「日本の野球はしっかりしている」 元U-23代表が頂点を極めた舞台で感じた強み

2020.11.9

世界の頂点に若きサムライたちが立った。2016年にメキシコのモンテレイで開催された「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。初めて開催となったこの大会でチームを世界一に導き、自身は大会MVPに輝いたのが、福岡ソフトバンクの真砂勇介外野手だった。

写真提供=Full-Count

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第1回U-23W杯のMVP、福岡ソフトバンク・真砂が振り返る強さとは

 世界の頂点に若きサムライたちが立った。2016年にメキシコのモンテレイで開催された「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。初めて開催となったこの大会でチームを世界一に導き、自身は大会MVPに輝いたのが、福岡ソフトバンクの真砂勇介外野手だった。

 2012年のドラフト4位で西城陽高から福岡ソフトバンクに入団し、この年がプロ4年目。ウエスタン・リーグで5位の打率.295、7本塁打44打点18盗塁と活躍し、侍ジャパンU-23代表の一員に選ばれた。「呼ばれた時は『なんで僕が?』とは思いましたね」と驚きこそあったが、「せっかく呼ばれたので何かのキッカケになれば、と思っていきました」と意気込んで初の国際大会に挑んだ。

 国の代表として戦うのは、もちろん初めての経験。それが、日の丸を背負って戦う「U-23ワールドカップ」なのだから、相当なプレッシャーもあったはずだ。ところが、真砂選手は「あまりプレッシャーを感じることはなかったですね。やるからには優勝したいな、と思っていました」と、あっけらかんと振り返る。

 環境の変化、食事の変化、慣れない異国での生活に苦労する選手もいるが、そういった難しさは感じなかったという。「食事も全然問題なく、気にならなかったですね。チームメートの中には食事が合わないという選手もいましたけど、僕は何も思わなかったです」。そんな図太さも活躍に繋がったのかもしれない。

大会通算打率.387、4本塁打… 動くボールにも惑わされず「そこまで苦じゃなかった」

 オープニングラウンド初戦のニカラグア戦から4番として起用され、いきなり2安打と快音を響かせた。第3戦のアルゼンチン戦で1号2ランを放つと、スーパーラウンド初戦の韓国戦では、1点ビハインドの7回に起死回生の同点弾。決勝のオーストラリア戦でも、6回に大会4号となるソロを放った。大会通算打率.387、4本塁打14打点の好成績を残してMVPに輝いた。

「シーズン自体も自分のバッティングは良かったんです。どれくらいできるかな、と思って打席には入っていました。いいピッチャーもいましたけど、国際舞台特有のツーシームもそこまで苦じゃなかったですね」と“動くボール”にも対応。大会を通じて「あまり苦労は感じませんでした」という。

 9試合を戦う中で日本の“強み”も感じた。それは日本特有の精密な野球だ。「日本の野球はやっぱり、きっちりしているな、と思いました。守備もそう、走塁もそう、しっかりしているな、と思いましたね」。守備や走塁面にもソツがない。侍ジャパンが国際大会で勝ち抜く武器だと実感した。

 この大会の出場チームの中でも、単純なパワーだけなら、日本を凌駕する国もあった。オーストラリアや開催国のメキシコなどだ。「身体つきが全然違いましたね。お前らホンマに23歳以下かっていう選手もいましたから。身体はデカいし、パワー負けするだろうな、とは思いました」。ただ、その分、粗さが目立つのも特徴だった。ミスなく白星を取りこぼさない。そこに日本が優勝できた要因があった。

大活躍で日本を優勝に牽引、MVP獲得で期待高まるも「プロ野球はそんなに甘くない」

 真砂選手自身はMVPに輝き、帰国後は大きな注目と期待を集めるようになった。「あれが第1回大会だったので、名前が残るかな、と思いました。ただ、帰ってきてからメチャメチャ期待されているのは感じました」と周囲の変化を感じながらも、「僕の中では(U-23ワールドカップは)日本のプロ野球とはレベルが全然違う。プロ野球はそんなに甘くない、と思っていました」と“覚悟”を持っていたとも語る。

 自身の予想通り、プロの世界は甘くなかった。期待を抱かれながらも、なかなか1軍での出場機会を得られなかったが、ようやく今季、キャリア最多となる48試合に出場(11月4日現在)。打席数こそ少ないが、打率.324をマークして、3年ぶりにリーグ優勝を果たしたチームの一員となった。だが、これで満足するわけにはいかない。さらなる飛躍を目指し、真砂選手は今日もバットを振る。

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