手が揃っているわけですから、吸収する部分も大きい。

「そこはやっぱりありますけど、見ていて勉強になるなと思うことはたくさんあるので。わからないことは聞きますしね」

――代表になると、各チームから一流の選手が集まるわけですが、誰かに話を聞いりすることはありますか。

「一番聞くのは、変化球のことですね。僕が聞かれることもあります」

――具体的に誰に、というのは。

「結構聞きますよ。(大谷)翔平にも聞きましたし、まあ、ホークスでは千賀さんがよく聞かれていますね。お化けフォークを教えてよって」

――強化試合を終えて、来年3月には世界一を決める大会があります。さらに福岡ソフトバンクでは、右のエースとして期待がかかりますが、来年の抱負を教えてください。

「まずは優勝しないといけないので、そこを目指してやるのが一番ですね。その中で、勝てる試合を確実に抑えて取っていく。そういうことができるようにやっていきたいと思います」

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