侍ジャパンの本音と素顔が詰まった密着ドキュメンタリー映画 栗山氏が舞台挨拶登壇
3月に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™(WBC)」で優勝した野球日本代表「侍ジャパン」の密着ドキュメンタリー映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」が、6月2日から29日まで、全国の劇場で公開されている。同4日、都内で行われた公開記念舞台挨拶には、5月31日付で退任した栗山英樹前監督と、本作の撮影及び監督を務めた三木慎太郎氏が登壇。映画の見どころや撮影当時の裏話などについて語り、集まったファンと優勝の感動を共有した。
写真提供=Full-Count
6月2日から29日まで期間限定公開「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」
3月に開催された「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™(WBC)」で優勝した野球日本代表「侍ジャパン」の密着ドキュメンタリー映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」が、6月2日から29日まで、全国の劇場で公開されている。同4日、都内で行われた公開記念舞台挨拶には、5月31日付で退任した栗山英樹前監督と、本作の撮影及び監督を務めた三木慎太郎氏が登壇。映画の見どころや撮影当時の裏話などについて語り、集まったファンと優勝の感動を共有した。
この作品は、侍ジャパンにチーム専属カメラとして密着し続けた三木監督が撮影した、数々の貴重な映像で彩られたもの。劇的な世界一奪還までの軌跡が詰め込まれている。悩みに悩んだ代表選手30人の選考会議、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)による“野球塾”が開講された大会直前の宮崎キャンプ、WBC大会期間中のベンチやロッカーでの様子など、これまで明かされなかった舞台裏を収録。密着カメラだからこそ捉えられたチーム、そして選手の苦悩や葛藤、歓喜の渦のど真ん中の雰囲気まで、臨場感たっぷりに伝わるドキュメンタリーだ。
密着カメラに栗山前監督「最初はすごく違和感がありました」
この日に先駆けて鑑賞したという栗山前監督は「僕も映画を見てヤバかったです。こんなことを言ったなとか、色々なことがよみがえってきました」「何回見ても、ウルッときちゃう」と感情を揺さぶられたよう。「こんなこと言ってたんだ、あの選手があんな表情してたんだって、僕も知らない場面がたくさん見られました」と話した。
だが、密着カメラが入ることに全く抵抗がなかったわけではないという。栗山前監督は「僕は選手と真剣に向き合っている時にカメラという第三者が入ると、本音を喋れなくなってしまうんじゃないかと思ったんです」と当時の心境を吐露。「(チームだけの空間は)選手との神聖な空間だという思いがあったので、最初はすごく違和感がありました」というが、「応援してくれた皆さんが喜んでくれるのであるならば、こういったものをちゃんと出して、僕たちは伝えていく責任があると思っています」と心境の変化があったことを明かしている。
ファンが見ることができなかった貴重な舞台裏が明らかに
ダルビッシュ投手の話に佐々木朗希投手(千葉ロッテ)と宮城大弥投手(オリックス)が真剣な表情で聞き入る姿、大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)と率直な意見交換をする甲斐拓也捕手(福岡ソフトバンク)など、ファンが知り得なかった“本当の姿”が次々と登場する。
こんな場面もある。準決勝のメキシコ戦に先発した佐々木投手が4回3失点で降板後、ベンチの裏で座り込んで涙するシーン。監督、コーチ、選手、スタッフ、チーム全員が並々ならぬ覚悟を持って決戦に臨んでいたことが伝わってくる場面だが、懐かしそうに振り返った栗山前監督は「これからの日本を背負う大エースになる人が、この悔しさを背負ったらもっと大きくなる。さらに飛躍するきっかけになると信じています」と未来に繋がることを期待した。
映像の撮影には選手がカメラマンとして参加することもあった。決勝戦では山本由伸投手(オリックス)が小型カメラを託され、ベンチから優勝の瞬間を撮影。大谷投手が米国代表マイク・トラウト外野手を空振り三振に斬った瞬間、山本投手はカメラを手に持ったままベンチの柵を跳び越え、歓喜の渦に飛び込んだ。この試合で山本投手が撮影した写真は、映画のポスターにメインビジュアルとして採用。山本投手のセンスの良さに「何でもできるんですね。ああいう投手がやると。さすがです」と栗山前監督も驚きを隠せない様子だった。
一致団結して掴んだ優勝「野球を通して子どもたちに伝わってくれたら」
世界一奪還の歓喜から2か月以上が経過したが、WBCをきっかけに高まった野球への関心はまだまだ続いている。栗山前監督は「苦しくなった時、苦しい表情をするべきじゃない。ずっと言ってきましたけど、後ろでこんな感じだったんだと。この選手たちすごいな、彼らを信じて、彼らに任せてよかったなと思います」と、選手たちに改めて感謝の気持ちを伝える。チームのため、日本のために一致団結して掴んだ優勝。「誰かのために頑張る。そういうことが、野球を通して子どもたちに伝わってくれたらうれしいですね」と笑みを浮かべた。
日本中が湧いた数々の熱戦の舞台裏を知ることで、またWBCで見た最高の野球を違った角度から楽しむことができそうだ。
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