「野球界のために今は若手を選んでいい」元阪神・岡田氏が語る侍ジャパンの好影響

2018.4.9

世界の頂点に立つ、という命題を背負って始動した野球日本代表「侍ジャパン」。稲葉篤紀監督の下、3月3日、4日に行われた「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018 日本vsオーストラリア」では年齢制限のないトップチームを編成し、第1戦は2-0、第2戦は6-0と2連続完封勝利を収めた。稲葉監督は2020年に向けて、3月に招集したメンバーを軸にチームとして形を作り上げると同時に、新たな若手メンバーを招集する可能性についても触れた。「野球界のためにも、今は若手選手を選んでいいと思う」と話すのは、阪神、オリックスで監督を歴任した岡田彰布氏だ。

写真提供=Full-Count

写真提供=Full-Count

阪神、オリックスの監督を歴任、岡田氏が語る「旬の選手の起用」

 世界の頂点に立つ、という命題を背負って始動した野球日本代表「侍ジャパン」。稲葉篤紀監督の下、3月3日、4日に行われた「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018 日本vsオーストラリア」では年齢制限のないトップチームを編成し、第1戦は2-0、第2戦は6-0と2連続完封勝利を収めた。

 4月16日に30歳の誕生日を迎える秋山翔吾外野手(埼玉西武)が最年長という若いメンバー構成で臨んだチームが躍動。稲葉監督は2020年に向けて、3月に招集したメンバーを軸にチームとして形を作り上げると同時に、新たな若手メンバーを招集する可能性についても触れた。「野球界のためにも、今は若手選手を選んでいいと思う」と話すのは、阪神、オリックスで監督を歴任した岡田彰布氏だ。

 1980年に阪神からデビューし、1994年にオリックスへ移籍。翌1995年を最後に現役を退いた岡田氏は、16年のキャリアで通算247本塁打、1520安打、836打点を記録した。現役当時は五輪にプロの参加は認められず、国際大会と言えば日米野球がメインだった。

「私たちが現役の頃は、国際大会はあっても日米野球くらい。その時でも、ジャパンとして統一したユニホームは着ずに、自分の所属チームのユニホームでした。みんなで合宿をやるわけでもなく、本当にその日に集まっての寄せ集めチームだった。今は国際大会の数も多いし、その前に合宿も行う。選手にとっては経験を積める場が多くあるのはいいことですね」

代表ユニホームが若手にもたらす効果とは…

 阪神監督在任中の2004年と2008年には五輪へ選手を派遣した経験を持つ岡田氏は、「1回でもジャパンのユニホームを着たら、コロッともっといい選手になる可能性もある。励みにもなりますしね」と若手選手が侍ジャパン入りする効果について語る。

「これからの野球界のためを考えれば、今は固定メンバーでやる必要はないと思います。2020年まで2年間あれば、選手はそれぞれにアップダウンがありますから。最近は3月と11月に強化試合や国際大会がありますが、その時その時の旬な選手を招集すればいいと思いますね。“今”の侍ジャパンを作ればいい。代表ユニホームを着れば、やっぱり選手は自覚も持つし、技術的にもそこから成長が期待できるでしょう」

 事実、昨年開催された第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)には惜しくもメンバーには選ばれなかったものの、それ以前の国際大会で侍ジャパンに抜擢された田口麗斗投手(読売)や山﨑康晃投手(横浜DeNA)は代表での経験をバネに躍進。昨年のWBCで快投を披露し、侍ジャパンで唯一大会ベストナインに輝いた千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)は今季、育成出身選手では初となる開幕投手の偉業も成し遂げるなど、代表の重み、世界のレベルを知ることで、さらなる飛躍につながるケースは多い。

代表選手の経験が所属チームにもたらす影響「底上げにつながる」

 侍ジャパンに選ばれた若手選手が、それぞれに自覚を高め、代表での経験をチームに還元すれば、チームひいては野球界全体の活性化と底上げにつながる。それはさらに侍ジャパンのレベルアップをもたらす。稲葉ジャパンが目指す最大のゴールは2020年。最高の結果を掴み取るためにも、現時点では数多くの若手選手に侍ジャパンを経験させた上で、2020年7月の段階で「一番旬な選手を招集すればいい」と話す。

「今の日本の技術だったら、代表チームはある程度勝てると思います。あとは、うまく優勝できるかできないかだけ。優勝できる可能性は秘めているわけですから。今は若手にチャンスを与えて底上げに努め、2020年にはその時点で一番旬な選手を選べばいい。その時は、調子がよくて技術も上となれば、ベテラン選手を選んでもいいと思います。海外のチームを見ても、35歳や30何歳という選手が国際大会にいっぱい出ています。それは実力があるから選んでいるのでしょう。年齢制限がないのであれば、敢えて若手だけを選ぶ必要もないと思います。誰もが納得する、その時の旬の選手が誰になるのか。もしかしたら、来年プロに入ってきて、もの凄く活躍するルーキーが現れるかもしれない(笑)。楽しみですね」

 ついに開幕した2018年シーズン。3月の侍ジャパン招集メンバーを脅かすような、若手選手が現れるのか。2020年まで侍ジャパンとともに日本球界がどこまでレベルアップするのか期待したい。

【了】

記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count

NEWS新着記事