大谷翔平が「他国を本気にさせた」 WBC2連覇へ…松田宣浩コーチが語る“自らの役割”

2025.6.2

新たな立場で再び日の丸のユニホームに袖を通した。現役時代は福岡ソフトバンク、読売でプレーした松田宣浩氏は野球日本代表「侍ジャパン」トップチームの野手総合コーチとして、今年3月に京セラドーム大阪で行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」で指導者としての第一歩を踏み出した。亜細亜大の先輩でもある井端弘和監督の下、2026年3月の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)で大会連覇をサポートする。

写真提供=Full-Count

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松田宣浩野手総合コーチが語る「侍ジャパン」で重要なこと

 新たな立場で再び日の丸のユニホームに袖を通した。現役時代は福岡ソフトバンク、読売でプレーした松田宣浩氏は野球日本代表「侍ジャパン」トップチームの野手総合コーチとして、今年3月に京セラドーム大阪で行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」で指導者としての第一歩を踏み出した。亜細亜大の先輩でもある井端弘和監督の下、2026年3月の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)で大会連覇をサポートする。

 2023年シーズンをもって現役を引退した松田氏は、選手として2013年、2017年のWBC、2015年、2019年の「WBSCプレミア12」に出場した。井端監督とは2013年はチームメート、2019年にはコーチと選手として同じユニホームを着た。尊敬する“先輩”から受けたコーチ就任の打診。二つ返事で快諾した。

「侍ジャパンの活動では、常に井端さんとの関わりが多かったので。『一緒に頑張ろう』と言われて、断ることなく『お願いします』という感じでした。お話をいただいた時はとても嬉しかったですし、引退して、現役でプレーできない以上、ユニホームを着る機会は指導する立場でしかない。そういう意味では、侍ジャパンはとても僕の中では大事にしていきたいカテゴリー。嬉しい気持ちでした」

短期決戦で大事にしたいトップ選手への声掛け

 現役時代は明るく盛り上げ上手なキャラクターとして、“熱男”の愛称で親しまれてきた。だが、指導者としての経験はない。選手時代は、技術や理論は自らが理解し、実践できれば問題がなかったが、指導者の立場ではそうはいかない。アウトプットする能力の大切さと難しさを日々実感している。

「たとえ投手のことでも、選手から聞かれたことには、ある程度答えられないといけないと思う。選手時代は(技術や知識は)自分の持ち物で良かったと思うんですけど、コーチなので(そうはいかない)。『これどうですか』と聞かれた時に、必ず答えられるような準備だけはしています。日本が勝つために結果を出してもらわないといけないですから」

 NPB12球団、メジャーリーグからトップ選手が集まる侍ジャパン。選手たちが備える技術や能力がすでに卓越したものであることは誰もが知るところだ。コーチとは言っても、2軍やアマチュアを指導する時とは、また違ったものになってくる。松田氏が大事にしているのは、短期決戦で結果を残せるような声掛けだ。

「少しバットが下がっているとか、タイミングが遅いとか、そういったことはもう自分でわかっている選手の集まりです。それよりもバッターボックスにしっかり、不安なく入れるようなアドバイスをしてあげたいなと思います」


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オランダとの強化試合で感銘を受けた若手の姿

 長いペナントレースとは違い、1試合で命運が決まる国際大会。松田氏のWBCでの成績を見ると、2013年は打率.333(21打数7安打)、1本塁打5打点、2017年は打率.333(24打数8安打)1本塁打7打点と、いずれも好結果を残してきた。データももちろん大事だが、それ以上に短期決戦では自らの“感覚”が重要になってくるという。

「日本代表で日の丸を背負ってプレーしていた時に、どの監督、コーチも『2度と対戦しない投手がほとんどだから、とにかく打席の感覚を大事にしていこう』といったことを言われていました。なので、僕の中で、国際大会の中では感覚をすごく大事にしていたところではありますね」

 そんな中、今年3月にコーチとして初めてベンチ入りしたオランダとの強化試合は、28人中20人が代表初選出と若手主体のチームだった。そこで松田氏はベンチでの若手の姿に感銘を受けたという。

「他球団同士で情報共有をしたり、元気を出して声を掛け合ったりするんですよ。今どきの子どもというか、今どきの選手だなと思って。とても明るく、気さくに戦っているので、とてもいいなと思いました」

米国代表はジャッジが主将…すでに盛り上がりを見せる2026年大会

 2023年の第5回大会では現ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手らの活躍もあり、決勝で米国を倒して世界一の栄冠を手に入れた。2026年に向けてすでに米国代表はニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が主将を務めることを発表し、ドミニカ共和国代表はフアン・ソト外野手が参加を表明している。他国も打倒・侍ジャパンを掲げ、着々と戦力を整えている。

「他国を本気にさせたのは大谷翔平選手だと思うし、日本代表が2023年に世界一になって、アメリカが世界一を取れなかったというので火がついたと思いますから。現段階からバリバリのメジャーリーガーが(参加を)表明して、2026年は(すでに)盛り上がっている大会。日本の活躍、大谷翔平選手の活躍で火をつけた大会ですから、すごくいいものにしたいなと思いますね」

 強豪がひしめく中、松田氏が掲げたのは“全員熱男野球”だ。

「日本代表の強みはやっぱり全員野球。誰かのホームランで勝つんだっていう野球ではなくて、全員野球で頑張って勝つ。つまり、全員が熱く野球をすれば、必ず良い結果になるのではないかなと思います」

 大谷選手だけの力では世界一になることはできない。井端監督を世界一に――。持ち前の明るさで、侍ジャパンを支えていく。

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