横浜DeNA・期待の新人が大学代表で得た自信 「チームを背負わせてもらった」
2018年7月。当時、明治大学3年生だった伊勢大夢投手(横浜DeNA)は、生まれて初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通し、マウンドに上がった。この年、台湾で開催された「第6回 FISU世界大学野球選手権大会」に出場する侍ジャパン大学代表に選出。「憧れでもあったので、うれしかったですね」と振り返る。
写真提供=横浜DeNAベイスターズ
ルーキー右腕・伊勢大夢を成長させた「第6回 FISU世界大学野球選手権大会」
2018年7月。当時、明治大学3年生だった伊勢大夢投手(横浜DeNA)は、生まれて初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通し、マウンドに上がった。この年、台湾で開催された「第6回 FISU世界大学野球選手権大会」に出場する侍ジャパン大学代表に選出。「憧れでもあったので、うれしかったですね」と振り返る。
この年は同時期にオランダで「第29回 ハーレムベースボールウィーク」が開催されたこともあり、侍ジャパン大学代表とは別に、東京六大学選抜チームが結成された。「その年は代表チームが2つできると知っていたので、春季リーグ戦で成績を残せば選ばれるかな、と思いながら投げていました」。その狙い通り、7試合に投げて1完投を含む3勝1敗、防御率2.64の好成績を記録。「ラッキーだったのもあります」と笑うが、単なる運で掴んだ初代表ではなかったことを、自ら本番で証明して見せた。
先発投手として臨んだ大会では、初戦のロシア戦で3回をパーフェクトに抑えると、4戦目の韓国戦では6回を3安打無失点の快投で白星。決勝の大舞台でも先発を任され、地元チャイニーズ・タイペイを相手に7回を6安打1失点と好投し、見事チームを優勝へ導いた。
プロで生きた決勝の経験「完全アウェーを経験できたことは良かった」
決勝では、それまで味わったことのない「アウェー感」を経験した。
「地元開催ということもあり、球場全体がチャイニーズ・タイペイを応援していた雰囲気でした。日本の応援はほとんどなかったし、バックネット裏までチアダンサーがいたり、鳴り物の応援がなりっぱなしだったり。完全アウェーの中で投げる感覚を味わいました。
今、プロとしてビジターの試合でも投げますが、この時の経験があったから初めての感覚ではなかった。大学生の時に、完全アウェーを経験できたことは良かったと思います」
九州学院高校時代に出場した甲子園では「精神的に押し潰されることがあった」というが、大学で同世代のトップと凌ぎを削りながら経験を重ね、成長。決勝の舞台では「アマチュアでこれだけアウェー感を感じるなら、プロはもっとすごいんだろうな。日本代表トップチームだったらもっと追い込まれるんだろうな」と、冷静に想像力を膨らませられるだけの自信がついていた。
大学代表で初めて得た「チームを背負わせてもらっている」感覚
大会を迎えるにあたり、さらに自信を深めたことがある。大学代表を率いた大久保秀昭監督(現ENEOS監督)に「エースとして投げてもらう」と、大役を任されたのだ。
「大久保監督から開幕前に、そう言われました。明治(大学)にいたら、ずっと同級生の森下(暢仁)がエースだったので、エースで投げるのは初めての感覚。チームを背負わせてもらっている、と僕は感じたし、そう思って投げていました。しかも、トーナメントだったので負けたら終わり。そういう状況の中で、メインで投げるのはやっぱりいいな、と感じましたね」
自らを「目立ちたがりなんで(笑)」という伊勢投手。ルーキーとして臨む今季は、6月20日の広島東洋戦で中継ぎとしてデビューを飾ると、10月10日の阪神戦で初勝利。力強い速球を武器とするピッチングスタイルで、11月2日現在、30試合に投げて3勝4ホールド、防御率1.36の好成績で、期待の新人として注目を浴びている。
「まずはチームで活躍しなければ、侍ジャパンに選ばれる可能性は微塵もない」
もちろん、いつの日か侍ジャパンのトップチームに選ばれたい思いはあるが、まずは横浜DeNAで信頼を勝ち取り、なくてはならない存在となることが目標だ。
「去年、甲斐野(央・福岡ソフトバンク)さんが1年目で侍ジャパンに選ばれていたんですけど、僕はまだまだ程遠いレベルだと感じています。プロに入って見えてきた課題を潰していく中で、新たな自信がついてくる。今はまだ『なってみたいな』という感じですが、コツコツ階段をのぼっていけば掴めるものだと思っています。まずはチームで活躍しなければ、侍ジャパンに選ばれる可能性は微塵もない。しっかりアピールしてポジションを勝ち取りたいと思います」
横浜DeNA、そして日本を代表する救援投手へ――。22歳右腕の挑戦は始まったばかりだ。
記事提供=Full-Count
写真提供=横浜DeNAベイスターズ