大会防御率1.17も「課題が明確に出た」 千葉ロッテ・木村優人がU-18W杯で得た学び
千葉ロッテの木村優人投手は、茨城・霞ヶ浦高3年時に「2023 第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(台湾)に出場した。甲子園未出場ながら野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表入りを果たし、大会通算防御率1.17と躍動して初の世界一に貢献。自身にとって初めてだった海外選手との対戦では、収穫も課題も手にした。プロ2年目を迎えた今季、急成長を遂げる20歳は、将来的なトップチーム入りへの思いも語った。

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2023年にU-18W杯に出場、大会防御率1.17で初の世界一に貢献
千葉ロッテの木村優人投手は、茨城・霞ヶ浦高3年時に「2023 第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(台湾)に出場した。甲子園未出場ながら野球日本代表「侍ジャパン」U-18代表入りを果たし、大会通算防御率1.17と躍動して初の世界一に貢献。自身にとって初めてだった海外選手との対戦では、収穫も課題も手にした。プロ2年目を迎えた今季、急成長を遂げる20歳は、将来的なトップチーム入りへの思いも語った。
茨城県大会決勝で土浦日大高と対戦。先発として3点リードを守ったが、9回にまさかの5失点を喫し、“最後の夏”も甲子園には届かなかった。悔しさが残る中でも、「次の大きな目標はドラフト」と必死に気持ちを切り替え、練習に励んだ。高橋祐二監督から代表入りを伝えられたのは、そんな時だった。「中学生の時に憧れていた部分もあって目指していたので、入れるうれしさはありました」と喜んだ。
まずその名を知らしめたのは、東京ドームで行われた「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」だった。6回から登板して1回2/3を無失点。「大学生の選手と試合をできることはそれまでなかったので、レベルの違いは感じつつも、自分の投球ができたことは自信になりました」と、最高の状態で開催地・台湾に乗り込んだ。
パナマ戦で好投も、印象に残る試合は「力負け」した米国戦
大会での最初のマウンドは、オープニングラウンド第2戦のパナマ戦。1-0の4回から登板し、3イニングを無安打無失点5奪三振という圧倒的な投球で勝利投手となった。海外の独特な球場やマウンドには、事前の準備でスムーズに対応。「いいリズムで投げられたと思います。夏の大会が悔しい結果で終わってしまって、また投げられるチャンスをいただいた。やっと投げられるんだと、緊張より逆に楽しみながら投げられました」と振り返るのだから頼もしい。
“投げられる喜び”を胸に腕を振った木村投手は、大会通算3試合に登板。計6イニングで2安打1失点11奪三振、防御率1.17で初の世界一に貢献した。しかし印象に残る試合には、0/3回を2安打1失点で四球や暴投もあった第3戦の米国戦を挙げる。「自分の力負け。真っすぐを弾き返されて、空振りが取れていた球も簡単にヒットにされてしまった。課題が明確に出た、すごく大きなゲームでした」。さらに上のレベルへ行くために、重要な一戦だった。
海外選手との初対戦で得た道しるべ「自分ももっともっと上に」
スーパーラウンドと決勝戦では登板機会がなかった。「投げたかった気持ちはもちろんあります」と本音も漏らすが、「何よりも、チームの目標に世界一があったので、達成できたことが良かったです」と笑顔。「外国人の方が全然大きいですし、ポテンシャルの高さやパワーが違うので、最初は怖さがありました。でも、試合を重ねていくうちに勝ち進んで自信もついていったので、怖さはなくなり、自分たちの野球ができたのではと思います」と勝因を明かした。
約2週間の日々は、刺激的だった。「ずっと高校野球をやってきて、海外の選手とも初めて対戦したのでレベルの高さも感じましたし、あのチームからメジャーリーガーになる選手が何人もいると思う。そういうところで凄さを感じる部分もありましたし、自分ももっともっと上に行けると感じました」。自らの現在地を知り、未来への道しるべも得た。
また、同世代の選手たちとの野球談義も楽しんだ。当時は野手も兼務していたため、同じく“二刀流”だった武田陸久投手(現横浜DeNA)とは、投手で意識することや二刀流の難しさなどについて語り合った。大会期間中のオフにはチームメートたちと名所観光でリフレッシュ。「あの時間は良かったです」と一致団結にもつながった。
プロ2年目で1軍デビューして初勝利など飛躍「勝てる投手になりたい」
初めての日本代表ユニホームを「高校野球でずっと戦ってきて、日本を代表して戦うことに関しては、重みが全然違いました」と噛みしめ、戦い抜いた。その後、2023年ドラフト3位で千葉ロッテに入団し、2年目の今季に1軍デビュー。プロ初勝利、初ホールド、初セーブをマークするなど、順調にステップアップしている。
「もう一回、侍ジャパンで日の丸を背負ってやりたい気持ちもあるんですけど、まだまだ足りない部分はあるので。まずは今やるべきことをやって、その先のいい結果につながればいいと思います」
7月2日の東北楽天戦(楽天モバイルパーク宮城)では、待望の“先発初白星”も手にした。「足りない部分」も一つずつクリアして、エースへの道を歩む。「マウンドに上がったら絶対に抑えられるような、勝てる投手になりたいです」と目を輝かせる20歳の未来は、明るく照らされている。
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