井端監督が嬉しい悲鳴「甲乙つけ難い」 アジア選手権へU-15代表最終トライアウト開催
小雨がぱらつく中、埼玉県さいたま市内にあるNIPPON EXPRESS浦和ボールパークで14日、「第12回 BFA U15アジア選手権」(8月17~23日、台湾・台南)に出場する野球日本代表「侍ジャパン」U-15代表18人を選出する最終トライアウトの2回目が行われた。侍ジャパンのトップチームとU-15代表の指揮を兼任する井端弘和監督は「候補選手の実力が拮抗していて、甲乙つけ難い。(選考は)非常に悩みます」と嬉しい悲鳴を上げた。

写真提供=Full-Count
14日にNIPPON EXPRESS浦和ボールパークで2回目の最終トライアウト開催
小雨がぱらつく中、埼玉県さいたま市内にあるNIPPON EXPRESS浦和ボールパークで14日、「第12回 BFA U15アジア選手権」(8月17~23日、台湾・台南)に出場する野球日本代表「侍ジャパン」U-15代表18人を選出する最終トライアウトの2回目が行われた。侍ジャパンのトップチームとU-15代表の指揮を兼任する井端弘和監督は「候補選手の実力が拮抗していて、甲乙つけ難い。(選考は)非常に悩みます」と嬉しい悲鳴を上げた。
8月のアジア選手権へ向け、動画選考の「侍ジャパンU-15日本代表 全日本合同トライアウト~デジタルチャレンジ~」を通過した41人のうち、15人が今月8日に神奈川県の東芝総合グラウンドで行われた1回目のトライアウト、残りが2回目を受験。この日は1回目同様、代表首脳陣と選手・保護者の面談、塁間駆け抜けのタイム測定、キャッチボール、シートノック、捕手の二塁送球タイム測定、実戦形式のシート打撃などが行われた。あいにくの天候にもかかわらず、候補選手たちははつらつとした動きを見せていた。
井端監督自らが打席に立ち、投手の球筋を確認
代表首脳陣は井端監督以下、トップチームでも投手コーチを務める吉見一起コーチ、日向ボーイズの長野信隆コーチ、熊谷リトルシニアの加藤礼絃コーチという顔ぶれ。塁間駆け抜けのタイム測定では、井端監督、吉見コーチ、長野コーチがそれぞれストップウオッチを手に測り、タイムを擦り合わせた上で加藤コーチが記録。実にきめ細かい作業が続いた。
また、シート打撃では投手が交代するたびに井端監督が自ら打席に立ち、最終的には全投手の球筋を確認した。「スピードガンでは同じ球速だったとしても、1人1人球筋が違いますし、むしろ遅くても切れのいいボールというのもあります。それは実際に打席に立ってみないとわかりませんから」と意図を明かした。
最終トライアウトには弾道測定器「トラックマン」が導入され、球速以外にも、投球の回転数、回転軸、変化量、打者の打球速度、打球角度などを計測。候補選手を比較する上で貴重な科学的データとなっている。それに加え、現役時代にNPB通算1912安打を放った井端監督の“プロの目”も、候補選手たちの力量を測っていたというわけだ。
トップチームとアンダー世代の監督兼任で見せる2つの“井端流”
トップチームの監督という重責を背負いながら、自らの強い希望でアンダー世代の指揮官も兼任し、次代を担う子どもたちに目を配るのが“井端流”。この日、小学生世代の侍ジャパンU-12代表監督として2022、23年に「WBCS U-12ワールドカップ」へ出場した時の教え子と“再会”する一幕もあった。
2023年に出場した橘漣次選手は、この日受験した候補選手の中で最長身の185センチ。井端監督は「(橘選手は)体がひと回りもふた回りも大きくなりましたね。(U-12時代は)変化球打ちが誰よりも上手くて、3本の本塁打は全て変化球を打ったものでした。この世代では長距離砲の部類で、楽しみな選手であることは間違いありません」と目を細め、「こういうことが、U-12やU-15に携わる楽しみの1つですね」と口元を綻ばせた。
41人から18人の代表選手を選考、7月にも発表予定
正式に代表選手18人が発表されるのは、7月になる見込み。井端監督は「実力に差がなくても、18人に絞らなくてはならない」と悩ましげで、「この最終トライアウトに残っただけでも、この世代のトップクラスであることは間違いありません」と候補選手たちを称える。
代表選出後には国内で3日間の直前合宿を行う予定で、「その3日間で、選手たちにあれこれうるさく言い聞かせて、チームの決まり事を徹底します。向こう(大会会場の台湾)に行ったら、またのびのびやってもらえればいい」と構想を描いている。
アンダー世代の大会では基本的に送りバントをさせず、のびのびと子どもの才能を伸ばすのもまた“井端流”である。「僕もアンダー世代を率いて4年目になりました。これまでも“大会中に全員がヒットを打つ”という目標を掲げてきたので、今年こそ達成したいと思います」とボルテージを上げるが、子どもたちを見つめる眼差しはどこまでも優しい。
記事提供=Full-Count
写真提供=Full-Count