侍ジャパンが「プレミア12」に出場へ 稲葉監督の言葉から読み解く世界一への“鍵”

2019.10.28

野球日本代表「侍ジャパン」は、2019年10月31日~11月1日に沖縄セルラースタジアムで行われる「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsカナダ」を経て、同メンバーで11月2日(日本時間3日)から開幕する「第2回 WBSCプレミア12」に挑む。10月1日には稲葉篤紀監督が都内で会見を行い、メンバー28人を発表。この会見での指揮官の言葉から、世界一への“鍵”を読み解く。

写真提供=Getty Images

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「プレミア12」は11月2日開幕「ベテランにスペシャリストを加えた」

 野球日本代表「侍ジャパン」は、2019年10月31日~11月1日に沖縄セルラースタジアムで行われる「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsカナダ」を経て、同メンバーで11月2日(日本時間3日)から開幕する「第2回 WBSCプレミア12」に挑む。10月1日には稲葉篤紀監督が都内で会見を行い、メンバー28人を発表。この会見での指揮官の言葉から、世界一への“鍵”を読み解く。

 山中正竹強化本部長は「第2回 WBSCプレミア12」に向けて、会見で「稲葉監督には勝つことを最優先に選考をお願いした」と明かした。3月9、10日に開催された「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsメキシコ」(京セラドーム)では28人中27人が平成生まれの若手組で臨んでいたが、今回はガラリと変わり、トップチーム初選出は2人のみ。ベテラン、中堅、若手が揃うチームとなった。故障者などを除き「現時点でのベストメンバー」と山中本部長は胸を張る。

 稲葉監督はこれまで代表を率いてきた経験から「勝つためにはやはりスピード、パワーが大事。活きのいい若い選手だけを並べてみたりしても駄目。ベテランにスペシャリストを加えた」と今回の選考理由を説明。野手では、松田宣浩内野手(福岡ソフトバンク)、坂本勇人内野手(読売)、浅村栄斗内野手(東北楽天)、菊池涼介内野手(広島東洋)といった中堅からベテランの選手に加えて、スペシャリストとして福岡ソフトバンクの周東佑京外野手らを選出した。

 周東外野手は今季、育成契約から支配下契約を勝ち取ったばかりの23歳で、3年連続日本一に輝いた福岡ソフトバンクでも代走の切り札として活躍した。「終盤の1点が大事になる。(周東外野手は)スピードという点で、警戒されている中でもスチールできる。セカンドランナーにいればヒット1本で帰ってこられる。侍ジャパンにも必要だと考えた」。稲葉監督は2018年の「第2回WBSC U-23ワールドカップ」でも周東外野手を選出しており、「大事な時に3つほど補殺を決めた。外野手としても優れている」と守備力も含めて実力を高く評価している選手。キーマンの1人となりそうだ。

「とにかくこの試合は、勝つ。とにかく優勝する。そういうところをしっかり目指して」

 また、キャプテンは置かないが、松田内野手を「彼は経験も豊富、ベテランとは彼のことを指している。ムードメーカーですし、その点でもスペシャリスト。プレー以外にも期待している」とチームの“盛り上げ役”に指名。「熱い気持ちを持った選手と戦いたいと思っている」と指揮官は話す。

 豊富な役者たちに構想も膨らむ。「(打順は)様々なパターンを考えています。今申し上げるのは難しい。1番、4番を打っている選手も何人かいますから、今はいろいろと模索しています」と稲葉監督。一方で、一塁手が本職の選手が不在という懸念もあるが「浅村選手です。彼にも聞きまして、ファーストでやってほしいという話をしましたが、快く『ファーストでもどこでもやります』と言ってもらいました」と明かす。浅村内野手は現在の本職は二塁手ながら、2018年まで在籍した埼玉西武では一塁も守っており、2013年には一塁手としてゴールデングラブ賞に輝いた名手。さらに、第2候補としては「今(考えているの)は山田選手です」と山田哲人内野手(東京ヤクルト)の名前を挙げている。これがどう影響するかも大会の見どころとなりそうだ。

 投手陣も岸孝之投手(東北楽天)、大野雄大投手(中日)、山口俊投手(読売)、今永昇太投手(横浜DeNA)、山岡泰輔投手(オリックス)ら豪華な先発陣が並ぶ。稲葉監督が「先頭に立ってやってもらいたい」と期待していた福岡ソフトバンクの千賀滉大投手は残念ながら辞退となったが、各球団のエースが揃うだけに、しっかりと穴を埋められそうだ。特に、今季復活を遂げてセ・リーグ最優秀防御率(2.58)を記録した大野投手については「左投手は国際大会で非常に重要とずっと言っていますが、ボールの力も戻ってきましたし、国際大会の経験もあるので、大いに期待したい」と話している。

 さらに、今季パ・リーグの最優秀防御率1.95をマークした21歳の山本由伸投手(オリックス)についても「先発も中(継ぎ)も抑えも、というところも考えております。ある程度先発を決めた中で山本選手がどういうところでチームで生きるかというところはしっかりとまた練習試合もありますので、そういうことも含めて考えております」と、先発にこだわらずリリーフとしての起用も検討。層の厚さが選手起用にも幅を持たせている。

 稲葉監督は「とにかくこの試合は、勝つ。とにかく優勝する。そういうところをしっかり目指していきます」と力を込める。オープニングラウンドでグループBに入った日本は、11月5日に台湾・桃園でベネズエラとの初戦に挑む。ベストメンバーで日の丸を背負う、負けられない戦いが間もなく始まる。

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