トップチームは10年ぶりの世界一に 2019年侍ジャパン全カテゴリーを振り返る

2019.12.23

野球日本代表「侍ジャパン」は2019年11月2日から17日に開催された「第2回 WBSC プレミア12」で見事、大会初優勝を飾った。トップチームとしては2009年の「第2回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」以来10年ぶりに世界一となり、2019年の活動を締めくくった。

写真提供=Getty Images

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WBSC世界ランキングは男女揃って1位のまま、2019年に幕

 野球日本代表「侍ジャパン」は2019年11月2日から17日に開催された「第2回 WBSC プレミア12」で見事、大会初優勝を飾った。トップチームとしては2009年の「第2回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」以来10年ぶりに世界一となり、2019年の活動を締めくくった。

 今季はU-23を除く全カテゴリーで国際大会が開催され、日本は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキング(男子)で米国を抜いて堂々の1位。侍ジャパン女子代表も「第2回 BFA 女子野球アジアカップ」で金メダルを獲得し、WBSC世界ランキングで2位のカナダに700ポイントの差をつけて1位に輝いた。侍ジャパンが多岐にわたる活躍を見せた2019年を、カテゴリーごとに振り返りたい。

追う展開でも諦めず、勝機を呼び込む戦い方で「プレミア12」初優勝

 トップチームは11月に「第2回 WBSC プレミア12」に参戦。オープニングラウンドを3勝無敗とすると、スーパーラウンド2戦目の米国戦に3-4で敗れたものの、スーパーラウンド通算4勝1敗で1位通過。決勝では、前日に続き、2戦連続で韓国と対戦した。初回にいきなり3点を失ったが、すぐに1点を返すと2回に本領発揮。2死から會澤翼捕手(広島東洋)が四球、菊池涼介内野手(広島東洋)が相手守備を凌ぐ全力疾走で内野安打を掴み、走者一、二塁と得点機を作った。すると、打席に立った山田哲人内野手(東京ヤクルト)が値千金の逆転3ラン。7回にも浅村栄斗内野手(東北楽天)のタイムリーで1点を追加し、勝利を確実なものとした。

 稲葉篤紀監督が2回から中継ぎを起用する思い切った継投策をとると、これに投手陣が奮起した。高橋礼投手(福岡ソフトバンク)、田口麗斗投手、中川皓太投手(ともに読売)、甲斐野央投手(福岡ソフトバンク)、山本由伸投手(オリックス)と8回まで無失点で繋ぐと、最後は守護神を務めた山崎康晃投手(横浜DeNA)が3者凡退に締めて勝利。約1か月に及ぶ長い準備期間を経て掴んだ栄冠を喜ぶ輪の中には、大会直前に右足薬指骨折でチームを離れた秋山翔吾外野手(埼玉西武)の姿も。また、チームを率いた稲葉監督の目には喜びの涙が浮かんだことも印象的だった。

 大会を通じて、日本はリードを許しても最後まで諦めず、逆転の機運を呼び込む戦い方を見せた。追う展開でも確実に1点を積み重ね、リリーフ陣はさらなる追加点を与えずに、チャンスを待った。稲葉監督はチームとして結束し、勝利のために全力パフォーマンスを見せ続けた選手たちを「今回はどの試合も楽な展開はなかった中で選手が粘り強くやってくれたことが、この素晴らしい結果に繋がったと思います」と絶賛。2020年に向けて、最高の形で締めくくった。

社会人代表はアジア2位、大学代表は3大会ぶり優勝、U-18代表は苦戦で5位

 他のカテゴリーを見てみると、まず侍ジャパン社会人代表が8月28日から9月1日にフランスで行われた「2019 FIBT-YOSHIDA CHALLENGE」に出場。フランス代表と5試合を行い、4勝1敗で勝ち越した。また10月14日から20日の「第29回 BFA アジア選手権」(台湾)では、オープニングラウンド3戦を全て完封勝ち。スーパーラウンドも快進撃で、負けなしの5連勝で決勝へ進んだ。だが、決勝で地元のチャイニーズ・タイペイに4-5で逆転負けし、2大会連続の優勝は叶わず。準優勝となったが、小島康明投手(きらやか銀行)が最優秀防御率と最優秀投手、ベストナイン(投手)に、佐藤竜彦外野手(Honda)が打点王とベストナイン(指名打者)に、下川知弥内野手(NTT東日本)が最多得点のタイトルを手に入れた。

