山崎武司氏が分析、強化試合で確認すべきこと「“小久保色”をどう出すか」

2016.10.24

野球日本代表「侍ジャパン」は11月に強化試合を行う。今季、飛躍を遂げた選手も多くメンバー入りしたが、小久保裕紀監督率いる侍ジャパンが、強化試合で確認するべきポイントはどこなのか。山崎武司氏に聞いた。

写真提供=Full-Count

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強化試合に挑む侍ジャパン、山崎氏が見る注目ポイントは?

 野球日本代表「侍ジャパン」は11月に強化試合を行う。同10、11日にはメキシコ代表と、12、13日にはオランダ代表と東京ドームで対戦。世界一を目指す日本にとっては、現時点でのチームの力、そして選手個人の力を確認する絶好の機会となる。

 10月18日には日本代表のメンバー28人が発表され、千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)、田口麗斗投手(読売)、鈴木誠也外野手(広島)ら8選手が初選出。野手では、中田翔内野手(北海道日本ハム)、筒香嘉智外野手(横浜DeNA)、山田哲人内野手(東京ヤクルト)、投手では菅野智之投手(読売)、武田翔太投手(阪神)ら、小久保ジャパンの主力も順当に選出された。今季、二刀流で大活躍した大谷翔平(北海道日本ハム)は、DHや代打で起用される予定だ。

 今季、飛躍を遂げた選手も多くメンバー入りしたが、小久保裕紀監督率いる侍ジャパンが、強化試合で確認するべきポイントはどこなのか。現役時代に通算403本塁打を放ち、中日時代の1996年に本塁打王(39本)、楽天では39歳シーズンの2007年に本塁打(43本)、打点(108打点)の2冠王に輝いた山崎武司氏に聞いた。

――強化試合は4試合が行われます。メンバーも決まりました。山崎さんは攻撃陣についてどのように感じますか?

「軸はだいたい筒香や、山田哲人あたりになってくるんでしょうけど、外野に足の速い選手が欲しいかなと。鈴木誠也が初めて入ったけど、まだ1年の活躍ですから、自分は完全には信じてない。絶対に良くなる選手ですが、まだ筒香や哲人くらいの安定感は出ていないと感じます。ただ、すごくいい選手ではあります」

山崎氏が見る鈴木選手の良さ、調子上げる内川選手は「ランナー三塁ならほぼ還してくれそう」

――鈴木選手の良い部分はどこだと見ていますか?

「自分は『鈴木は良くなる』とずっと言っていたんですけど、それは振れる力を前から持っていたから。こんなにブレークするとは思わなかったですけどね。ただ、レギュラーを取って(ホームランを)20、30本打つ選手にはなると思って見ていました。三拍子揃っているし、トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)もできそうな雰囲気の選手だから。ただ漠然とバットが振れるというのは大きな魅力ですね。まず体以上に振れるというか、『この体でこんなに振れるんだ』というものは持っておかないと駄目だと思います」

――去年11月の『世界野球WBSCプレミア12』は打線が機能しました。ただ、柳田選手は怪我で辞退していた。鈴木選手もいませんでした。

「国際大会になると中田翔も打つし、筒香も覚醒してきた。ただ、そうはいうものの、打線としては世界に行けば重量打線じゃないわけだから。その中で、山田哲人も走れる選手だし、決して空中戦で戦うメンバー(構成)ではない。柳田も誠也も足(スピード)があるし、どちらかというと外野は盤石ですよね」

――内川聖一選手(福岡ソフトバンク)も入るなど、内野も経験のある選手が多い。セカンドでポジションが重なる山田選手、菊池涼介選手(広島)の起用法にも注目が集まります。

「その2人については、山田哲人がサードに回って菊池がセカンドでもいいのではないかと思います。坂本勇人(読売)も今年の調子なら確実に(メンバーに)入るでしょう。あとは、内川も勝負どころでも十分に使える。最近また、内川のバッティングの内容が良くなっている。ランナー三塁ならほぼ還してくれそうだなと。中田がファーストで、内川がDHでもいいかもしれない」

充実した戦力揃える侍ジャパン、あとは「“小久保色”をどうやって出すか」

――日本は投手力が武器だと言われますが、野手も充実したメンバーが揃っているように感じます。

「野手は結構いいメンバーがいる。あとは、小久保監督がどういう野球を目指すかで(起用法が)変わってくるかと思います。でも、それだけいろいろとバリエーションを考えられる選手がいるから何とでもなる。『この選手しかいない』ということではない。ディフェンス重視で行くのか、足を使いたいのか、というところで選手は変わると思うので。ただ、レギュラー陣はそつなく守れる選手が多い。課題はキャッチャーかなと感じています」

――最後に、この4試合で、世界一を目指すチームとして確認すべきこと、試すべきことは何になるでしょうか?

「今年のシーズンで良かった選手の中から、どういう風にチーム作りをしていくか。“小久保色”をどうやって出すか。守備固めをどうするのかとか、足のスペシャリストは誰にするかとか、そういうことを確認する必要があるでしょう。あとは、特にピッチャーはどこのポジションを任せるのか、中継ぎとしてやってもらうのか、後ろ(抑え)としてやってもらうのか、というのもあると思います。選手によっては、そんな役割ではモチベーションが上がらないということもあるかもしれない。そういうところをこの4試合で見たらいいんじゃないかなと。

 勝つのも大事だけど、チームとして選手がうまく当てはまるかどうかを確かめる必要がある。個々のポテンシャルを持った選手が代表に来るわけですから。だけど、いつもと違うポジションでやった時にしっくりこないとか、気持ちが乗らないとかいう選手もいっぱい出てくるから、そのあたりを見て考えていけばいいのではないかなと思います」

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