NPBで8年目…ソトが見る侍ジャパンの強さ 浸透する「1点を多く入れるために大事なプレー」

2025.4.28

千葉ロッテのネフタリ・ソト内野手は、プエルトリコ代表として2023年の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)に出場した。大会打率.091(11打数1安打)と苦しみ、チームも準々決勝で敗退。悲願には届かなかったが、「とても素敵な経験ができました」と語る。優勝した野球日本代表「侍ジャパン」に尊敬の念を示しつつ、2026年の次回大会への参加を熱望した。

写真提供=Getty Images

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2023年WBCにプエルトリコ代表として出場も、準々決勝で敗退

 千葉ロッテのネフタリ・ソト内野手は、プエルトリコ代表として2023年の「WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下WBC)に出場した。大会打率.091(11打数1安打)と苦しみ、チームも準々決勝で敗退。悲願には届かなかったが、「とても素敵な経験ができました」と語る。優勝した野球日本代表「侍ジャパン」に尊敬の念を示しつつ、2026年の次回大会への参加を熱望した。

 代表選出時を振り返り、「とてもうれしかったです。自分の国を代表して大会を戦うことができるのは、野球選手としての夢。NPBやMLBで試合をするのもいいですが、胸に国の名前があるとまた違う気持ちで試合を迎えられます」と特別な思いを明かす。まさに念願の瞬間だった。

 国の期待も大いに感じていた。「プエルトリコ人にとって、WBCは国の中で一番大事な大会ともいえるほど注目度が高い。かなり大きなイベントです」。第3回、第4回大会では準優勝と、あと一歩届かなかった頂点への機運は高まっていた。

 ローンデポ・パークで行われた1次ラウンド・プールD。初戦のニカラグア戦は「6番・一塁」で先発出場し、第1打席でいきなり左安打を放った。「いいスタートを切ることができました。ただ個人のことよりも、国のために試合をやっている。状況によって何をすればいいか、勝つために動くということを考えていました」と、あくまでも“フォア・ザ・チーム”を貫いた。

メキシコ戦は難敵から初回4得点も逆転負け「満員の球場で白熱した試合」

 2戦目のベネズエラ戦は黒星も「まだ次のステージに行けるチャンスがあったので、この試合のことは一度置いておいて、次の試合に向けて準備しました」。すぐに切り替え、続くイスラエル戦は4投手による完全試合を達成して完勝。WBC史上初の快挙に立ち会い、「みんなが自分のやるべきことをしっかりやっていた。投手が試合を作ってくれて、本当にいい雰囲気でした」と微笑んだ。

 そして迎えたドミニカ共和国との大一番。初戦の第1打席以降、快音のなかったソト選手はベンチから戦況を見守ったが、チームは接戦を制して準々決勝進出を決めた。「負けたら次のステージに行くことはできない、すごく大事な試合だとみんなが頭に入れて戦っていました。ドミニカ共和国も素晴らしい選手たちがいますが、神様のおかげで勝つことができました」と喜んだ。

 しかし、この歓喜の輪の中で守護神のエドウィン・ディアス投手(ニューヨーク・メッツ)が右足を痛め、車椅子で球場を去った。「彼は球場以外でもリーダー的な存在だったので、すごく残念なことだった」という一大事。それでも「彼のためにも勝たないといけない」と、次のラウンドに向けてチームは再び一丸となった。

 準々決勝のメキシコ戦は、初回に前年ナ・リーグ最優秀防御率に輝いたフリオ・ウリアス投手(ロサンゼルス・ドジャース)から4得点を奪ったが、4-2の7回に3点を失い逆転を許して万事休す。「8番・一塁」で先発出場したソト選手も2打数無安打で8回に代打を送られた。最後は1点が遠かったものの、かけがえのない時間となった。

「誰もが高く評価するウリアス投手から4点を取れたことは自信になりました。でも、メキシコはベテラン選手が多いチームで、打線の勢いを止められてしまった。結果的には逆転負けでしたが、満員の球場で白熱した試合ができました」


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代表入りは「自分だけでなく家族にとっても素敵なこと。呼ばれたい」

 大会打率.091は決していい数字とは言えないが、「短い大会の中ではそうなったが、2安打だったら全く違う数字になっていた。自分のことよりも、国のために、というのが一番大事だと思っていますので」。数字ではなく、プエルトリコの誇りを胸に戦えたことが何よりの財産だ。

 自身は2018年に横浜DeNAへ入団し、2024年からは千葉ロッテでプレーする。NPBで早くも8年目を迎えた。熟知する日本野球が世界のトップに立ったことについて、「盗塁やバントなどの細部、いわゆるスモールベースボールに慣れている。国際大会では1点を多く入れるために大事なプレーになってくるので、そこが強みですよね。加えて、日本で一番いい投手は必ず代表チームに参加する。日本は好投手が多いので、投手面の強さが持ち味だと思います」と分析する。

 日本が第1回、第2回とWBCを連覇していたこともあり、来日前からNPBに対して「レベルの高いリーグ」というイメージを持っていたという。一方で、先入観は持たずに、野球だけではなく文化や食べ物などを受け入れようとオープンマインドを貫いた。それが日本の野球に順応し、いきなり来日1年目から2年連続での本塁打王に繋がったのだろう。

 次回のWBC開催は来年3月に迫る。その1か月前に37歳となるソト選手だが、「自分だけでなく家族にとっても素敵なこと。呼ばれたいという思いはあります」と再び代表ユニホームに袖を通すことを見据える。そしてもう1つ、参加を後押しする大きな理由は「久しぶりに予選(プールA)がプエルトリコで行われるんです。そこに出られたら最高ですよね」。母国で勇姿を披露したい――。ソト選手の夢は続いている。

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写真提供=Getty Images, Full-Count

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