侍ジャパンU-12代表、韓国に劇的勝利で初の決勝進出「最後惜しかったねで終わりたくはない」

2019.8.4

台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」は、スーパーラウンド第2戦が行われ、初の世界一を目指す侍ジャパンU-12代表は韓国に8-7で逆転勝利。ダブルヘッダーで行われた第3戦はメキシコに3-8で敗れて今大会初黒星を喫したものの、初の決勝進出を決めた。2日に開始した韓国戦は雨天サスペンデッドを経て、3日に延長7回タイブレークで決着。仁志敏久監督も「タイブレークになるとは思ってもいなかった」と激闘を振り返った。

写真提供=Getty Images

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3回途中にサスペンデッド、防戦一方に指揮官が“喝”「大事なところになると人任せ」

 台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」は、スーパーラウンド第2戦が行われ、初の世界一を目指す侍ジャパンU-12代表は韓国に8-7で逆転勝利。ダブルヘッダーで行われた第3戦はメキシコに3-8で敗れて今大会初黒星を喫したものの、初の決勝進出を決めた。2日に開始した韓国戦は雨天サスペンデッドを経て、3日に延長7回タイブレークで決着。仁志敏久監督も「タイブレークになるとは思ってもいなかった」と激闘を振り返った。

 2日に始まった韓国戦。初回に不運な形で先制を許した。先発の林京乃佑選手(東京城南ボーイズ)が1死満塁から暴投で失点。さらに、2死一、三塁から左前へのポテンヒットで2点目を奪われた。打線も初回は3者凡退。2回は2死二塁から桑元信祐選手(ガッツ鹿児島)の適時二塁打で1点を返したが、続く坂本慎太郎選手(松戸柏リトルリーグ)は二ゴロで同点のチャンスを逃した。

 3回には林選手から代わった坂本選手が、1死一、二塁から右前に強烈なタイムリーを浴びる。さらに3番手・川越昂太郎選手(東京城南ボーイズ)が2死一、三塁から2者連続四球で押し出し。リードを3点に広げられた。

 流れを掴めない侍ジャパンU-12代表。しかし、ここで突然の豪雨となる。3回先頭の高畑知季選手(兵庫波賀リトルリーグ)が二ゴロに倒れたところで中断。1時間以上待ったが止む気配はなく、雨天サスペンデッドとなった。

 中断決定後、仁志監督は初めて劣勢に立たされた選手たちと向き合った。「大事なところになるとどうしても人任せだったり、自分がやらなくても誰かがやってくれるんじゃないか」と思ってる選手が多いとし、「もうちょっと自分たちで考えながら、主導権を握れるように」と逆転に向けて“喝”を入れた。

桑元の2点タイムリーで同点「負けてたのでとにかく1点を重ねていこうと思っていた」

 一夜明けた3日。試合が再開する前に韓国は当初から予定されていたオープニングラウンド第3戦でキューバと対戦。終盤に3者連続押し出し四球で逆転を許す嫌な展開となり、8-10で敗れた。さらに2日に日本が苦戦した先発左腕が連投制限のルールによって降板。逆転勝利に追い風が吹いていた。

 試合は3回一死走者なしで再開。この回は無得点だった日本だが、続く4回に反撃を開始する。2死から川下晃汰選手(諫早ボーイズ)の内野安打、桑元選手の死球で一、二塁のチャンスを作ると、指揮官が「頼りになる選手」と評価する坂本選手の右中間を破る2点適時二塁打で1点差に迫った。

 1点を追加されて2点ビハインドとなった5回も2死からチャンスを作る。今井蓮選手(大阪八尾ボーイズ)の内野安打、生田目博之介選手(越谷リトル)の左前打、川下選手の四球で満塁とすると、絶好調の桑元選手が「負けてたのでとにかく1点を重ねていこうと思っていた」とレフト前に2点適時打。ついに試合を振り出しに戻した。

 打線の奮起に投手陣も応えた。再開後の4回からマウンドに上がった生田目選手が4回を3者凡退。5回は2死満塁から暴投で1点を追加されたが、後続をショートライナーに打ち取り同点の流れを呼び込んだ。仁志監督も「彼なりの力を発揮してくれて、ゲームを落ち着けてくれたんじゃないかと思います」と称賛する投球だった。

 6回は代わった高橋選手が無死二、三塁のピンチとなったが、後続を遊飛、二飛、中飛に打ち取り無失点。無死一、二塁からスタートするタイブレークの延長7回は青木朔真選手(筑後ボーイズ)が1死二、三塁から二ゴロのエラーに送球ミスが絡み2失点を喫したものの、後続は遊ゴロ、見逃し三振に抑えて打線に託した。

川下の一ゴロでサヨナラ、決勝進出に指揮官「最後惜しかったねで終わりたくはない」

 運命の7回裏。先頭は高橋選手。相手の暴投で無死二、三塁となると「しっかりミートできなかったんですけど、(それがかえって)ファーストがエラーしてくれた」と右前に2点タイムリーを放ち、再び同点とする。さらに今井選手、青木選手が続き3連打で無死満塁。最後は川下選手の一ゴロで三塁走者の高橋が生還し、2日間に渡る激戦に終止符が打たれた。

 仁志敏久監督は、勝敗の分かれ目を「(5回に桑元の適時打で)1回追いついたところ」とし、「ピッチャーの使い方も難しかったので、(6回に)高橋が頑張ってくれたのもすごく大きかった。タイブレークになるとは思ってもいなかった」と振り返った。さらに、タイブレークの7回に2点を奪われる展開にも「2点までは大丈夫だろうと思いました」と最後まで選手たちを信じた。

 続いて行われたメキシコ戦は3-8で敗れて初黒星を喫した。先発の泉祐成選手(広島廿日市ボーイズ)が「球が走ってたし90点ぐらい」と本人も納得の投球で3回を無失点に抑えたが、代わった投手陣が打たれ8失点。打線も鈴木選手の2点適時打と相手ボークの3点のみで、オープニングラウンドからの連勝は7でストップした。

 だが、本当の勝負は4日の決勝戦。オープニングラウンド第3戦では7-4で勝っている地元チャイニーズ・タイペイと再び対戦する。決勝に向けて指揮官は「当然、やっぱり勝たないと。最後惜しかったねで終わりたくはない。今後も決勝まで来られるっていうチャンスはそうあるわけではない。たった1回のチャンスかもしれない決勝戦に絶対勝ちたい」と決意を語った。悲願の世界一についに“王手”をかけた。

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