「プロを目標にするきっかけに」 読売・ドラフト2位右腕が大学代表で得た気付き
激闘の記憶は今も刺激になっている。読売・山崎伊織投手は2019年に開催された「第43回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)に出場。当時は東海大学の3年生だった。この時、侍ジャパン大学代表として共に戦った投手陣の大半がプロ入り。右肘手術からの復活を目指す山崎投手は今も、当時の仲間の活躍に刺激を受けている。
写真提供=Full-Count
トミー・ジョン手術からの復帰を目指す1年目・山崎伊織投手
激闘の記憶は今も刺激になっている。読売・山崎伊織投手は2019年に開催された「第43回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)に出場。当時は東海大学の3年生だった。この時、侍ジャパン大学代表として共に戦った投手陣の大半がプロ入り。右肘手術からの復活を目指す山崎投手は今も、当時の仲間の活躍に刺激を受けている。
2020年のプロ野球ドラフト会議で、読売に2位で指名され入団した。だが、その年の6月にトミー・ジョン手術(右肘内側側副靱帯再建手術)を受け、リハビリの真っ只中。まだプロでの実戦登板はない。2022年シーズンの先発ローテーション入りを目指して、ジャイアンツ球場で汗を流している。
痛みと戦った昨年、そしてリハビリ生活から始まったプロ1年目の今年。山崎投手の耳には、かつての盟友たちが1軍で躍動する様子が届いていた。
「すごく刺激になりますね。日米大学野球後の皆さんの活躍を見ていたので。自分は手術を受けることになりましたが、『みんな、頑張ってるな』『自分も早く試合に出られるように頑張ろう』と思っていました。まずはしっかりとリハビリをして、投げられるように頑張っていきます」
3年生で首都大学リーグ・春夏連続MVP、大学代表では中継ぎ投手として無失点登板
東海大学のエースとなった3年時には、首都大学リーグ戦で春秋連続でMVPを獲得。最速153キロのストレートを武器とする右腕は3年生ながら大学代表入りし、日米大学野球では中継ぎを任された。
豪華な投手陣だった。右のエースは昨季セ・リーグ新人王に輝いた広島東洋・森下暢仁投手(明治大学)、左のエースは今季ルーキーながら勝ち星を重ねる東北楽天のドラフト1位・早川隆久投手(早稲田大学)。2人が交互に先発して5イニングずつを投げ、山崎投手、佐藤隼輔投手(筑波大学)、東京ヤクルト・吉田大喜投手(日本体育大学)、北海道日本ハム・伊藤大海投手(苫小牧駒澤大学)らが6回以降を1イニングずつ抑える必勝パターンがあった。
「僕は中継ぎをあまりやったことなかったので、大変さがすごくよくわかりました。先発投手がピンチを作ると、中継ぎが肩を作ることになる。先発が頑張れば、中継ぎの負担が減らせるということを学びました」
本番では与えられた仕事を見事にこなした。第1戦では2点リードの7回から3番手として登板。先頭打者には右中間三塁打を許したが、その後はメジャーリーガーの卵たちを3者連続三振に斬った。大会期間中は3試合で投げ、無失点リリーフと存在感を発揮し、日本の優勝に貢献した。
「米国代表の選手たちは体が大きかったです。外の変化球を投げても、腕が長いのでバットが届いてしまいました。それが一番印象に残っていますね。なので、より丁寧にボールを投げました。とりあえず抑えることに必死で……。中継ぎは1イニングを任されているので、全力で投げていました」
同部屋の伊藤大海投手から学んだ“朝風呂”のルーティン
大会期間中、宿舎で同部屋だった伊藤投手のルーティンに驚かされたことがある。
「伊藤大海さんとよく話をしたのですが、覚えているのは絶対に朝、お風呂入るんです。『なんでお風呂に入るんですか?』と聞いたら、『体を温めてから(練習に)行くことで(チームで)アップする前の段階からすでにアップができているというイメージ』だと仰っていました。朝起きてからそんなことを考えてるんだ、と驚きました。なので、僕も真似をしたらすごくよかったです」
2人は学年こそ同じだが、年齢は伊藤投手が1つ上。その高い意識に感化されるなど、山崎投手にとって大学トップレベルの選手たちから学びを得る貴重な場となった。そして、同じ侍ジャパンのユニホームで戦った仲間たちがプロの門を叩く姿を見て、自然と高いレベルを目指す意欲が沸いた。
「プロになりたいという思いが強くなりました。(日米大学野球は)プロを目標にするきっかけになった時間だったと思います。プロに行くであろう選手たちと一緒に、高いレベルの中で野球をやらせてもらったことがよかったです」
大学代表入りが期待される後輩たちへ送るアドバイス「誇りを持って、全力で」
約2年の月日が流れ、舞台は大学からプロへと変わったが、山崎投手が当時のメンバーから受ける刺激は今も変わらない。
現役では読売・菅野智之投手、千葉ロッテ・鳥谷敬内野手ら、大学代表を経験した名プレーヤーは数多い。プロ入り前に国際舞台を踏んだ経験、同世代のトップ選手たちから受ける刺激などが、己の中に眠る才能を大きく花開かせてくれたのかもしれない。
山崎投手自身、特別な機会になったことを実感するだけに、これから先、大学代表に名を連ねるであろう“後輩”たちにこんなアドバイスを送る。
「なかなか経験できるものではないので、誇りを持って、全力で向かってほしいと思います」
かつての仲間たちと1日も早く1軍の舞台で戦えるよう、今日もまた地道で長いリハビリと真剣に向き合っていく。
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