侍ジャパンU-18代表がアジア選手権3位入賞に込めた「次世代への思い」

2018.9.18

9月3日から9月10日まで宮崎市内で行われた「第12回 BFA U18アジア選手権」。大会2連覇を狙った侍ジャパンU-18代表だったが、韓国、そしてチャイニーズ・タイペイに敗れ、残念ながら3位に終わった。上位3か国に与えられる、来年の「第29回 WBSC U-18ワールドカップ」(韓国・釜山)出場権はなんとか確保したものの、結果としては悔しさの残る大会となった。

写真提供=Getty Images

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2大会連続優勝を目指し、日本を代表する高校球児が集結

 9月3日から9月10日まで宮崎市内で行われた「第12回 BFA U18アジア選手権」。大会2連覇を狙った侍ジャパンU-18代表だったが、韓国、そしてチャイニーズ・タイペイに敗れ、残念ながら3位に終わった。上位3か国に与えられる、来年の「第29回 WBSC U-18ワールドカップ」(韓国・釜山)出場権はなんとか確保したものの、結果としては悔しさの残る大会となった。

 3位決定戦で中国に勝利した後、永田裕治監督はこう大会を総括した。「大学選抜でも負けはしたけど、かなりいい感触だった。だが、宮崎県高校選抜とやったあたりから『構え』が出てきて、予選リーグに入っていった。香港、スリランカとやる中で『勝てるだろう』という構えが出てきて、そして韓国だった。この間に(状態が)上がってきたのが少し落ちてきた。油断はない。重圧だと思います」。各都道府県大会、そして甲子園と戦った直後に行われたアジア選手権。選手たちのコンディション維持の難しさを痛感させられた。

 8月25日に都内で集合した侍ジャパンU-18代表は、同28日に大学日本代表との壮行試合を戦い、決戦の地・宮崎入り。同31日の宮崎県高校選抜との壮行試合を経て大会へと臨んだ。初戦の香港戦、第2戦のスリランカ戦はともに格下の相手だったこともあり、コールドで圧勝し、オープニングラウンド2連勝で順当にスーパーラウンド進出を決めた。

 ただ、大会の本番と言えるのはここからだった。オープニングラウンド第3戦の韓国戦。ここでの勝敗がスーパーラウンドに引き継がれることを考えると、何としても勝っておきたい一戦だった。注目の戦いで先発マウンドを託されたのは、甲子園を沸かせた吉田輝星投手(金足農高)。だが、その右腕がいきなり手痛い一発を食らった。

 初回に味方のエラーなどで1死一、二塁のピンチを招くと、韓国の4番に3ランを浴びた。「簡単に取りにいってしまった」という初球、甘く入ったスライダーだった。これで初回に痛い3点を失うと、韓国の先発左腕の前に打線が沈黙。6回に相手の失策で1点を返したものの、わずか5安打。それも小園海斗内野手(報徳学園高)と藤原恭大外野手(大阪桐蔭高)が2安打ずつと打線がつながらず、反撃も及ばなかった。

 この敗戦により、オープニングラウンドはグループAで2位となり、スーパーラウンドは1敗からスタートに。そして、初戦では韓国と並ぶ屈指のライバルと目されていたチャイニーズ・タイペイと戦うこととなった。

苦戦を強いられた左腕との対戦、左打者中心の日本打線は沈黙

 試合前に韓国が中国を倒したため、チャイニーズ・タイペイに敗れれば決勝進出が消滅し、連覇の夢が潰える。日本は後がない状況でプレーボールの時を迎えた。

 初回は両国ともに3者凡退。日本の先発・柿木蓮投手(大阪桐蔭高)はまずまずの立ち上がりを見せたが、2回にまたしても先制点を奪われてしまう。先頭打者を内野安打で出塁させると、犠打で走者は二塁へ。次打者に左前へタイムリーを運ばれ、先制を許した。

 4回に小園のセーフティーバント、野尻の右中間を破る二塁打などで1死二、三塁のチャンスを作ると、中川卓也内野手(大阪桐蔭高)の犠飛で同点に。だが、その直後にマウンドに上がった吉田が決勝点を奪われた。中1日での登板となった右腕は安打と四球でピンチを招くと、左前への適時打とセーフティーバントによる適時内野安打で2失点。これが決勝点となった。

