侍ジャパンU-12代表が3連勝で準決勝へ 大型右腕・田栗の好投生んだ様々な縁

2016.12.12

中国・広東省で開催中の「第9回 BFA U-12アジア選手権」は11日、グループ予選最終戦を迎えた。初優勝を目指す侍ジャパンU-12代表はパキスタンに8-1で勝利し、グループ予選3戦全勝。グループB1位でセミファイナル進出を決めた。

写真提供=Getty Images

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鹿取TDから助言、膝をヘソよりも高く…制球立て直して4回途中8Kの快投

 中国・広東省で開催中の「第9回 BFA U-12アジア選手権」は11日、グループ予選最終戦を迎えた。初優勝を目指す侍ジャパンU-12代表はパキスタンに8-1で勝利し、グループ予選3戦全勝。グループB1位でセミファイナル進出を決めた。

 身長173センチの大型右腕が今大会初先発した。初回。しなやかな腕の振りから力強く直球を投げ込み、パキスタンの1番打者を3球三振に仕留めた。2番打者にセンター前ヒットを浴び、一塁への牽制がそれて二塁進塁を許したが、福原聖矢捕手が飛び出した走者を刺した。「助かりました」と田栗。3番打者からも三振を奪って初回を切り抜けた。

 しかし、2回。パキスタンの4番打者に初球を捉えられ、センターオーバーの当たりを痛打された。「二塁か三塁で止まるか」と思ったというが、送球が打者走者に当たるなどし、ホームまで走られて、先制を許した。今大会初の先制点献上に「焦った」と振り返ったが、塁上の走者はいなかったため、気持ちのスイッチを入れ替えた。

「みんなが返してくれると思ったので、自分は任された仕事をやろうと思いました」

 先発投手として崩れるわけにはいかない。コントロールを意識しながら、ボールを出し入れし、5番打者からイニングをまたいで9番打者まで5者連続空振り三振でチームを勢いづけた。

 制球は、国内合宿で侍ジャパンの鹿取義隆テクニカル・ディレクター(TD)から受けたアドバイスが効いた。田栗は以前、投球時に左足を上げる際、膝がヘソの位置よりも下だった。鹿取TDから左膝をヘソの位置より高く上げるよう助言され、実行すると「バラつきがあったコントロールがよくなりました」と成果を実感。それを思い出して制球を意識した。

夏に全国8強、慶太郎の由来は「いるだけで周りがよろこべるように」

 田栗は小学2年からソフトボールを始め、小学4年から現在所属している戸尾ファイターズでプレーしている。きっかけは教員をしている母・真里さんの転勤だった。チームのチラシを見て、佐世保市内の小学生で活動する戸尾ファイターズの練習場が自宅から1人でも通えるほど近かったことが決め手。練習は毎日、行われている。

 すぐに投手としてプレーしたが、昨年、5年生の秋に肘や肩に痛みを覚え、母・真里さんの同僚の勧めで整形外科を受診した。リハビリで利き腕である右腕の上げ方や左手の使い方を教わり、「フォームが良くなりました」と田栗。リハビリで習ったストレッチも毎日、欠かさずに行い、痛みは完治した。しなやかで長いリーチを生かしたダイナミックなフォームは様々な縁が絡んで誕生。そして、侍ジャパンU-12代表入り。整形外科の先生たちも喜んだという。

 夏の全国大会では戸尾ファイターズで8強入りしており、「慶太郎は今年、家族、親戚を笑顔にしてくれました。慶太郎の慶は“よろこび”と読みます。いるだけで周りの人がよろこべるようにと思って名付けましたが、その通りになってくれました」と母・真里さん。長崎で待つ祖父からは「頑張れ」のメッセージを受け、祖母からは手作りのメッセージカードが贈られた。

「正月にじいちゃんとばあちゃんに会えるので、いい報告ができるように頑張りたいです。明日、明後日と登板機会があれば今日の反省点を踏まえたピッチングをしたいです」と田栗。今年最後の吉報は、このアジア選手権初優勝だ。

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