2025年侍ジャパン全カテゴリーの熱戦をプレイバック…6つの国際大会全てで決勝進出

2025.12.1

暦は12月を迎え、2025年も残りわずかとなった。今年の野球界は、NPBでは福岡ソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝き、MLBではロサンゼルス・ドジャースが球団史上初の2年連続ワールドシリーズ制覇を達成。第7戦に緊急救援登板を果たし、1人で3勝を挙げた山本由伸投手がシリーズMVPを受賞した。

写真提供=Getty Images

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2025年は侍ジャパン出場6大会で優勝3度、準優勝3度の好成績

 暦は12月を迎え、2025年も残りわずかとなった。今年の野球界は、NPBでは福岡ソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝き、MLBではロサンゼルス・ドジャースが球団史上初の2年連続ワールドシリーズ制覇を達成。第7戦に緊急救援登板を果たし、1人で3勝を挙げた山本由伸投手がシリーズMVPを受賞した。

 野球日本代表「侍ジャパン」でも各カテゴリーが国際大会(試合)に臨み、チーム一丸となって全力プレーを披露した。U-12代表からトップチームまで、その勇姿を振り返る。

 社会人野球で長らく手腕を振るった大久保秀昭監督を新たに迎えたU-12代表は、7月25日から台湾(台南)で「ラグザス presents 第8回 WBSC U-12ワールドカップ2025」に出場し、銀メダルを手に入れた。デジタルチャレンジ、合同トライアウトを経て選ばれた精鋭18選手に、指揮官が求めたのは「将来へ向けて“なりたい自分”を見つけること」。正々堂々のフェアプレーで勝利を重ねた日本は決勝まで進み、米国と対戦したが惜しくも敗れて準優勝の成績だった。

 トップチームの井端弘和監督が兼任するU-15代表は、8月17日から同じく台湾(台南)で「第12回 BFA U15アジア選手権」を戦った。基本的にバントはせず、初球からバットを振るような積極性を指揮官は重視。その方針通り、代表18選手はオープニングラウンドを圧倒的な強さで勝ち上がったが、スーパーラウンド第2戦ではチャイニーズ・タイペイに7-10で競り負けた。チャイニーズ・タイペイとの再戦となった決勝では相手投手に封じられ、0-3で黒星。2大会ぶりの優勝は逃したが、最後まで戦い抜いた準優勝だった。

U-18W杯は沖縄で開催、大学代表は21年ぶり3度目の完全優勝

 甲子園を沸かせたヒーローたちが集うU-18代表が臨んだのは、9月5日から沖縄が舞台となった「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18ワールドカップ」だ。小倉全由監督の下、精鋭20人は大会2連覇を目指して戦った。オープニングラウンドを全勝で勝ち抜いた日本は、スーパーラウンドでも接戦を制して全勝。満を持して米国との決勝に臨んだが、米国の剛球投手の前に打線は沈黙。3安打で完封負けし準優勝に終わったものの、沖縄を挙げての大応援と温かなホスピタリティに一球入魂のプレーで応えた。

 7月に行われた「第45回 日米大学野球選手権大会」は2大会ぶりの日本開催。エスコンフィールドHOKKAIDO、HARD OFF ECOスタジアム新潟、そして学生野球の聖地・明治神宮野球場が会場となった。就任2年目の堀井哲也監督(慶應義塾大)率いるチームには、のちのNPBドラフト会議で1位指名される立石正広内野手(創価大)や松下歩叶内野手(法政大)ら26選手が集結。体格とパワーで上回るとされる米国との5番勝負に臨んだ。1、2戦目に勝利した日本は3戦目に完封リレーで史上初3連覇を決めると、残り2戦も1点差の接戦を制して21年ぶり3度目の完全優勝。この優勝メンバーから16人がドラフト指名を受けた。


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社会人代表はアジア選手権で2連覇、女子代表は大学生が躍動

 社会人代表は9月に中国が舞台となった「第31回BFAアジア選手権」に出場し、見事、大会2連覇を成し遂げた。川口朋保監督の下、社会人野球を代表する24選手がレベルの高い野球を披露。オープニングラウンドの3試合は、いずれも2桁得点での豪快なコールド勝利。スーパーラウンドに入ると、チャイニーズ・タイペイ、韓国と1点を競う大接戦ながら、緻密な野球で勝ちきった。チャイニーズ・タイペイとの決勝戦では、日本が持つ投打の長所が発揮され、11-0で完封勝利。2026年に愛知で開催されるアジア競技大会へ実りの多い優勝となった。

 中島梨紗監督率いる女子代表は10月に「第4回BFA女子野球アジアカップ」を戦った。代表に選ばれたのは大学生20人。女子野球の継続的な強化や普及を目指し、大学生世代に侍ジャパンのユニホームを託した。これまで日本はアジアではもちろん、世界で女子野球発展を牽引してきた。実力差があっても手を抜かずにリスペクトを持って真剣勝負に臨む、その姿勢は今大会でも変わらず。チャイニーズ・タイペイに8-0で勝利した決勝を含め、7戦全てが圧勝だったが集中力を切らさず、堂々の大会4連覇となった。

トップチームは2度の強化試合を実施、WBCへ着々と準備

 トップチームは3月と11月に強化試合を実施し、数多くの選手が侍ジャパン初選出を味わった。3月の「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」では、代表メンバー28人のうち水谷瞬外野手(北海道日本ハム)ら20人が初選出。フレッシュな面々が投打にわたり実力を存分に発揮した。打っては、第1戦に水谷選手の先頭打者アーチで流れを引き寄せると、第2戦では大山悠輔内野手(阪神)のソロ弾など打者一巡の猛攻で一挙7得点。投げては、第1戦は宮城大弥投手(オリックス)から始まる6投手、第2戦では種市篤暉投手(千葉ロッテ)から始まる6投手が、それぞれ1安打完封リレーを繋ぎ、オランダを圧倒した。

 11月の「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国」では、坂本誠志郎捕手(阪神)ら6人が初選出された。この韓国戦は、2026年3月の「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)に向けた最後の選手選考の場であると同時に、WBCで採用されるピッチコム、ピッチクロック、拡大ベースなど、NPBでは導入されていないルールを経験する場にもなった。第1戦では韓国に先制されながら逆転勝利を飾ったが、第2戦では終盤に追い上げられて引き分けという結果。だが、井端監督ら首脳陣も含め、チームとしてWBCと同じ試合形式を経験できたことが何より大きな収穫となった。

 2025年は社会人代表をはじめ6つのカテゴリーが出場した国際大会のうち、3大会で優勝、3大会で準優勝という好成績を残した侍ジャパン。トップチームの大会出場はなかったが、来たる3月にはいよいよ大一番、WBC開催が控えている。今年、各カテゴリーが見せた熱い真剣勝負を刺激とし、同じ日の丸のついたピンストライプのユニホームで、2度目のWBC2連覇を果たしたい。

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