「上り詰めていきたい想いは誰でも…」 千葉ロッテ4年目遊撃手が抱く代表への想い

2021.2.22

2017年10月、台湾で開催された「第28回 BFAアジア選手権」。決勝でチャイニーズ・タイペイを6-1で下した日本は、2大会ぶり19度目の優勝を飾った。この大会で最優秀守備選手とベストナイン遊撃手に選ばれるなど、守備で大活躍したのがトヨタ自動車の藤岡裕大内野手(現・千葉ロッテ)だった。

写真提供=Full-Count

写真提供=Full-Count

「第28回 BFAアジア選手権」で活躍した藤岡裕大選手「素直にうれしかったですね」

 2017年10月、台湾で開催された「第28回 BFAアジア選手権」。決勝でチャイニーズ・タイペイを6-1で下した日本は、2大会ぶり19度目の優勝を飾った。この大会で最優秀守備選手とベストナイン遊撃手に選ばれるなど、守備で大活躍したのがトヨタ自動車の藤岡裕大内野手(現・千葉ロッテ)だった。

「多分、決勝でのプレーが大きかったんだと思います」と振り返る通り、優勝がかかった大事な一戦で美技を連発した。「なぜかショートに打球が来ることが多かったんですよね」と笑うが、3回1死満塁のピンチには決死のダイビングキャッチを披露。センターへ抜けそうな打球に食らいつくと、二塁を守っていた田中俊太内野手(現・横浜DeNA)にトスして併殺プレーを完成させ、マウンド上の田嶋大樹投手(現・オリックス)を救った。

「素直にうれしかったですね。社会人代表でショートを守らせていただいたことがうれしかったですし、その中で活躍できたのは自信になりました」

 前年までトヨタ自動車の正遊撃手は源田壮亮内野手(現・埼玉西武)が務めたため、藤岡選手は主に外野でプレー。この年から埼玉西武に入団した源田選手の後を継ぎ、遊撃手として頭角を現した。

3度の代表経験で最も印象に残った社会人代表「自分が活躍すればチームの勝ちに繋がる」

 大学時代も2度、日本代表に選ばれたことはあったが、社会人代表としてアジア王者となった経験が、藤岡選手の脳裏には最も印象深く残っているという。大学とは違い、社会人には高校を卒業したばかりの若手から30代後半のベテランまで幅広い年齢層の選手が在籍。「若い年齢で代表に選んでもらった。何とか試合に出るために結果を残そう。その想いだけでしたね」と振り返る。

 努力が実り、アジア選手権では予選から決勝まで全5戦に3番打者としてスタメン出場。初戦こそ指名打者だったが、残りの4戦では遊撃を任された。「自分が活躍すればチームの勝ちに繋がる」。その強い気持ちが決勝でのダイビングキャッチを生み、日本をアジアの頂点へと導いた。

「いいメンバーに恵まれたのもあります」

 この時のメンバーには、前述の田中選手、田嶋投手に加え、鈴木博志投手(現・中日)、大城卓三捕手(現・読売)、菅野剛士外野手(現・千葉ロッテ)、神里和毅外野手(現・横浜DeNA)ら、後にプロ入りした選手が多数集まった。また、社会人野球のレジェンドとも呼ばれるベテラン・佐竹功年投手(トヨタ自動車)も名を連ね、「レベルの高い選手たちと国際大会を経験できたことは、今でも生きていると思います」と頷く。

後のプロ野球選手がズラリと並んだ大学代表「自分がこんなところにいて…」

 メンバーに恵まれたと言えば、初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通した2013年「第39回 日米大学野球選手権大会」も錚々たるメンバーだった。投手陣には大瀬良大地投手(現・広島東洋)、山崎康晃投手、石田健大投手(ともに現・横浜DeNA)ら、捕手陣には梅野隆太郎捕手、坂本誠志郎捕手(ともに現・阪神)、嶺井博希捕手(現・横浜DeNA)ら、野手陣には三木亮内野手、中村奨吾内野手、岡大海外野手(ともに現・千葉ロッテ)、西浦直亨内野手(現・東京ヤクルト)、吉田正尚外野手(現・オリックス)らがズラリ。24選手のうち18選手がプロの門を叩いている。

 当時、亜細亜大学2年生だった藤岡選手は「代表になりたいと思ったことはありましたが、2年生で選ばれるなんて1ミリも思っていませんでした。自分がこんなところにいていいのか、全然レベルが違うな、と思いながらやっていました」と明かす。

米国代表にも未来のメジャーリーガーが多数「単純にパワーの差を痛感した」

 米国代表にも、カルロス・ロドン投手(シカゴ・ホワイトソックス)、カイル・シュワーバー捕手、トレイ・ターナー内野手(ともにワシントン・ナショナルズ)、アレックス・ブレグマン内野手(ヒューストン・アストロズ)、マイケル・コンフォート外野手(ニューヨーク・メッツ)ら、今をときめくメジャーリーガーたちが顔を揃えていた。藤岡選手は「とにかくレベルが高かったですね」と記憶を甦らせる。

「何よりもピッチャーが投げる球がメチャクチャ速かった。普通に時速160キロ近く出るピッチャーがいましたし、単純にパワーの差を痛感しました。こういう球を打たないといけないのか、と思うと、自分はまだまだダメだと思い知らされた大会でもありました」

 同年代のはずなのに、米国代表選手たちが何倍も大きく見えた。「もっともっと体を大きくしないといけない。速い球を打てる準備すらできていない」。チームに戻ると体を大きくするために「いろいろなことを試すようになりました」。この時に受けた衝撃が、後の成長へと繋がっていった。

胸に抱くトップチームへの想い「上り詰めていきたい、という想いは誰でも持っている」

 今年でプロ入り4年目。千葉ロッテでは遊撃手としておなじみの顔となった藤岡選手は、その胸の中に今度はトップチームの一員として侍ジャパンのユニホームを身にまといたいという想いを抱く。

「叶うかどうかは別として、そういう想いはあります。やっぱり、上り詰めていきたい、という想いは誰でも持っていると思います。ただ、相当活躍しないと、そこには届かない。今、侍ジャパンに入って活躍されている選手を見ると、同じプロでも違いを感じることがあります。自分が選ばれるような選手になれれば、野球がもっともっと楽しくなるだろうと思いますね」

 また縦縞のユニホームに袖を通す日が来るまで、チームのために懸命にプレーしながら、野球選手として技に磨きをかけていく。

記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count

NEWS新着記事