初登板で味わった緊張感 橋本侑樹が明かす侍ジャパンへの思い「もう一度あのユニホームを」

2025.4.21

中日の橋本侑樹投手は、3月5、6日に京セラドーム大阪で行われた強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」で野球日本代表「侍ジャパン」に初選出された。侍ジャパンは2試合連続で完封勝利。橋本投手は5日の第1戦で3番手として5回から1イニングに登板し、1安打無失点の好投で国際試合デビューを飾った。

写真提供=Getty Images

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今年3月のオランダ戦で初選出「ありがたい経験をすることができました」

 中日の橋本侑樹投手は、3月5、6日に京セラドーム大阪で行われた強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」で野球日本代表「侍ジャパン」に初選出された。侍ジャパンは2試合連続で完封勝利。橋本投手は5日の第1戦で3番手として5回から1イニングに登板し、1安打無失点の好投で国際試合デビューを飾った。

 初参戦の侍ジャパンに心は踊った。「限られた人しか着られないユニホームを着られて、ありがたい経験をすることができました。登板を終えて楽しかったという思いが強いです」と日の丸を背負った経験を振り返り、笑顔を見せた。

 2023年は1軍でわずか13試合の登板にとどまったが、昨季は左の中継ぎとして47試合に登板し、3勝1敗5ホールド、防御率1.73という好成績を収めた。そして、2月の春季キャンプ中に突然、マネージャーから告げられた侍ジャパン入りのニュース。選ばれるとは思ってもいなかった橋本投手にとって、まさかの吉報となった。

「想像できなかったですね、あっても候補くらいかなと。いつかは選ばれたいという気持ちはずっとありましたが、結果も出ていなかったので。去年パッと、ある程度の成績が残せたくらいなので全く想像はしていませんでした」

初めて上がった国際試合のマウンドで味わった“緊張とゾーン”

 第1戦で出番は訪れた。1点リードの5回、3番手としてマウンドへ上がると緊張は最高潮に達していた。「ブルペンから凄く緊張していたんです。緊張というか不安が先に来るタイプなので。そこを乗り切れると上手いこといくんですけど……」。それまで無安打リレーが続いていたが、先頭打者に初球真っすぐを弾き返され左翼フェンス直撃の二塁打を許した。球場に響いた歓声とため息に目が覚めた。

「緊張している場合じゃないなと、緊張がほぐれたというか、いい感じの緊張感に変わりました。そこからはより一層気持ちが入ったというか、ゾーンに入っていった感覚がありました。シーズン中にも感じたことはありますが、あの1試合で、ピンポイントでゾーンに入ることができたのはいいことかなと思います」

 自然と体が動いていた。打者の手元で鋭く曲がるスライダーを武器に、後続を遊ゴロ、見逃し三振、中飛と3者凡退。いきなり迎えたピンチを冷静に抑えきった。実に、この回に投じた13球のうち9球がスライダーだった。


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好投の裏で感じた課題「レベルが違うなと思うところも」

「完璧に捉えられることはなかったので、初見だとある程度通用するのかなと思いました」と自分の真骨頂であるスライダーに手ごたえは感じたが、逆に課題も浮き彫りになった。

「真っすぐの使い方、使いどころが課題でした。いきなり真っすぐを打たれたこともあり、思い切って投げられずスライダーに頼った部分もありました。日本代表の投手は真っすぐが凄かった。僕の真っすぐと比べてレベルが違うなと思うところもありました」

 味方の投手陣からも大いに刺激を受けた。周りを見渡せば150キロを超える力強い直球を投げ込む投手ばかり。特に種市篤暉投手(千葉ロッテ)、今井達也投手(埼玉西武)、杉山一樹投手(福岡ソフトバンク)の球は印象深く、目指すべき指標になった。

 また、能見篤史投手コーチからはブルペンでの調整方法について指摘を受けた。「ブルペンで投げ過ぎと言われました。肩を壊す、と。このシーズンは球数少なくしてみるように言われました」。多くの中継ぎ投手は10球ほどで調整するが、橋本投手は倍の20球以上を投げる。球数が多いことは分かっていたが、改めてハッとさせられ、さらなる成長への道筋が見えた。

意識が変わりつつある侍ジャパンへの思い「ご褒美として」

 2026年3月の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)まで1年を切り、代表に対する意識も少し変わってきた。「今シーズンの結果と内容次第では、ひょっとしたら手の届くところにはあるかもしれない」。憧れだった日の丸は、自分の中で明確な目標へと変わりつつある。

「でも、そこ(代表入り)を見ずに1試合1試合、自分自身のシーズンに集中して頑張れば、ご褒美としてついてくるものなのかなと思います。目の前のシーズンがどうにもなっていなかったらWBCもないので。まずはチームでポジションを獲らないといけない。しっかり結果を出して徐々に昇り詰めていきたいと思います」

 もう一度あのユニホームを着てプレーしたい——。

 絶やさぬ笑顔の裏で熱い野望を胸に秘め、チームのために左腕を振り続ける。

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