侍ジャパンU-18代表、オープニングRで掴んだ確かな収穫「目標が明確なものに変わった」

2017.9.6

侍ジャパンU-18代表は「第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)のオープニングラウンド全5試合を4勝1敗で終えた。第2戦でアメリカに敗れたものの、キューバ、オランダといった強豪を撃破。グループBの2位でスーパーラウンドへと駒を進めた。最終戦の南アフリカ戦では、主将の清宮幸太郎内野手(早稲田実業)に今大会1号が飛び出すなど、上昇気流に乗って次のステージに挑む。

写真提供=Getty Images

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4勝1敗でオープニングR突破、アメリカへのリベンジはこの先の“持ち越し”に

 侍ジャパンU-18代表は「第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)のオープニングラウンド全5試合を4勝1敗で終えた。第2戦でアメリカに敗れたものの、キューバ、オランダといった強豪を撃破。グループBの2位でスーパーラウンドへと駒を進めた。最終戦の南アフリカ戦では、主将の清宮幸太郎内野手(早稲田実業)に今大会1号が飛び出すなど、上昇気流に乗って次のステージに挑む。

 どんなチームにとっても難しい大会初戦は、メキシコとの対戦。日本は2年生コンビが躍動した。1番の藤原恭大外野手(大阪桐蔭)が先制の走者一掃3点タイムリーツーベースを含む5打数2安打3打点。さらに、9番の小園海斗内野手(報徳学園)も4打数3安打と打線を牽引した。中学時代にはチームメートだった2人。藤原が「9番と1番なので、自分たちで流れを作っていこうと言っています」と話した通り、日本にペースを引き寄せた。

 投げては先発の徳山壮磨投手(大阪桐蔭)が7回2安打1失点と好投。押し出し四球で1点を失ったものの、そこから崩れることはなく、小枝守監督も「やっぱり選抜優勝投手」と絶賛する内容でチームを10-1の勝利に導いた。

 ただ、第2戦は“王者”に屈した。3連覇中のアメリカに0-4と完封負け。先発の川端健斗投手(秀岳館)が6回途中6安打6四球4失点15三振、2番手の田浦文丸投手(秀岳館)も2回1/3を1安打無失点5奪三振と好投すると、9回は3番手の磯村峻平投手(中京大中京)が3者連続三振と、3投手で計23三振を奪ったが、勝利にはつながらず。打線がハイレベルなアメリカ投手陣の前に2安打と苦戦した。

 もっとも、小枝監督は「点差以上に収穫があった」と振り返り、「あとは攻撃陣がどういう風にするか」と話した。主将の清宮も「完敗だった」としつつ、「自分たちの弱さ、何が足りないか、世界のトップがどれくらいなのか、今日でわかった。まだ試合は続く、もう1回1つずつ勝っていくしかない」と試合後にはすぐに前を向いており、前回大会の決勝で敗れた相手へのリベンジは“持ち越し”となった。

 スーパーラウンド進出のためには絶対に負けられない戦いとなった第3戦のキューバ戦では、またしても2年生が躍動。2番に抜擢された小園が3安打2打点と存在感を示し、7-2で快勝した。投手陣も先発の山下輝投手(木更津総合)が5回1/3を投げ3安打2失点、2番手の田浦は2回2/3を1安打無失点、清水達也投手(花咲徳栄)は1回無安打1奪三振2四球と相変わらずの安定感を見せ、相手の強力打線を抑え込んだ。

主将の清宮にも待望の一発「スーパーラウンドをしっかり勝ち抜く」

 そして、スーパーラウンド進出がかかった第4戦のオランダ戦では、左腕が圧巻の投球を見せた。4回に先制を許し、重いムードが漂った試合。それでも6回、相手の一塁牽制悪送球で同点に追いつくと、2死三塁で迎えた安田尚憲内野手(履正社)の打席で、暴投で勝ち越しに成功。その裏から2番手で登板した田浦が、さらに流れを日本に引き寄せた。

 4イニングを無安打無失点9奪三振と衝撃の奪三振ショーを披露。相手に反撃のきっかけすらつかませなかった。8回には藤原の左前タイムリーで貴重な追加点を奪取し、3-1で勝利。オープニングラウンドは救援として計3試合に登板し、9イニングで無失点19奪三振と快投を続ける田浦には、小枝監督も「今年は田浦ですね、立派ですね」と脱帽していた。

 日本はこの時点でスーパーラウンド進出が決定。迎えたオープニングラウンド最終戦の南アフリカ戦では、待望の一発が飛び出した。相手のミスなどもあり、3回までに7点を奪うと、4回2死走者なしで打席に立った清宮が右腕オブライエンのチェンジアップをフルスイング。軽々と右翼フェンスを越える完璧なホームランは、2年前に唯一の1年生として同大会に出場した主将にとって、嬉しいワールドカップ1号となった。

 史上最多とされる自身の高校通算本塁打記録も110本に更新した清宮は「110って響きもいいですし、節目の一本だったかなと思います」と笑顔。「だんだん昨日から自分の形になってきていて、打撃もよくなってきているので、この感じでしっかり次もやっていきたいと思います。2年前も全然駄目で、今回もこっちに来てからあまり調子上がってなかったんですけど、やっと分かってきたというか、これが自分らしさかなというのが分かってきた気がします」と“復調”へ確かな手応えをつかんだ。

 投手陣も先発の三浦銀二投手(福岡大学附属大濠)が5回3安打無失点7奪三振と好投するなど、得点を許さず。12-0で今大会初の7回コールド勝ちと大勝でオープニングラウンド最終戦を締め、勢いをつけた。

 悲願の初優勝へ向け、日本チームは試合を重ねるごとに成長している。小枝監督は「ようやく仲良しクラブではなく、本音を言い合えるようなムードになってきました」と手応えを示した上で「僕らにとっては目の前の試合をしっかりとることが前提で、しっかり各々の役割を果たして色を出していくのが合言葉ですので、その通りやっていきます」と誓った。

 また、2年前には決勝で悔しさを味わった清宮も「新たな目標ができたというか、漠然としたものがこの予選ラウンドで明確なものに変わった」と話す。「明確な目標とは何ですか?」と聞かれた主将は「スーパーラウンドをしっかり勝ち抜いて、決勝で、どこが勝ってくるか分からないけど、しっかり倒して優勝することです」と改めて宣言した。

 スーパーラウンドは7日に初戦が行われる予定。世界一への戦いは、ここからさらに険しくなっていくが、頂点に確実に近づいている。

【了】

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