侍ジャパンでも不可欠な存在へ 評価高める中村悠平、その強みとは

2016.3.18

野球日本代表「侍ジャパン」で、東京ヤクルトの中村悠平が正捕手の座を掴みとらんばかりの活躍を見せた。昨季は東京ヤクルトで正捕手としてチームを牽引し、14年ぶりのセ・リーグ制覇に導いた25歳が、このまま日本の「扇の要」を任せられる可能性はあるのだろうか。

写真提供=Getty Images

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強化試合で完封リレーをリード、打撃でも結果を残した25歳の強みは?

 野球日本代表「侍ジャパン」で、東京ヤクルトの中村悠平が正捕手の座を掴みとらんばかりの活躍を見せた。今月行われた「日本通運 presents 侍ジャパン強化試合」チャイニーズ・タイペイ戦では、5日の第1戦にフル出場。5投手による完封リレーをリードしただけでなく、2回2死一、二塁のチャンスで2点二塁打を放ち、5-0の快勝に大きく貢献した。

 直前に、世界野球WBCSプレミア12にチームキャプテンとして正捕手を任された嶋基宏(東北楽天)が負傷離脱する不運があったが、その危機を見事に救う活躍を見せた中村。昨季は東京ヤクルトで正捕手としてチームを牽引し、14年ぶりのセ・リーグ制覇に導いた25歳が、このまま日本の「扇の要」を任せられる可能性はあるのだろうか。

 現役時代、捕手として活躍した野口寿浩氏は、中村にはその実力が十分にあると見ている。同氏は、強化試合でのプレーを見た上で「中村悠平が思ったよりも良かったんじゃないですかね。動じることが1つもなかった。ものすごく落ち着いてやっていた」と称えた。

 日本代表では、普段は違うチームでプレーしている投手をリードしなければならない。特徴を知り尽くした自軍の選手とコンビを組むレギュラーシーズンとは勝手が違う。野口氏も「侍ジャパンのキャッチャーは難しい」と話す。

 5日の試合では、中村は菅野智之(読売)、大野雄大(中日)、小川泰弘(東京ヤクルト)、秋吉亮(東京ヤクルト)、増井浩俊(北海道日本ハム)の5投手をリード。完封勝利へと導いた。小川と秋吉の2人がチームメートで、菅野、大野の2人が対戦の多い同じセ・リーグの投手。これがプラスに作用したとはいえ、そのプレーは評価されるべきものだったという。

中村を成長させた14年ぶりのリーグ優勝、「去年の経験がかなり大きい」

「投げていたのが、知っているセ・リーグのピッチャーばかりだったというのもあります。ただ、それがあったとはいえ、ものすごく落ち浮いて、普段通りの様子でやっていましたね」

 野口氏はこう分析した上で、「総合力」で中村が抜け出しつつあると指摘した。嶋、6日にマスクを被った炭谷銀仁朗(埼玉西武)、中村の全員が打撃面で課題を抱えるだけに、適時打という形で結果を残したことは大きいと評価。中村は2014年に99試合の出場ながら、打率2割9分8厘の成績を残している。

「嶋も含めてその3人で考えると、みんなが守りで実力を出してくれれば、そうは変わらない。盗塁阻止に関しては、炭谷もいいものを持っていますが、中村が一番上かもしれない。さらに攻撃を見ると、中村が一番打つと思います。

 キャンプで話を聞きましたが、今年はバッティングで『もう1回、3割近く(打つ)』という課題を持ってやっているので、あのタイムリーは絶対に嬉しかったはずですよ。あれだけ落ち着いて守った上にバッティングがついてきたら、侍ジャパンの正捕手を任せてもいいかなという気はするんです」

 打撃面で目に見える結果を残したことは、間違いなく小久保裕紀監督へのアピールとなった。「去年の経験がかなり大きですよね、いい経験をしました。彼は本当に肝が座ってますよ」。14年ぶりのリーグ制覇を果たした昨季のプレーが、中村を大きく成長させたと野口氏は見ている。

 もちろん、嶋と炭谷はすでにパ・リーグで確かな実績を残してきた実力者。簡単にポジションを譲るような選手ではない。ただ、最年少の中村が成長を続け、2人を突き上げるほど、侍ジャパンの正捕手争いはハイレベルなものになる。

 今季も2連覇を目指す東京ヤクルトに必要不可欠な存在として活躍が期待される中村。その成長曲線が、侍ジャパンの強化にもつながりそうだ。

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