 日本打線はチャイニーズ・タイペイの先発左腕ワン・イェンチェン投手の投球に大苦戦を強いられた。5回以降は1人の走者も出せずに、5イニング連続で3者凡退。わずか2安打。ワンに105球の球数制限内に収まる102球での完投勝利を許してしまった。永田監督も「チャンスを作れなかった、最後まで。なかなか打てないですね……」と、2試合続けて1点しか奪えなかった攻撃に肩を落とした。これで2敗となり決勝進出は断たれ、3位決定戦に進むことが決まった。

 8日から2日間、開催地の宮崎は断続的な雨に見舞われた。8日の試合が雨天中止となった段階で、韓国とチャイニーズ・タイペイによる決勝、日本と中国による3位決定戦が決まっていたため、スーパーラウンドの残り試合は打ち切られ、決勝と3位決定戦のみが行われることになった。結局、9日も雨天順延となり、予備日の10日に2試合が行われた。

3位以内で来年W杯出場権獲得、後輩への思いを胸に中国に快勝

 連覇の夢を断たれ、失意にあった侍ジャパンU-18代表の選手たち。それでも、気持ちを奮い立たせて戦ったのは“後輩たちのため”という思いだった。今大会で3位以内に入れば、来年2019年に開催される「第29回 WBSC U-18ワールドカップ」の出場権が手に入る。後輩たちを世界へ送り出すことが、このチームの使命となった。

 2日の調整期間を経て迎えた3位決定戦の中国戦。先発の板川佳矢投手(横浜高)がいきなり先制点を奪われる波乱の幕開けとなったが、2回以降は打線が奮起して着実に加点。ここまで大会無安打だった日置航内野手(日大三高)の初安打が決勝タイムリーとなり、11安打14得点で圧勝。永田監督も「選手たちが本当に『次世代につなぐ』というのを合言葉に、よく頑張ってくれた」と選手たちに労いの言葉をかけた。

 3位に終わった今大会は、日本の野球界として様々な課題を突きつけられた大会だった。その1つは、これまでにも課題とされてきた木製バットへの対応だった。甲子園まで使用していた金属バットとは打球の飛び方が全く違う。その打感の違いに戸惑う選手は多かった。8月21日に甲子園の決勝が終わり、合宿が始まったのは4日後の25日。そこから大会開幕までわずか1週間と、適応するには時間が短かった。

 そこに、国際大会特有のストライクゾーンの広さも加わった。永田監督は「ボール2つ分くらい外もストライクを取られる。それで戸惑いが出て、どうしても当てに行ってしまっていた」と話した。金属バットに比べて、木製バットは芯で捉えないと打球は飛ばない。金属バットでは外野フェンスを越えた当たりでも、木製バットでは外野フライにしかならない。フライアウトが多くなった要因は、こういったところにもあったのかもしれない。

今大会で見えた日本が取り組むべき課題とは…

 韓国、チャイニーズ・タイペイに敗戦を喫した試合は、どちらも左投手が先発。これに対し、侍ジャパンU-18代表のスタメンには左打者が6人並んだ。この2試合で放った安打は計7本、得点はわずかに2点だけだった。国際大会では左腕への対応策はもちろん、バランスのいいチーム構成が鍵を握ると言えそうだ。

 日本とは違う牽制の基準など、国際基準と日本基準の差も苦しんだ要因だった。特に、牽制では走者がなかなかスタートを切れず、目指していた機動力野球をなかなか発揮することができなかった。国際基準との差は、今後も取り組んでいかなければいけない課題だろう。

 一方で、アジアでのライバルとなる韓国、チャイニーズ・タイペイの野球も、年々進化している。これまではパワー重視の大味な野球という印象だったが、今大会では精密さも随所に見られた。守備は固く、韓国は決勝戦の延長タイブレークで、2者連続でスクイズを決めてきた。

 韓国もチャイニーズ・タイペイも、日本より早くに代表チームを結成し、1か月ほどの合宿を行ってきた。また、この両チームの選手たちは日頃から木製バットでプレーしている。永田監督は大会を終え「(両チームの)野球は細かくなってます。(チームを)かなり早くに作って、8月前半からずっと練習をしてきたみたいです」と語り、ライバル2チームの変化を直に感じていた。

 着実に底上げするアジア球界で、盟友・韓国、チャイニーズ・タイペイと切磋琢磨しながら3位に入った侍ジャパンU-18代表。来年の「第29回 WBSC U-18ワールドカップ」では、今大会のメンバーの思いを引き継ぎ、頂点に輝きたい。

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