1次ラウンドの行方占う初戦キューバ戦 若き「赤い稲妻」のスピードに警戒
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)で2大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」。王座奪還の道は、ついに1次ラウンド初戦となる7日キューバ戦からスタートする。
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小久保監督『ピッチャー陣の目処が立った」
第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)で2大会ぶりの世界一を目指す野球日本代表「侍ジャパン」。王座奪還の道は、ついに1次ラウンド初戦となる7日キューバ戦からスタートする。
2013年10月。侍ジャパンが準決勝で涙を呑んだ第3回大会から約半年の時を経て、小久保ジャパンが誕生した。前年に現役を退いた小久保裕紀監督の下、3年半に及ぶ“世界一奪還プロジェクト”がスタート。プロ野球シーズンの前後に定期的に侍ジャパンとして試合を重ね、第4回大会に向けての準備を積んできた。
強化試合を経るうち、投手も野手も核となる選手が固まり、チームのアイデンティティが生まれた。そして結集したのが、今回ロースター入りした28選手だ。先発投手の柱として期待された大谷翔平投手(北海道日本ハム)、正捕手の呼び声も高かった嶋基宏捕手(東北楽天)の状態が上がらずに出場を辞退。メジャーを主戦場とする選手も、それぞれの事情で相次いで不参加表明となったが、日本野球界を代表するに相応しい面々が揃った。
決戦を控えた侍ジャパンは2月23日から強化合宿をスタート。本番前に行われた強化試合5番勝負は2勝3敗と結果こそ負け越したが、収穫と最終確認ポイントが見つかる意義あるものとなった。最大の収穫は、毎回課題とされる投手陣のWBC球への対応だろう。2月25日の福岡ソフトバンク戦こそ大量得点を許したが、残り4戦では特に中継ぎ陣が順調な仕上がりを見せ、5日オリックス戦を終えた小久保監督は「ピッチャー陣の目処が立った」と自信を深めた。
一方、打線はチームとしてのつながりを模索しているが、指揮官が「彼はどんなことがあっても4番」と明言する筒香嘉智外野手(横浜DeNA)を中心に、調子が上がってきた山田哲人内野手(東京ヤクルト)、鈴木誠也外野手(広島東洋)、中田翔内野手(北海道日本ハム)、そして唯一のメジャーリーガー青木宣親外野手(アストロズ)らで、どのような打線を組んでくるのか。「ギリギリまで悩みたい」という小久保監督が7日にお披露目する打順に注目だ。
7日の初戦キューバ戦で先発が予定されているのは、千葉ロッテの石川歩投手。3月1日に行われたCPBL選抜チャイニーズ・タイペイとの強化試合では、2番手として3回を3安打6奪三振1失点とし、上々な仕上がりを見せている。気になる守護神として、小久保監督は秋吉亮投手(東京ヤクルト)を「今の時点で第一候補。ボールの力も含め、ずっといいものが出ている」と指名。石川から秋吉までをつなぐ中継ぎリレーにも期待したい。
若きキューバのカギは「足」、兄に負けぬ才能持つセスペデスに注目
対するキューバ代表には、今季、千葉ロッテから福岡ソフトバンクに移籍したデスパイネ外野手、元読売のセペダ外野手が選ばれた。近年、国を代表する20代のトップ選手が数多く亡命し、メジャーでのキャリアを歩み始めた。今回の代表チームには亡命選手は招集されず、30歳を超えるベテラン選手と20歳前後の若手選手が大半を占める。破壊力のある打撃を武器に対戦チームを撃破する姿は、かつて「赤い稲妻」の異名を執ったが、今回はこれまでとはやや異なるタイプのチームとなった。
セペダ、デスパイネをクリーンアップに擁する打線でカギとなるのは、1番打者サントスと9番打者セスペデスの俊足コンビ。セスペデスはニューヨーク・メッツ外野手のヨエニス・セスペデスの実弟で、キューバを率いるマルティ監督も推す新進気鋭のスター候補。兄を凌ぐスピードと潜在能力を持つと評判の19歳だ。サントスとセスペデスが出塁し、機動力で進塁、中軸が返すのが、理想の攻撃パターン。日本野球を熟知するクリーンナップ・コンビの前に走者を出さないことがポイントか。
投手陣の注目は、今季から中日と育成契約を結んだR・マルティネスだ。弱冠20歳の右腕の持ち味は、長身から投げ下ろす140キロ台後半の速球。5日に対戦した埼玉西武打線を18球で3者凡退に斬った。キューバの投手も少しずつボールを動かすのが特長。日本人バッターが不慣れだと言われている「ムービングファーストボール」への対応が課題となりそうだ。
マルティ監督は侍ジャパンについて「強化試合は選手の調整やレベルアップの場。(日本が負け越したことは)まったく気にしていない。日本は相変わらず世界でトップレベルにあるチーム」と警戒を緩めない。同時に、自信のチームについて「最高のプレーヤーを集めてきた。若さが強み。若さをパワーにして勝ち上がりたい」と意気込んでいる。
1次ラウンドのプールBを勝ち抜けるのは上位2チーム。日本とキューバは本命と目されているだけに、7日の初戦は白熱した試合展開になりそうだ。プールB最大の敵とも言えるキューバに勝利し、弾みをつけて世界一奪還への道を歩み出したい。
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