人生初の日の丸は「大学代表の4番」 オリックス・頓宮裕真が糧にする“勝利への欲”

2023.8.7

トップクラスの選手が集う中で4番の重圧と戦った。オリックス・頓宮裕真捕手は初めて日の丸を背負って戦った大学時代を「日本代表に選ばれた時は正直、めちゃくちゃ嬉しかった。チームが1つになって勝利できたのは良かったが、個人としては悔しかった」と振り返る。

写真提供=Full-Count

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亜細亜大時代の2018年に野球人生で初めて日の丸のユニホームを身にまとう

 トップクラスの選手が集う中で4番の重圧と戦った。オリックス・頓宮裕真捕手は初めて日の丸を背負って戦った大学時代を「日本代表に選ばれた時は正直、めちゃくちゃ嬉しかった。チームが1つになって勝利できたのは良かったが、個人としては悔しかった」と振り返る。

 亜細亜大で強打の捕手として注目を集めていた。初めて野球日本代表「侍ジャパン」大学代表に選出されたのは2018年7月に開催された「第42回日米大学野球選手権大会」(日米大学野球)と「第29回ハーレムベースボールウィーク」(ハーレムウィーク)だった。メンバー全24人の中には伊藤大海投手(北海道日本ハム)、松本航投手(埼玉西武)、森下暢仁投手(広島東洋)、佐藤輝明内野手(阪神)、辰己涼介外野手(東北楽天)ら、半数以上が後にプロ入りする錚々たる顔ぶれが揃っていた。

「日本代表は大学で初めてだったので、めちゃくちゃ嬉しかった。選考会の段階でも六大学(東京六大学野球連盟)や、それ以外のリーグでも凄い選手ばかり。その中で選ばれたことが嬉しくて。日本を背負う実感はなく、喜びの方が大きかったです」

生田監督から橋渡し役の念押し「俺の性格はお前しか分からない。頼んだぞ」

 2大会で指揮官を務めたのは亜細亜大の生田勉監督。同大から選考されたのは頓宮のみで「俺の性格はお前しか分からない。頼んだぞ」と“念押し”されたという。監督の野球観をチームに浸透させる橋渡し役に任命され、日米大学野球では5試合中3試合、ハーレムウィークでは全7試合で4番を任された。

 だが、日米大学野球では13打数2安打と結果を残せず、チームも2勝3敗と負け越し。米国代表は投打にメジャーの卵を擁す最強チーム。体格やパワーの部分でも驚かされたが「何より技術が凄かった。打者のスイングスピードも凄いが、しっかりと自分の形でスイングする。打撃練習から引っ張る打撃はほとんどなく、センターを意識していた。『米国=力』と思いがちだが、そうじゃなかった」。実際に対峙することで、その実力を痛感した。

 アウェーでの戦いは、移動や食事面での苦労もあった。日米大学野球は7月3~8日まで米国で行われ、ハーレムウィークは同13~22日までオランダで行われる“強行軍”。グラウンド状態、審判のストライクゾーンは日本と違う部分もあったという。

「米国は日本と違った雰囲気で毎試合が凄かった。ハーレムは食事面で苦労しましたね。球場の食事はハムとチーズが入ったパンや、リンゴ丸々1個とか(笑)。その部分はきつかったです。ですが、生田監督が休みの日に日本食の店を手配してくれた。周りの方のサポートもあり、選手たちは本当に助かりました」

「第29回ハーレムベースボールウィーク」では7戦全勝で12大会ぶりの優勝

 日米大学野球では本来の力を発揮できなかったが、ハーレムウィークでは7戦全勝で12大会ぶりの優勝を果たした。捕手として起用されたのは2試合で、主に一塁手での出場が続いた。大学通算14本塁打を誇る長打力が最大の武器だが、勝利を最優先する国際試合では犠打のサインが出るのは当たり前だった。

「チームが勝ってなんぼの世界なので。そこはあまり気にすることはなかった。ただ、(捕手で)スタメンで行くと言われた時は素直に嬉しかった。試合を動かすことができる唯一のポジション。捕手のやりがいはそこにあると思っているので」

 プロ入り後は打撃を買われ、今シーズンは主に一塁手として出場が続く。その中で首位打者争いを繰り広げ、オールスターにも出場するなど飛躍の1年を迎えようとしている。充実のシーズンを送ると同時に、侍ジャパン大学代表として戦った仲間の活躍も注目している。3大会ぶりに優勝を果たした2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™では伊藤投手がトップチームに選出された。

「出場していた選手たちは、皆メンタルが強いですよね。大学とは注目度が全く違う。想像もできないくらい。伊藤に関しては当時から気も強かったし、あのような舞台でも平然と投げていたので単純に凄いなと。僕ですか? まだ、そこまでの選手になっていないので、まずはオリックスでしっかりとした成績を残したいと思います」

 日の丸を背負った経験を糧にし、リーグ3連覇、連続日本一を狙うオリックスで大ブレークを狙う。

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