史上初、日本の3連覇なるか? 日米大学野球が8日に開幕…金の卵の成長を促す晴れ舞台
野球日本代表「侍ジャパン」大学代表は7月8日から13日まで「第45回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)に臨む。エスコンフィールド北海道、HARD OFF ECOスタジアム新潟、明治神宮野球場と会場を移しながら行う全5戦。堀井哲也監督率いる精鋭26選手が3連覇を目指し、全力を尽くす。

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「第45回 日米大学野球選手権大会」北海道、新潟、東京で計5戦
野球日本代表「侍ジャパン」大学代表は7月8日から13日まで「第45回 日米大学野球選手権大会」(以下、日米大学野球)に臨む。エスコンフィールド北海道、HARD OFF ECOスタジアム新潟、明治神宮野球場と会場を移しながら行う全5戦。堀井哲也監督率いる精鋭26選手が3連覇を目指し、全力を尽くす。
第1回大会が開催されたのは1972年のこと。以来、開催地を日本と米国で替えながら、未来のスター選手たちがしのぎを削ってきた。過去には、MLB通算153勝を誇るゲリット・コール投手(ニューヨーク・ヤンキース)や横浜DeNAで活躍するトレバー・バウアー投手らも参加。日本では、読売の阿部慎之助監督や菅野智之投手(ボルチモア・オリオールズ)、最近では森下暢仁投手(広島東洋)らが出場している。
直前合宿では伊藤、立石らが存在感を発揮
6月21日から3日間の選考合宿を経て大学代表入りした26選手は、30日から神奈川県平塚市にあるバッティングパレス相石スタジアムひらつかで直前合宿を行った。26選手のうち4年生は18人、3年生は7人、そして2年生は1人。前年に続き、2年連続での選手となった6選手のうち、松下歩叶内野手(法政大)が主将、繁永晟内野手(中央大)が副主将となり、チームを牽引することとなった。
初めて実戦練習となった7月2日の三菱重工Eastとの対戦では、2年連続選出組の先発・伊藤樹投手(早稲田大)が140キロ台中盤のストレートと変化球を織り交ぜながらテンポのいい投球を披露。2024年の都市対抗野球大会優勝チームの打線を前に、4回を2安打無失点に抑えてリズムを作った。打線も社会人の胸を借りるべく、初回から畳みかけ、秋山俊外野手(中京大)の場外3点弾などで5点を先制。4番を任された立石正広内野手(創価大)は3安打の猛打賞で存在感を示した。
立石選手の活躍を後押しした存在がある。7月1日から2日間、臨時コーチとして合宿に参加した元読売監督の高橋由伸氏だ。前年に続き、臨時コーチとして大学代表の指導にあたった高橋氏は、野手陣と積極的にコミュニケーションを図り、自身の経験と智慧を伝授。試合前の練習で上半身と下半身を捻るようにスイングするティー打撃を教わった立石選手は、試合でも打席で「ボールがゆっくり見えた」と効果を感じたという。
前年に続き、高橋由伸臨時コーチが指導に参加…井端弘和監督も視察
また、2日にはトップチームの井端弘和監督も視察に訪れた。現役時代、遊撃の名手として鳴らした井端監督のもとには、繁永選手、勝田成内野手(近畿大)、大塚瑠晏内野手(東海大)、緒方漣内野手(國学院大)ら二遊間を守る選手たちが次々と駆け寄り、アドバイスを求める場面も。指揮官は「貪欲に聞いてきますね。うわべだけではなくて、細かく、その中まで聞いてくるので、こちらも真剣に答えなければいけない」と目を細めた。
井端監督と高橋氏が口を揃えるのが、大学代表メンバーの「レベルの高さ」だ。選手たちから質問攻めにあった井端監督は自身の大学時代と比べ、「そこまで思いつかなかったですよね、というところまで(質問で)踏み込める。当然、技術は上がってきているのだと思います」と感心した様子。高橋氏も「レベルが高いですし、さらにもっとレベルを上げるために、自分たちの考えや課題がはっきりした選手たちが多かった。僕自身もいい勉強になった」と感嘆の声をあげた。
選手の成長を促す機会、堀井監督「日本球界にとってのプラスに」
8日から始まる日米大学野球は、史上初となる日本の3連覇が懸かる真剣勝負であると同時に、選手たちにとって海外選手と対戦する数少ない貴重な機会でもある。米国視察に出掛けた際、現地で大学野球の試合も見たという井端監督は「米国では150キロ台中盤で投げている選手たちがいた。球の速さがメジャー級の選手はいるので、世界を感じるには非常にいい(舞台な)のかなと思います」。堀井監督も「日米大学野球で(侍ジャパンの)ユニホームを着た経験を今後に繋げて、日本球界にとってのプラスにしてほしいと思います」と期待を込める。
実際に大学代表での経験が、自身の成長に繋がったと実感するのが伊藤投手だ。3年生で出場した昨年の大学代表欧州遠征では、先発と中継ぎの両方をこなして3試合(7イニング)を無失点。海外打者との対戦を経て「メンタル面でかなり自信もつきましたし、試合前の準備でもかなり安定してきた」と大きく頷く。
高橋氏の言葉を借りれば「間違いなく同世代を引っ張っていくことになる選手たち」が大学代表メンバーだ。メジャーリーガーの卵が揃う米国代表を相手に、どんなパフォーマンスを見せ、何を感じ取るのか。日本球界を支える未来のスーパースターたちが味わうひと夏の経験を、しっかりと応援し、見届けたい。
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