激戦を制して6連勝の侍ジャパン 指揮官、精神的支柱が振り返った1、2次R快進撃のポイント
野球日本代表「侍ジャパン」は15日まで行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1、2次ラウンドで6戦全勝と快進撃を見せ、決勝ラウンド進出を決めた。東京ラウンドは熱戦ばかりとなったが、日替わりでヒーローが誕生する好ゲームの連続で4大会連続の準決勝進出。大会前の実戦では2勝3敗と”負け越し”で本番に突入した侍ジャパンは、なぜ勝利をつかめたのか。
写真提供=Getty Images
4大会連続で準決勝進出、「初戦のキューバ戦を取ったのは本当に大きかった」
野球日本代表「侍ジャパン」は15日まで行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)の1、2次ラウンドで6戦全勝と快進撃を見せ、決勝ラウンド進出を決めた。東京ラウンドは熱戦ばかりとなったが、日替わりでヒーローが誕生する好ゲームの連続で4大会連続の準決勝進出。大会前の実戦では2勝3敗と”負け越し”で本番に突入した侍ジャパンは、なぜ勝利をつかめたのか。
チーム唯一のメジャーリーガーとして2大会ぶりに参戦した青木宣親外野手(アストロズ)が、「一番大事だった」と振り返ったのは1次ラウンド初戦のキューバ戦。1-1で迎えた4回に山田哲人外野手(東京ヤクルト)があわやホームランという勝ち越し二塁打を放つと、5回に打線が爆発して一挙5点を奪った。
先発・石川歩投手(千葉ロッテ)も4回2安打1失点と快投。1次ラウンドは65球という球数制限がある中、先発の役割を果たした。東京ドームに異様な空気が流れたこの一戦を振り返った小久保裕紀監督も「あの独特の(雰囲気の)キューバ戦を本当にいつも通りのマウンドさばきでゲームを作ってくれた」と絶賛した。
「初戦のキューバ戦を取ったのは本当に大きかった。(2次ラウンド初戦の)オランダ戦を取ったのも大きかったけど、初戦の入り方は難しい。練習試合でいい結果が出ていなかったので、逆に入りを大事にいけたのかもしれない」
青木はこう振り返る。実戦でチームとして結果が出なかったことが、むしろプラスに働いたというのだ。快進撃はここから始まった。
大会前から、小久保監督が「最も大切」と話していた第2戦のオーストラリア戦に勝利したことも、大きなポイントとなった。エースの菅野智之投手(読売)が先発。4回まで1失点と期待通りの投球を見せたが、同点の5回1死一、二塁の場面で球数制限に達してしまい、降板となった。
小久保監督が「最も成長した選手」に挙げたのは?
ここで登板した岡田俊哉投手(中日)はストレートの四球で満塁とピンチを広げてしまう。続く打者にも2球続けてボール。小林誠司捕手(読売)がマウンドに向かい、声をかけた。小久保監督も「絶妙だった」と表現した“間”で落ち着きを取り戻した岡田は、続く3球目でニゴロ併殺打に仕留め、大ピンチを切り抜けた。
指揮官はこの場面を東京ラウンドの最大のポイントに挙げる。「あそこから(チームに)流れが来た」。当初は「固定とは考えていなかった」という「正捕手」の座を射止めた小林は、小久保監督が東京ラウンドで最も成長した選手として名前を挙げている。
「伸びたというより、代表のキャッチャーとして豪華な投手陣に遠慮することなく、いいところを引き出そうとやってくれた」
打席でも、9番打者でありながら打率.444と貢献しており、大きな存在感を放っている。
勢いに乗って臨んだ2次ラウンドでは、初戦で内野手にメジャーリーガーを揃えるオランダ代表を延長11回タイブレークの熱戦の末に撃破。2次ラウンド第3戦で快勝したイスラエルにもメジャーで実績を誇る選手が多くいた。決勝ラウンドでは、ドミニカ共和国、米国、プエルトリコ、ベネズエラといずれも一流メジャーリーガーを招集している強豪国との対戦となるが、オランダに競り勝ったことは、選手にとっても大きな自信となったはず。日頃からMLBでプレーする青木は言う。
「(相手は)素晴らしい選手ばかりだけど、日本のチーム全体でやっていけば勝てると思うので、自信を持ってやっていきたい。自信を持ってプレーすれば結果が出るのは分かっている。今まで通りですけど、よりブレない心が大切」
東京ラウンド最終戦から一夜明けた17日、小久保監督は「ゆっくり寝られるかと思ったんですけど、眠りは浅かったですね。次のことで頭がいっぱいです」と話した。当然、ここがゴールではない。「(日本では)紙一重の試合ばかりだったけど、勝利の女神が日本に微笑んでくれた。選手たちは一段と成長した」。小久保ジャパンの最大の強みである「結束力」で、あと2試合を戦い抜く。
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