侍ジャパン社会人代表が2連勝で予選通過、投打快調も見えた守備課題の修正図る

2017.10.5

今月2日に台湾で開幕した「第28回 BFA アジア選手権」。侍ジャパン社会人代表は予選ラウンドで香港とパキスタンに快勝し、Bグループ1位でスーパーラウンド進出を決めた。2連勝で予選ラウンドを終えた石井章夫監督は「点差は開いてしまったが、非常に集中力を持って戦えた。内容は良かったと思う。大味なゲームに見えるが、それぞれが役割を果たしてくれた」と振り返った。

写真提供=Getty Images

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点差は開くも手を緩めず圧勝、石井監督「非常に集中力を持って戦えた」

 今月2日に台湾で開幕した「第28回 BFA アジア選手権」。侍ジャパン社会人代表は予選ラウンドで香港とパキスタンに快勝し、Bグループ1位でスーパーラウンド進出を決めた。スーパーラウンドでは、台湾と韓国と対戦する。

 初戦は香港に30-0の5回コールド、2戦目はパキスタンに13-1の7回コールドで圧勝した日本。2連勝で予選ラウンドを終えた石井章夫監督は「点差が開いても、非常に集中力を持って戦えた。内容は良かったと思う。大味なゲームに見えるが、それぞれが役割を果たしてくれた」と振り返った。

 2試合で6打数3安打と大活躍する主将の佐藤旭外野手(東芝)も「試合結果だけを見ると、大差の試合になったので、そんなにタフな試合じゃないように見えると思うが、初戦は独特の緊張感があった。そんな中、相手ピッチャーに関係なく、僕たちは僕たちの野球ができた。攻撃陣は積極的に振っていく中でヒットが出たり、四球があったり、打線がかみ合った得点だったと思います」と、納得の表情を浮かべた。

 2日に行われた香港との開幕戦。日本は初回から打者14人の猛攻で9点を挙げ、流れをつかんだ。2回には打者22人で18得点。3回には神里和毅外野手(日本生命)にチーム第1号となる2ランが飛び出し、30-0の5回コールドで圧勝した。投手陣は先発・谷川昌希投手(九州三菱自動車)が3回を無安打5奪三振と好投。平尾奎太投手(Honda鈴鹿)、渡邉啓太投手(NTT東日本)も1イニングずつを無失点に抑え、3投手で完封した。

 予選ラウンド2戦目はパキスタンと対戦。初回から4番・笹川晃平外野手(東京ガス)の犠飛などで3点を挙げて主導権を握ると、2回以降も小刻みに得点を重ね、4回には木南了捕手(日本通運)の3ランが飛び出した。投げては、先発・阿部良亮投手(日本通運)が3回を無失点。4回から2イニングを鈴木健矢投手(JX-ENEOS)が投げ、不運な当たりから1点を失ったものの、6回からは鈴木博志投手(ヤマハ)が走者を背負いながらもゼロに抑えた。

予選で見えた守備面の課題、5日の練習で徹底練習

 4日は中国との予選ラウンド最終戦が予定されていたが、中国が直前に参加を辞退。日本は2連勝でBグループ1位で、6日から始まるスーパーラウンドにコマを進めた。中国が辞退という不測の事態に「中国はパワーもあるし、ピッチャーもいいと聞いていたので、対戦したかったなという思いはあった。でも、これも国際大会なんですよね」と石井監督。佐藤主将は「こういう予想していない事態が起きるのが国際大会なのかなと感じたが、臨機応変に。何があるかわからないと言われていたので、気持ちが揺らぐことはなかったですね」と、選手たちも割り切って2試合に全力を注いだ。

 ただし、投手起用は変更を余儀なくされた。予選ラウンドの3試合でピッチャーをどう使っていくか、ローテーションを組んでいただけに直前に組み替え。それでも、ベテランの佐竹功年投手(トヨタ自動車)を中心にしっかり調整に励み、杉浦正則コーチは「ピッチャーの状態はいい。佐竹についてやっている。経験者がいるということは有り難い」と大きくうなずく。

 野手は2戦で全員が出場した。石井監督は「競争心は消さないようにして、全員がスタンバイできる環境を作ることが、予選ラウンドのテーマだった。みんな満遍なく、よくやったと思います」と称える。攻撃では「走塁のところは、打つ、打たないは別にして、厳しくいこう、と話した。点差が離れたので盗塁はないけれど、打球に対してランナーがしっかり先の塁を狙えた」と、プレー細部での収穫も口にした。

 だが、守備では課題も残った。土の硬さや天然の芝による打球の変化などに対応しきれず、走者を出した。「芝生が長くてボールが止められるかと思ったが、スピンがかかってくる。人工芝に慣れている社会人だと、ボールが進んでくるような違和感があると思う。注意しているけれど、感覚の問題なので、時間がかかるかなと思います」と石井監督。試合のなかった4日と5日で、再度グラウンドの感覚をチェックし直した。

 また、センターでは2試合連続で打球に太陽が重なり、見失って捕球できずに、走者を出した。香港戦でセンターを守った佐藤主将は「14時くらいになるとセンターの真上に太陽がある。今度の試合からはああいうプレーが命取りになると思う」と反省。予選ラウンドの経験から、5日の練習では、外野手は太陽にかぶる打球を打ってもらい、“太陽対策”のノックを受けた。

 予選ラウンドでは、打線はつながりのある攻撃を見せ、投手陣もマウンドやボールの感覚に慣れた。課題が出た守りも修正。ここまでの2試合を生かして臨むスーパーラウンドも全勝し、アジア王座奪還を目指す。

【了】

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