 侍ジャパン大学代表は7月16日から21日に「第43回 日米大学野球選手権大会」に臨み、3勝2敗で3大会ぶり19度目の優勝を飾った。松山、今治、岩国、郡山、東京と日本各地を転戦。日本は初戦に勝利しながら2連敗を喫し、米国に優勝への王手を掛けられたが、瀬戸際の2連勝で逆転優勝を掴んだ。

 侍ジャパンU-18代表は、8月30日から9月8日まで韓国で開催された「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」を戦った。これに先駆けた「侍ジャパン壮行試合 高校日本代表 VS 大学日本代表」では5−5の引き分けと善戦。だが、韓国ではオープニングラウンド、スーパーラウンドと8試合を戦う中で3敗を喫し、決勝戦や3位決定戦には進出できず。参加12チーム中5位に終わり、2012年の第25回大会以来4大会ぶりにメダルを逃した。それでも、佐々木朗希投手(大船渡)、奥川恭伸投手(星稜)、西純矢投手(創志学園)らプロ注目選手が並んだ投手陣は、参加12チームトップのチーム防御率1.58を記録し、奥川投手はベストナイン(先発投手)に選出された。野手では、3番で打率.345と好調だった韮澤雄也内野手(花咲徳栄)がベストナイン(一塁手)を獲得した。

U-15代表は2大会で優勝、U-12代表は準V、女子代表はアジア2連覇

 侍ジャパンU-15代表は2019年、2つの国際大会に出場した。まずは8月19日から25日に中国で「第10回BFA U15アジア選手権」に出場。オープニングラウンド初戦から5試合全てを完封勝利とし、2大会連続3度目の優勝をパーフェクトな形で飾った。さらに、11月21日から24日に松山で開催された「U-15 アジアチャレンジマッチ 2019」では、チャイニーズ・タイペイ、フィリピン、松山市代表と対戦。3戦全てで2桁得点を記録する猛攻で全勝優勝。投打の活躍で魅せる1年となった。

 侍ジャパンU-12代表は、7月26日から8月4日に台湾で「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」に臨んだ。オープニングラウンド第1戦のチェコ戦から破竹の7連勝とした日本は、スーパーラウンド最終戦でメキシコに3-8と黒星も、史上初の決勝進出。地元チャイニーズ・タイペイと対戦した決勝戦は3回に先制されると、4回と6回に追加点を奪われ、0-4で敗れて準優勝。初優勝は逃したものの、2013年の第2回大会での3位を上回る過去最高成績で大会を終えた。

 11月9日から15日、侍ジャパン女子代表は中国で行われた「第2回 BFA 女子野球アジアカップ」に出場。今大会が初陣となった長野恵利子監督の下、チームはオープニングラウンド初戦から5戦連続2桁得点で決勝まで勝ち進んだ。チャイニーズ・タイペイと戦った決勝では、3回に2点を先制。4回に押し出しで1点を与えたが最少失点で食い止め、2-1で大会2連覇を飾り、同時期に「プレミア12」を戦っていたトップチームに勢いを繋いだ。

 トップチームの「プレミア12」初優勝という最高の形で締めくくった2019年。トップチームが世界の頂点を極められたのも、アンダー世代から日本野球界に脈々と繋がる選手育成の流れがあるからこそだ。目指した結果に達しなかったカテゴリーもあるが、大会に至るまでの努力、選手が見せた情熱は、日本野球界の未来に繋がる。WBSC世界ランキングでは男女揃って1位で幕を開ける2020年。各カテゴリーで開催される国際大会で侍ジャパンの強さを示し、1つでも多くの金メダルを手に入れたい。

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