侍ジャパン、強化試合4連戦で投手陣に明暗　求められる個々の“修正能力”

野球日本代表「侍ジャパン」は13日、オランダ代表との強化試合に延長タイブレークの末に12-10で勝利した。強化試合4連戦は初戦敗退後、3連勝で終了。打線は明るい要素が多かった一方で、投手陣は国際大会への適用に苦しんだ選手も多く、明暗がわかれる形となった。

13日は石田＆田口がともに4失点、「結果的には打たれすぎ」

　野球日本代表「侍ジャパン」は13日、オランダ代表との強化試合に延長タイブレークの末に12-10で勝利した。強化試合4連戦は初戦敗退後、3連勝で終了。打線は、この試合で決勝満塁弾を放った鈴木誠也外野手（広島東洋）の台頭、5番・筒香嘉智外野手（横浜DeNA）の勝負強い打撃、そして大谷翔平（北海道日本ハム）の大暴れなど明るい要素が多かった。

　一方で、投手陣は1試合平均7.25失点と苦戦。滑るボールや硬いマウンドなど、国際大会への適用に苦しんだ選手も多く、明暗がわかれる形となった。この試合でも、1番手の石田健大投手（横浜DeNA）、2番手の田口麗斗投手（読売）と初選出の左腕2人がともに4失点。一方で、適応に苦労していた大瀬良大地投手（広島東洋）、山崎康晃投手（横浜DeNA）は快投を見せ、“リベンジ”に成功した。権藤博投手コーチは「結果的には打たれすぎ」と苦言を呈しており、今後、誰が生き残っていくことになるのか、注目が集まるところだ。

　若き左腕にとっては“試練”のデビューとなった。先発の石田は初回、先頭打者から四球、死球と続けてピンチを招き、3番デカスターにセンター前ヒットを許して先制点を献上。その後、2死一、三塁からリカルドのサード強襲内野安打で2失点目を喫した。2回もケンプに中前打、ガリアにレフト線へのツーベースと連打を許し、2死二、三塁のピンチでデカスターにはセンターへ大飛球を運ばれた。秋山が背走してグラブを伸ばしたが、わずかに届かず。センターオーバーの2点タイムリーで4失点となった。

　また、4回から登板した田口も制球が定まらず、いきなり連打を許すと、四球も挟んで1死満塁として、デカスターにセンターへの犠飛を許した。2イニング目の5回は先頭ザラーガにレフト前ヒットを許し、暴投で二塁に進めると、リカルドは四球で無死一、二塁に。1死としてからこの回2つ目の暴投で二、三塁として、スコープには直球を左中間スタンドへ叩き込まれ、痛恨の3ラン被弾で4失点となった。

小久保監督は秋吉を評価、山崎は「日本代表の力になりたい」

　石田は試合後に「また違う緊張感があった」と代表デビュー戦を振り返り、「ボールが滑るというより、体がうまいように動いてくれなかった」と話した。「これだけのメンバーをバックに投げられた。今後へ向けて、自信になる」と手応えも示したが、代表生き残りへのアピールとはならなかった。

　一方で、12日の試合では3点リードの9回に登板し、1死しか奪えずに3失点で同点に追いつかれて降板となった大瀬良大地投手（広島東洋）は3番手で3者凡退の快投。10日のメキシコ戦で1点ビハインドの9回に登板し、同じく1死しか奪えずに3失点を喫した山崎康晃投手（DeNA）も4番手でマウンドに上がり、12日に続いて3者凡退と“完全復活”を遂げた。

　山崎は「初戦（10日）は不甲斐ないピッチングをしてしまった。その後の2試合では冷静に分析した上で、相手に思うようにさせなかった」と確かな手応えを掴んだ様子。「自信に変えたい」とうなずいた。

　この試合だけでなく、4連戦では投手陣の出来に明暗が分かれた。小久保裕紀監督は収穫として2試合無失点の秋吉亮投手（東京ヤクルト）の名前を挙げ「一番安定している」と高く評価した。ただ、打ち込まれてしまった投手も多く、権藤投手コーチは「いいボールもあるけど、まずいところでまずいボールがいってしまっている。投手陣がちゃんと抑えてくれて、打線が（この日のように）どんどん点を取ってくれる方が当然いい。あんなに（相手に）好き勝手（バットを）振らせるわけにはいかない」と苦言を呈した。

　ただ、日本のトップクラスが集まっている日本代表だけに、このまま終わるわけにはいかないと思っている投手がほとんどだろう。権藤投手コーチは「課題というより、自分で自分の力をどうやって引き出すのか。そういう能力をも持っている人しか（日本代表には）集まっていない」と、個人個人の“修正能力”に期待した。

　石田や田口、そして他の打ち込まれた投手たちも、大瀬良や山崎のように“リベンジ”を果たせるのか。そして、日本代表に生き残れるのか。山崎は「こういう試合を経験して、僕自身も日本代表の力になりたいと強く思った」と意欲を見せた。強化試合が終わってからも、個々のレベルアップが必要となる。

記事提供＝Full-Count
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