上級生に囲まれて戦った日米大学野球 福岡ソフトバンク津森宥紀が掴んだ「自信」
錚々たる顔ぶれの中で戦った経験が大きな自信になった。福岡ソフトバンク・津森宥紀投手は刺激的だった日の丸を背負って戦った日々を「自信になりましたね。大学野球で凄い人たちの中で自分も一緒に野球をやれて、多少は僕もプロでできるのかな、と思いました」と振り返る。
写真提供=Full-Count
2017年に日米大学野球で初めて袖を通した日の丸のユニホーム
錚々たる顔ぶれの中で戦った経験が大きな自信になった。福岡ソフトバンク・津森宥紀投手は刺激的だった日の丸を背負って戦った日々を「自信になりましたね。大学野球で凄い人たちの中で自分も一緒に野球をやれて、多少は僕もプロでできるのかな、と思いました」と振り返る。
津森投手が初めて野球日本代表「侍ジャパン」大学代表に選出されたのは、2017年7月に開催された「第41回 日米大学野球選手権大会」(日米大学野球)。当時はまだ東北福祉大の2年生だったものの、立命館大の東克樹投手(現横浜DeNA)や東洋大の中川圭太内野手(現オリックス)ら後にドラフト指名される上級生たちに混ざり、メンバーに名を連ねた。2年生で代表入りしたのは津森投手と明治大の森下暢仁投手(現広島東洋)の2人だけだった。
「大学野球の中でトップの人たちが集まるチームだったので、自分も選ばれたいという気持ちはありました。初めて日本代表に選ばれたので、嬉しい気持ちと、ちょっとソワソワした感じがありました」
驚きだった米国代表のパワー「日本人とは違う」
初選出は意外な形で知った。候補には入っていたものの、正式な選出は友人と当時東北福祉大を率いた大塚光二監督から聞かされた。「(友達は)多分、インターネットで調べたんだと思います。発表前には(選出について)聞いていなかったので。候補の中から24人に絞られるということだったので、2年生はどうなのかな、という感じもありました」。本人としても驚きだった。
初めての日米大学野球は1試合に登板。米国代表の選手たちと対戦し、何より驚かされたのはそのパワーだった。「レベルは凄く高かったです。(投手の)ボールの強さ、(打者の)打球の強さというのは日本人とは違いました。手が長いので、外角のボールがちょっと甘く入ると全部届く。しかも力があるので、逆方向に強い打球を打たれました」。噂には聞いていたものの、実際に対峙して痛感した。
2年生は2人だけということで「先輩方にかわいがってもらいました。大学の先輩の楠本(泰史・現横浜DeNA)さんに付いていきながら、東さんにもよくしてもらいました」と、チームに馴染むのは難しくなかった。特に東投手とは「ずっと喋っていました」といい、「教えてもらったトレーニング方法が自分にハマったので、それからは大学での練習にも取り入れていました」と、その後の成長に繋がる助言もあった。
選出漏れした4年生時の大学代表「悔しかったですね」
同年8月に台湾で行われた「第29回 ユニバーシアード競技大会」にも引き続いて参加。3年生となった2018年も「第42回 日米大学野球選手権大会」と「第29回 ハーレムベースボールウィーク」で日の丸を背負った。この時も、東洋大の甲斐野央投手(現福岡ソフトバンク)や日本体育大の松本航投手(現埼玉西武)、國学院大の清水昇投手(現東京ヤクルト)ら、のちにドラフト指名される先輩たちと共に戦った。
ただ、津森投手には悔しい思いも残っている。2年生、3年生で選出されながら、自身が4年生だった2019年は代表から漏れた。「アピールしたい思いが強くて、力を出そうとしすぎていました。スピードは出るんですけど、自分のボールじゃなくなっていました」。秋に迫るドラフトを意識するがあまり、リーグ戦で調子を落としたのだ。
「2年生、3年生と入っていたので4年生でも入りたいな、という気持ちはありました。ただ、自分の状態はあまり良くなかったので……。悔しかったですね」。大学最後の年、2年生から縦縞のユニホームで共に戦ってきた森下投手らが大学代表に選ばれる中、津森投手の名前はなかった。
胸に秘めるトップチームへの憧れ「もちろんあります」
とはいえ、侍ジャパンとして戦った経験やそこで生まれた繋がりは、プロに入った今も原動力になっている。当然、一緒に戦った仲間たちの活躍は気になるし、そして刺激にもなる。その動向は逐一チェックしているといい、「やっぱり目に入ってきますし、みんな活躍しているなっていうのは見ています。特に森下は同級生でもあるので気になります」と話す。
甲斐野投手や森下投手、そして1学年下の苫小牧駒澤大・伊藤大海投手(現北海道日本ハム)はプロ入り後も、侍ジャパンのトップチームに選ばれて大舞台を経験した。ライバルであり、仲間であった彼らのプレーを目の当たりにし、津森投手の思いも強くなっている。
「(もう一度)日の丸を身につけたい思いは、もちろんあります。自分が入れるレベルがあれば(トップチームで)やりたい、という気持ちはあります」
今度はトップチームの一員として、日の丸を背負って戦う--。そんな未来を目指しながら、日々マウンドで全力投球を続ける。
記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count