2年生で大学代表入り 今秋ドラフト注目の国立大左腕が侍ジャパンで得た自信

2021.2.8

2019年に開催された「第43回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)には、昨季セ・リーグ新人王に輝いた森下暢仁投手(広島東洋)、今季ドラフト1位入団の早川隆久投手(東北楽天)と伊藤大海投手(北海道日本ハム)ら、当時の大学野球界を代表する投手たちが名を連ねていた。代表入りした投手8人の中で、最年少の2年生にして唯一の国立大学生だったのが、佐藤隼輔投手(筑波大)だ。あれから1年半が過ぎ、新4年生になる左腕は今、ドラフト上位候補として注目を集めている。

写真提供=Full-Count

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公立中高から国立大へ、プロ入りを目指す筑波大学・佐藤隼輔投手

 2019年に開催された「第43回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)には、昨季セ・リーグ新人王に輝いた森下暢仁投手(広島東洋)、今季ドラフト1位入団の早川隆久投手(東北楽天)と伊藤大海投手(北海道日本ハム)ら、当時の大学野球界を代表する投手たちが名を連ねていた。代表入りした投手8人の中で、最年少の2年生にして唯一の国立大学生だったのが、佐藤隼輔投手(筑波大)だ。あれから1年半が過ぎ、新4年生になる左腕は今、ドラフト上位候補として注目を集めている。

「高校の時までは、ずっと無縁の場所だと思っていました」

 大学2年で果たした自身初の日本代表入り。「選考合宿に呼ばれるまで、全く意識もしていませんでした」と、嬉しい驚きだった。周りを見回せば上級生ばかり。しかも、すでに大学野球界ではスターだった森下投手や早川投手らがいる。「すごいメンバーの中に入らせてもらったなと思います」と当時を振り返る。

 宮城・仙台高校から「ドラフト1位でプロ野球選手になる」という目標を掲げ、筑波大学の門を叩いた。入学当初から体の使い方や投球のメカニズムに着目しながら練習に注力。時速140キロ台だったストレートの球速は、2年生で最速151キロをマークするなど著しい成長が目に留まり、侍ジャパン大学代表入りを果たした。

初めて上がった日米大学野球のマウンド、足元抜ける打球の強さに驚嘆

 日米大学野球では中継ぎとして全5試合に登板し、通算6イニングを5安打4奪三振1四球で無失点。「アメリカ打線を相手に自分自身のボールを投げ切れたのは、1つの自信になりました」と大きな手応えを掴んだ。だが、無失点に抑えた中でも、米代表選手のパワーに息を呑む場面があった。

 愛媛・坊ちゃんスタジアムで行われた第1戦のことだ。5回を無失点に抑えた先発・森下投手に次ぐ2番手としてマウンドに向かうと、先頭打者にセンター前ヒットを許した。

「ちょうど自分の足元を抜けていった打球が、日本の打者とは全然違ったんです。少し甘く入った球ではありましたが、打球速度やパワーの違いを感じました。『こんな打球が返ってくるんだ』と、正直驚きがありました」

 事前情報としてパワーの違いがあることは知っていたが、実際に目の当たりにすると際立って見えた。初めての国際大会。ここで雰囲気に飲まれてしまってもおかしくはないが、それでも浮き足立たなかったところに佐藤投手の強みがある。一塁に走者を置きながら、次打者を空振り三振に斬ると打者3人を連続で退け、二塁を踏ませなかった。

「打たれた後に抑えられたのが良かった。そのまま打たれていたら、多分ジャパンを通して酷い結果に終わっていたと思います。でも、あの1イニングを抑えられたことで、少し気持ちが楽になりました。国際大会が持つ特有の雰囲気は味わうのと味わわないのとでは大きく違うと思うので、本当に貴重な経験になりました」

短期間でも1つにまとまった大学代表「意識の違いやレベルの高さがあるからこそ」

 外国人打者との対戦から数多くの学びを得ると同時に、チームメートとして戦った先輩たちから大きな刺激を受けた。練習や試合に向かう準備、普段の時間の過ごし方など、世代を代表するトップ選手たちは違って見えた。

「大学の部活動でやっていても、チームが1つにまとまるのは難しいこと。それでも代表では、あの短期間でしっかり1つのチームにまとまっていました。やっぱり一人一人の意識の違いであったり、レベルの高さがあるからこそ、できたことじゃないかと感じています」

 2020年、恒例だった日米大学野球はコロナ禍により開催されなかった。「第1回BFAアジア大学野球選手権大会」(2021年8月開催予定)に向け、12月に予定されていた大学代表候補強化合宿も中止に。今後の見通しも不透明のままだが、再び大学代表に選ばれることがあれば、最上級生としてチームを牽引する心積もりだ。

「前回、僕は2年生だったので、先輩方に引っ張ってもらって、ようやくついていけた形でした。投手だけではなく、野手の方々も声を掛けてくださったり、下級生が萎縮しないような環境を作って下さったり。短期間でしたが、チームとして全体的に仲良くやっていけました。だから、今度選ばれることがあれば、自分が一度経験している身として、チームを引っ張っていくような立場になるという思いはあります」

 4月から始まる大学最終年。プロ入りを目指す佐藤投手にとって勝負の年となるが、大学代表で掴んだ自信と高い意識を持って、一足先にプロの世界で活躍する先輩たちの背中を追いかける。

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